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商品説明
12年間を費やして行なわれた5本のインタヴューを完全ノーカット収録。「ナウシカ」「トトロ」「千と千尋の神隠し」は、どのように生まれたのか? 全12万字超で、宮崎駿本人だけが語り得る真実がついに明らかになる。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
宮崎 駿
- 略歴
- 〈宮崎駿〉1941年東京都生まれ。アニメーター・演出家。作品に「風の谷のナウシカ」「千と千尋の神隠し」など。
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紙の本
人気者2人の<拠り所>から<答え>まで
2002/09/25 18:35
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うまそう - この投稿者のレビュー一覧を見る
まずはじめに、これは宮崎駿著という形になっているが、本書のインタヴュアー渋谷陽一が重要な意味を持っていると思う。共著という形でも決しておかしくないはずだ。
本を開くと、雑誌に使われた写真がどーんときて、<はじめに>として渋谷陽一の文章がはじまる。—宮崎駿は、いまや日本で最も影響力のある表現者になってしまった。その存在が巨大化すればするほど、宮崎駿を語る言葉は綺麗事になり、宮崎駿自身を疎外していく。
彼はそれを理解しながら(最初のインタヴューは12年前で、今とは状況が少し違うはずだが)彼らしい力でインタヴューを進めている。やはりいい取材ができてるなあと思うと嬉しくなる。そういう内容だ。
本文の中でのできごと—。
—自分のことを自分で対象化してみれば、非常に矮小な存在でしかない、まずそういう自己認識があるというところが一つのスタートであると。
< はい>
—で、それと同時に誰もがそうであるに違いないというのもやっぱり—。
<そんなことは思ってないです。偉い人はいますよ!>
—あっ、そうですか。
<ええ、僕は偉い人がいると思ってるから。宮沢賢治はやっぱり偉い人ですよ!(省略)>
ここで宮沢賢治が出てくる。話が進むと、渋谷陽一は
—そういう意味で、僕から見れば、宮崎駿もすごく偉い人なんです。(省略)で、ある意味で僕にとっての宮崎駿は宮沢賢治なのかもしれないわけですよねえ。
こうくるのだ。もちろん宮崎駿は<いやいやそれは...>と言って否定するわけだ。これは憧れと強い興味をもって真剣に(いつもだが)インタヴューをしてるなと思えてつい微笑んでしまう。
宮崎アニメに不満がある声も宮崎駿自身も聞いている。彼の手がけた<未来少年コナン>で<ラナがもしブスだったらコナンは助けるのか?>しかし彼は<そんなのは他の奴がやればいい>と。そうなのだ、足りないものをむやみに押し付ける事よりも、いろんな人間に期待すべきだ。彼のカリスマ性と、安易な“賛成意見”はこれからも続くだろう。
本書を読むと、彼の<子どもの為に映画をつくりたい>ということがいつまでも変わってないのが解る。そこが一番信頼できる。アニメの内容以上に、だ。
また、本書は渋谷陽一が12年間の間にインタヴューし、雑誌に掲載されたものをノーカットで収められている。雑誌に掲載する場合はしかたなく(紙面の割合などで)カットしなければいけない場合があるが、宮崎駿の言葉はなかなか切れるものではないと渋谷陽一も話している。
とにかく、インタヴューされる側とインタヴュアーのどちらもがずっとスタイル変わらず仕事をしているのが、二人の人気と実力を見せてくれるのだ。
彼らの信頼できる部分はどこなのか—それが明らかに分る一冊になっている。
紙の本
『紅の豚』から『千と千尋の神隠し』に至る頃の宮崎駿
2011/10/10 13:56
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
2002年刊行なので、もう10年近く前になる。しかもここに収められているインタビューは、さらに遡ること12年前から始まっている。1990年に創刊された雑誌に載ったものだ。なので、宮崎駿も若い!
ジブリ作品で追うと、『魔女の宅急便』公開からしばらく経ち『紅の豚』制作に入っていない時期から、『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』に至る頃と言うことになる。そうしたおよそ1990年代の宮崎駿のインタビューが5本収められている。
この本に収められているインタビューの大きな特徴は、5本とも同じインタビュアー・渋谷陽一が行っていることと、それぞれのインタビューがかなりの分量になっていることだ。宮崎駿のインタビューは他でも読むことができるが、この本は渋谷陽一の一貫した視点から攻められることでいろいろと心情等を吐露した宮崎駿のインタビューであり、時代時代の作品の紹介や解説にとどまらないものがある。
インタビューのあった時代は宮崎駿のアニメーションが世界で評価されていく時期だったわけだが、宮崎自身にはほとんどブレがない。そこには常に
「だから僕は――これはあちこちで喋ってることですけど――『人というのはこういうものだ』っていうふうな描き方じゃなくて、『こうあったらいいなあ』っていう方向で映画を作ってます」
(風が吹き始めた場所――1990年11月『Cut』創刊号インタヴュー)
という信念があったのだと思う。
しかし、これはこの本のインタビューから10年経過してわかるのだが、『もののけ姫』『千と千尋~』を作ってしまった宮崎駿は、この10年の方がもっと思索し、時に迷い、時に時代に対して怒りを露わにしながら現在に至っているように思える。
渋谷陽一のインタビューはその後も続いていたのだから、そろそろこの本の続編を読みたいのだけれど、無理だろうか。
紙の本
インタビュー・対談本の傑作
2003/09/23 12:39
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちひ - この投稿者のレビュー一覧を見る
1990年から2001年までの12年間に5回行われた、宮崎駿のインタビュー集。彼が今までに世に問うたすべての映像作品への思いを聞くことができる。
宮崎駿もさることながら、真に注目すべきは、インタビュアー渋谷陽一(日本初のロック専門雑誌『rockin'on』編集長)の力量のすごさではなかろうか。
映画だけではなく、マンガ『風の谷のナウシカ』もふくめ、宮崎の作品を、ひょっとすると宮崎本人よりもよく理解し、作品の特徴を言語化(解釈?)しえた渋谷が宮崎の内面をえぐっていく、希有なタイプのインタビューである。
「はじめに」で渋谷は「なんでこんなに喧嘩腰なのか、自分でも呆れる」と書きつつ、「もし、僕のインタヴューになにか存在意義があるとするなら、このスタイルなのかもしれない」とも書いている。
だからこそ、宮崎その人がこれほど立体的に浮かび上がってくるのだろう。渋谷が遠慮して宮崎に聞くべきことを聞くべきタイミングでぶつけなかったなら、この本はあり得なかったろう(‥‥そしてあるいは、その後の宮崎の作品群も)。
個人的には、『紅の豚』をめぐるインタビューがいちばん好きだ。作者が何を考えてその作品を作り上げたのかは、作品を楽しみ、理解するためにはさほど重要でないはずだ。しかし、作品を今までとは違った別の角度から楽しむためには、決してはずせない。
とにかく、こんなに興奮するインタビューの本は初めて読んだ気がする。
インタビュー、すべからくかくあるべし。