紙の本
ロボットを作るって、山あり谷ありのアドベンチャーだったんだ
2006/07/01 08:50
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うすかげよういちろう - この投稿者のレビュー一覧を見る
ロボットを作る。それだけのことなのに、読み進めて、わくわくドキドキすらする本である。
最初は、ロボットの仕組みも単純だったが、単純なりに、工夫が施されていて、その工夫の中身を読むのが実に楽しい。
何体も作り進めていくうちに、どんどん高度になっていくさまを読むのも楽しい。次はどうなるんだろう。次はどうするんだろう。どんな工夫をするんだろう。どんな改善を盛り込むのだろう。どんな新技術を応用するのだろう。次は、どんな大舞台で活躍するのだろう。そんな視点で読んでいると、なんか、冒険物語でも読んでいるような気さえするのだ。
サポートしてくれる人や会社との対応を読むのもまたドキドキだ。あと一歩で終わりという、ぎりぎりのところでうまく救われたりするのだから。
たった一人でやっているのだから、技術的にも、営業的にも、そりゃあ大変だ。しかも、相手は最先端技術である。
つまり、どうやって、困難を克服し、どうやって、未来を切り開くか、そういうことを指南してくれる本でもある。
筆者の技術は、最終的には、私のような凡人には、とてもまねのできないような高いところまで到達するが、そこまでの経緯を知っているだけに、とても共感できる。
ついつい、エールを送ってしまった。
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高橋智隆さんの作るロボットはそのまま手塚マンガに出てきそうです。今までいろいろロボットを見ましたが、一番デザイン的にも気に入ってます。そんな高橋さんのロボットに対する思考回路の一部を知ることができる一冊。ぜひ一読を!
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内容(「MARC」データベースより)
特許技術である「電磁吸着2足歩行」「SHIN-Walk」でロボット業界の最先端を走り、米『TIME』誌でも絶賛されたロボットクリエイター・高橋智隆の思考回路を公開する。
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ロボット界では相当有名になった高橋氏。
そのクオリティの高いロボットデザインに誰もが舌をまく。
ロボットクリエイターという自称の職業を持ち、世界を飛び回る。
彼が製作したクロイノやマノイといったロボットたちは、
制御系の人間から見れば普通のホビー系ロボットなのであるが、
そもそもこのロボットたちの土俵は制御ではない。
そのコンセプトやデザイン、作り込みが周りの人間をうならせる。
ある意味ロボットというのは単純な手段であり、
その「モノ創り」という点において非常に高度なのであろう。
彼はモノ創りをする上で「手作り独特の素朴さ」というのは嫌いなんだそうだ。
彼曰く「手作り独特の素朴さなんてのは、作りの荒い言い訳でしかない」と。
いろいろ思い当たる節のある電電はここで苦笑いしてしまう。
これまでに私が製作したロボットたちは、手作り独特の素朴さ丸出しである。
ただ、以前のブログでも述べたように
「動くもの(とりあえずの完成)をまず一つ作れば、世界が変わる」(元は茂木健一郎の言葉)というは
製作の初段階としては重要であり、その対価として手作り独特の素朴さが出てしまうのかもしれない。
大抵はコンテストが対象であったり、機構を子供たちに見せるためであったり、
様々な要因によってデザインが最重要事項にまで上ってこないのだ。
そういった点を考えると、高橋氏のモノ創りのアプローチとはまるっきり違うのだと考える。
高橋氏がロボット製作というよりモノ創りといったほうが正しい、と考える要因は数々ある。
その中でも印象的なのが、「図面を引かない」ことだ。
ロボットの製作において設計してから図面を引くことは基本中の基本であるが、
彼の場合は必要なものを除いて、あとは「フリーハンド」である。
しかも彼の「フリーハンド」が製品レベルのクオリティを出すから驚きだ。
がしかし、ここでモノ創りがメインテーマであることを忘れてはいけない。
つぼ職人が設計ソフトで図面を引いてから壷を作るだろうか?
否である。
つぼ職人は全て手の感覚、長年の経験から美しい造形美としての壷を生み出している。
そこに高橋氏のモノ創りへの姿勢というものが被ってきている気がする。
チーム大阪のヴィジオン達もなかなかイケてるデザインなわけだが、
仮にあの外装が無ければどれほどの話題が生まれたであろうか。
もちろんロボットに元から興味のある人々には同じように話の種にはなるだろうが、
それ以外となると「ふーん」で終わってしまいそうだ。
そこにあの外装があるがゆえにライバル国へ日本のロボットを印象付け、
こんな可愛いロボットが世界大会で優勝した!と日本内部へのアピールも出来る。
実際去年札幌で行われたビジネス系イベントでヴィジオンが来ていた時は
老若男女関わらず、大きな人だかりが出来ていた。
ロボットとはあらゆる総合体である。
そのアプローチの順番を変えるだけで、また新たなものが生まれてくる。
動いてナンボの世界にかっこよくてナ���ボのテイスト。
日本のロボット界はまだまだ楽しくなりそうだ。
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家庭用ロボットの普及に燃える人。工学面では機械工学、デザインが得意のよう。文面はとても自慢げであるが、筆者の現在までの道のりがよくわかる。
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本のタイトルのとおりロボットの天才だと素直に尊敬できる人。夢を持ち、それに才能が同居する人は輝いて見えます。
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ロボットクリエイターの高橋さんの著書。スマートで可愛いロボットを手がけている、ロボット界の第一人者だ。
NHKでやっていたビートたけしさんの番組で知った。
大阪大学の石黒先生とはまた違ったタイプの人だと思う。石黒先生も、本の中に登場してきます。
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No.537
この本を読むと、高橋氏がやりたかったことがよく伝わってくる。それは誰もが欲しがるロボットを作ること。
なくても良いロボットではなく。
その想いをこめたプロジェクトが、ロビなんだなと納得。
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ロボットの製作技法からロボットが普及するまでの構想まで、独自の視点で書かれていてユニーク。
時折はさむジョークが、
ジョークなのか本気なのかわからなそうな変人感がオモシロい。
スッカスカの大言壮語がまったくなく、
ドキュメンタリーのような誠実さがすごくよかった。
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著者・ロボットクリエイター高橋智隆。表紙のこの人とロボットの写真が気になり手に取った。来月、若田光一さんと宇宙ステーションに行く「キロボ」の生みの親らしい。
高橋さんの基本は鉄腕アトム。なるほどこのデザインというか等身がアトムっぽいしアニメのSDなんとか風。これだけで興味を引く。
設計図はなく、スケッチというかイラストというか、立体をよりイメージしやすいもの。このほうがより現物をイメージできると思う。
大学発のベンチャー企業、産学官連携という言葉はそういえばこの頃(2003年前後)から耳にしていたような。走りだったんだ。
そんな難しい話はともかく、ひとりの少年が試行錯誤の末、自分で作りたいロボットを作って動かして、いろんな人と繋がっていったという記録として、興味深く読める。
タイトルそのまんま。「ロボットの天才」これに尽きる。
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デザインの力で、新しいロボットの形を提示している。
著者と人生の軌跡を、語り口の文体で平易に記しているため楽しく読める。
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ニュースなどで知ってはいたが、こういう方だったのかという作者の人となりと、どうしてあのようなロボットが作られていったのかという経緯がとてもよくわかって面白かった。色々な運もあると思うけど、そもそも極めて柔軟で、合理的な考え方をされる方なんだなと。だからいろんな運がつながり、チャンスが次から次へと向こうからやってきた。こだわりもすごい。そしてこだわることに照れも恥ずかしさなど人の目など気にしない。色々な天才のエピソードに通じるなと思う。まさに天才なんだろうな。羨ましい気がする。
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グランドキャノンをロープで登ったり、ルマンのコースを24時間三輪車をこぎ続ける健気で愛らしいロボットの製作者といえば、お分かりになる方も多いのではないでしょうか。,,慶應MCCにて、ロボットクリエイタ-高橋智隆の講演を聴いてきました。,,氏を支援した京大の諸制度(特許、インキュベーション)が羨ましいですね。,株式会社化した現在もおひとりで、やられているとのこと。羨ましい限りです。,,制作上のポイント,・木型(以前の趣味だったルアー作りの技巧が活かされているとのこと)から製作が始まるというまさにハンドメイドの極み。,・ロボットの中と外をわかっていないと、美しいデザインはできない。,・ストーリー(マンガ、アニメ)があるものを実在化すると、人は非常に感情移入することができる。,・可愛らしいといわれるが、決して媚びていない、自立したデザインを目指している。,,さて、気になる今後の「ロボット」産業の展望ですが,・コンテンツ展開 映画の企画あり,テーマパークも中の人方式でなくてロボット化したらどうか?(米ではそのような動きあり),・産地とブランドが結びつくと、長期間産業として維持できる。「日本」=「ロボット」,・ロボットは、感情移入、命を感じられる、コミュニケーションしたくなるインターフェイスになり得る。,cf.電源を切ったロボットの頭をなでて、話しかけているおばあさんのエピソード,(何でもインターフェイスが、液晶モニタになる風潮に苦言を呈されていました),・災害、介護用途に期待されるが、最初からあまりにニッチな分野を目指すのは間違っている。,「まず自動車、そのあと消防車が作られるのが順序」,・ロボットは、高額でよいと思っている。,開発者→マニア→富裕層→一般層→特殊用途,と展開されるべき。cf.テスラのスポーツカーEV,,,いやあ、後半の論旨は、私の企業であつかっている環境商材と同様のトークで苦笑いです。,しかし、人とロボットのエモーショナル関係を非常に強調されているのが特徴的です。,,しかし、実演してもらった最新モデルのジャンプには驚きました。,,気になった点,高橋氏らのグループは、ロボカップで5連覇を果たされたそうですが、自戒を込められて「ハード+ソフト」だから可能だったと仰られていました。,「ソフト改造」だけのカテゴリー(ハードはAIBOを使用)では、日本は上位に入れないそうです。,ここら辺は、国民性の問題なのでしょうか?