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商品説明
機械という、やや即物的な存在が加わることによって、ヒトの本質は変わるのか変わらないのか。機械とスムーズに「接合」し、あるいは「共感」し合う日は来るのだろうか。機械と複雑に絡み合った「ヒト」を考える。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
ヒトと機械 | 廣瀬通孝 著 | 1-20 |
---|---|---|
パラレル・リアリティの未来へ | 石井威望 述 | 21-36 |
ヒト化する機械 | 廣瀬通孝 著 | 37-65 |
著者紹介
廣瀬 通孝
- 略歴
- 〈廣瀬通孝〉1954年生まれ。東京大学大学院情報理工学系研究科教授。専門は機械情報学、ヒューマン・インタフェース、バーチャル・リアリティ。
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紙の本
ヒトのその先へ
2007/10/02 00:08
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:拾得 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ヒトの科学」というシリーズを見て、「なんと時宜にかなったテーマだろうか」と感じ、さっそくいくつか手にとってみた。
本来であれば、「人間」は文科系の人文社会諸科学の対象であったはずだが、その人間のありよう(もしくは位置)は、種々の技術の進歩とともに、個々の学問大系をこえて大きく変容しつつある。一方でそれぞれの学問はますます細分化し、これでは文科や文化ならぬ分化でしかない。加えてその土台であった大学の存立そのものがあやうくなっている。これでは多少の「タレント」が出たところで、この動きはとどめようがないだろう。
さらに、これに対する「分野横断的」「学際的」といったかけ声も、もはや使い古された感がある。既に「かけ声ほどうまくはいかないよ」ということも明らかになってしまっているからである。「学際的なシリーズもの」もしばしば編まれるものの、論集として「いろいろあるね」でおわってしまいやすい。本シリーズも、個々の論点は興味深いものがあるものの、その傾向は否めない。
ただし、その中でもこの『ヒトと機械のあいだ』は、ほぼ編者一人による単著といってよく、一貫性をもってまとめられている。著者の専門はバーチャルリアリティだそうだが、よくありがちな、最新動向や技術的な仕組みの紹介といったことでお茶をにごしてはいない。ヒトと機械の関係を、機械をヒトに似せるヒューマノイド型ロボットへの方向とヒトに機械を合わせていくサイボーグへの方向と大きく分けて論じており、この分野を俯瞰するのにちょうどよい。
また、自身の専門外の部分について補足するように、各章には、システム工学、ロボット工学、福祉工学といった分野の専門家3名との対談が付されており、本文へのちょうどよいフィードバックになっている。論にまとめようとすると漏れがちな現場の動向を、編者がうまく聞き出している。「商用ロボットの市場」という論点は、ロボット学と銘打ってしまったような本からはなかなか出てこまい。また、「サイボーグ」といってしまうと、ある種のSF的なイメージに固定化されがちではあるが、医療現場における人工心臓等から説き起こされており、これらの問題の広がりをつかむことができる。
個人的には、「最新技術」といったものにはほとんど関心はないのだが、こうした技術にまつわる議論は、実は今までの問題とよくつながっているものであることが確認できただけでも大きな収穫であった。