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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2001.9
- 出版社: 藤原書店
- サイズ:20cm/424p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-89434-249-9
- 国内送料無料
紙の本
ホルモン・カオス 「環境エンドクリン仮説」の科学的・社会的起源
著者 シェルドン・クリムスキー (著),松崎 早苗 (訳),斉藤 陽子 (訳)
環境ホルモン問題(環境エンドクリン仮説)の震源地アメリカでは、問題はどのように浮上し、社会の各層はどのように対応したのだろうか。環境ホルモン問題の起源を、研究者の価値観、...
ホルモン・カオス 「環境エンドクリン仮説」の科学的・社会的起源
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商品説明
環境ホルモン問題(環境エンドクリン仮説)の震源地アメリカでは、問題はどのように浮上し、社会の各層はどのように対応したのだろうか。環境ホルモン問題の起源を、研究者の価値観、倫理観にまで踏み込んで徹底検証する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
シェルドン・クリムスキー
- 略歴
- 〈クリムスキー〉1941年生まれ。パーデュ大学で物理学修士号、ボストン大学で哲学博士号を取得。タフツ大学教授。科学や技術そして倫理観や価値観と公共政策との関係を中心に研究。
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紙の本
2001/10/21朝刊
2001/10/26 22:16
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投稿者:日本経済新聞 - この投稿者のレビュー一覧を見る
五年前、一冊の本が世界を揺るがした。シーア・コルボーンらが、身近な化学物質が持つ内分泌かく乱作用の危険性を説いた「奪われし未来」である。我々の暮らしの中にある化学物質には、ごくごく低濃度で接触しても、体内でホルモンなどの内分泌系をかく乱するものがあるという告発だった。
この説が先進各国の政府を動かし、経済協力開発機構(OECD)は、世界共通の基準づくりに乗り出した。科学的な仮説が、政策となり、政治になって行く過程を、著者は検証する。最近あまり派手に報じられることが少なくなった環境ホルモンについて、過剰な思い入れを排しながら、新説が世に出ていく過程をきまじめに追う。
水俣の有機水銀も、カネミ油症のPCBも、様々な科学的な告発が政治に届いて、現実に規制が始まるまでにいくつもの関門があった。社会が科学的な問題提起を受け入れるには、たくさんの科学的反論が待ち構えていた。
環境ホルモンのように、ごく低濃度の物質の生体内での作用について、十分な科学的な検討がなされていない分野では、当然、その説の信ぴょう性について、手厳しい反撃が待っていた。ジャーナリズムも「冷静で科学的な議論」を根拠に、内分泌かく乱の可能性を否定する論調が目立った。
さすが米国の行政や学界は、かんかんがくがくの議論の末、新説を受け入れて、八万種に及ぶ化学物質について、ホルモン類似作用の有無を含む安全性評価をしらみつぶしで実施するという結論を得る。
新説をつぶすために手続きや手順を問題にする「健全な科学」ではなく、研究費をどこから受け取り、だれのために研究しているかを明らかにする「正直な科学」のほうが、判断材料としては重要だという。
二酸化炭素による地球の温暖化に科学的な疑念を表明して、京都議定書からの離脱を宣言したブッシュ米大統領の問いかけに対して、米国科学アカデミーは、その疑問は科学的ではないと答えている。これが科学の存在理由である。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001