紙の本
ミャンマー(旧ビルマ)の国境付近の知られざる地域の状況がよく分かります!
2016/09/13 09:18
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、草思社から1998年に出された図書です。ミャンマー(旧ビルマ)の国境付近におけるアヘン栽培について、その背景やその社会的意義などについて詳細に解説されています。非常に興味深い内容となっています。ただ、1998年という軍事政権下でよくこれだけの情報が集められたことと、こうした国境付近まで足を延ばされて調査された筆者のバイタリティーに感心しながら読ませていただきました。
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投稿者:なま - この投稿者のレビュー一覧を見る
なにやら怪しい本のタイトルではあるが、面白く、考えさせられる内容だった。自分では、決して体験できない出来事ばかりなだけに本を読む意味が大きいと感じた。
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世界最大のアヘン生産地に初滞在した史料的にも価値のある一冊。でも、自らアヘン中毒になっちゃったりして相変わらずトホホな人ですが。愛すべき人です。
絶版だけど、文庫で復刊するとの噂。
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世界から、隔離された地域。
アヘンを栽培する人々の暮らしって、すっごく気になるー!!!
まさに潜入記。わくわくしながら読みました☆でも、ビルマの問題にも文中よく触れていて、考えさせられます。
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「旅」じゃないかもしれない。でも非日常っていうことでは「旅」に違いない。
98年の出版だからもう随分前の話になるのだが、たぶんワ州あたりは変わっていないだろう。軍事政権はまだ続いている。著者は日本人であることを隠して、中国からビルマ・シャン州の州内州とも言うべきワ州に潜入する。目的は、ケシの種まきから収穫までを半年にわたり辺鄙な村で村人と一緒に農作業しながら過ごすことである。農民と生活するなかから、アヘンと軍閥ワ軍の関係、やっぱり農民は搾取されているだけだという関係、軍の腐敗、アメリカの謀略まで・・見つめていく、気がついていくのである。確かにそうなんだけど、そんな腐敗の摘発に燃えているとか、そういうのでは決してなく、結局自らアヘン中毒になってしまういういいかげんさが、とても気持ちいい。それにしても、地球上にはまだまだよくわからないところが多いのである。知られていないところが多いのである。ただ、このワ州だって地理的に隔絶されているわけではない。車で1-2日も行けば、タイ国境で、そこにはセブン-イレブンだってあるのだ。それほど「文明」に近いのだけど、政治的にはそれがものすごく遠いのである。著者の滞在した村にはラジオすらないのである。村人は世界にはビルマと、中国とワ国しかないと思っている、そんなところなのである。すぐ近くにセブン-イレブンもあるのに。
いやー、行けるものなら行ってみたい。
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取材に行きはするものの、ジャーナリストの観点から第三者的な感じで、書いてあるのかと思ったが、
村人の中でも仲の良い人、悪い人がいたり、ケンカしたり……
しまいには、自分でもアヘンを吸って中毒のようになるという。
なんとも、はちゃめちゃで面白かった。
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この本から20年。この世界は変わったのだろうか。
筆者も「ジャーナリスト的な手法は取らない」とはいっているものの最後に言及しているとおり、90年台のこの状況は、原因ではなくて結果である。しかし、「国際社会」が結果に対して、これが原因だと言い募る。
それは20年で変わったのかな。
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辺境ライター・高野秀行氏によるルポルタージュ。相変わらず、取材対象との距離の取り方が非常にうまい。未開の地ってまだあるんや。
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長い準備期間のあとに、高野さんは人民未踏のビルマ・アヘン王国(ワ州)にたどり着く。アヘンの芥子粒の種まきをした直後にマラリアに罹り生死を彷徨う。経験上マラリアと思いながら、治療する医者がいない。諦め寸前の処で西洋医学に救われる。高野さんは思うのである。「あれだけ苦しみ、死ぬかと思った病気がほとんど注射一つで治ってしまったのは、一種のカルチャーショックだった。ワ州内では「発展」しているはずのヤンルンですら、マラリアは手の施しようのない謎の「熱病」だったのだ。私はこのとき西洋文明のすごさを実感した。マラリアにもいろいろな種類があり、私が罹ったのが悪性のものだったら、おそらく私は死んでいただろう。一方、もしも私がチェンマイでしかるべき薬を買っていて、発病後、すぐに飲んでいたなら、ちょっと風邪をひいたぐらいでおさまっていたかもしれない。「死」と「風邪もどき」のあいだに横たわる大きな溝。それはワ州と外部世界を決定的にへだてる溝でもある。(81p)」と。後年、ソマリアで軍隊に襲われたときもおそらく生死の危機があったと思われるのだけど、このような深刻な書き方をしていない。高野さんは、この時日記をつける余裕がなかった。しばらくしてから思い出して書いている。その沈思の時間がこう書かせたかもしれない。「溝」は、この本のテーマを直接表したのと同時に、辺境作家の珍しく見せたホントの危機意識のような気がする。だからこそ、彼の書く文章は価値があり読ませるのである。もちろん、何時ものような「飄々とした」文章の味も価値ではあるのだが。
「ずいずいずっころばし」の童謡は、夢の中で鼠が活躍していたのをそのまま歌にしたのだ、という「発見」(96p)は、いかにも「旅の興奮」が見つける興味深い「意見」ではある。
多分、これで長編3作目の本である。友人の人類学者の薫陶を受けたのか、「後年」よりもきちんと民族調査票を基にしたかなような記述が多い。家族構成、集落の単位、労働習慣、信仰、出産、結婚式etc。あとで書いているが、ホントに100年前の日本の姿と似通っている。ただし、この村を高野さんは「準原始共産制」と規定しているが、不正確なこと極まりない。ケシ栽培の「国家的な管理」も含めて「商品」の自由売買が村の基盤になっている時点で「原始」とか「共産制」という言葉は既に使ってはいけないのである。この辺りの「いい加減さ」は直さないといけないと思う。現に他のレビューでこの言葉が独り歩きしていた。
もうひとつ、「いい加減さ」を批判するとすれば、自らアヘン吸いになり、村の人々が忠告したのにもかかわらず急性アヘン中毒になって、それを反省もせずに書いているのは、やはり納得出来ない。特に「中毒」は、ルポとしての必要性さえない。自らの「文章」の影響力の大きさについて、高野さんは肝に据えるべきだと思う。
2018年8月読了
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知らないことが多すぎて愕然とする。
もっと勉強しなくてはならない。
アヘンってすごいんだなぁ。
どこにでもズルい人がいるものだ。
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1995年に軍事政権下のミャンマー(作者はビルマと呼ぶ)のゴールデントライアングルと呼ばれるアヘンの生産中心地に中国側から潜入して、少数民族のワ族と半年過ごし、アヘンを種まきから収穫するまでの体験をルポとしてまとめた本。ミャンマー情勢を俯瞰した記事は多いが、少数民族の状況を生活者の視点でルポとしてまとめたものは初めて。貧乏な生活の詳細が驚きに満ちていて、本人がシラミ(ブルイン)やマラリヤやアヘン中毒にやられているさまをあっけらかんと書いているのには恐れ入った。体験した者しか書けない記事である。25年前のルポであるが、民主化を経て、再度の軍事政権下、現在のワ族はどうなっているのだろう?
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1998年の本なのでまだ、ビルマだった頃のお話。
種まきからアヘン収穫までのケシ栽培の工程を、体験した高野さんのルポタージュ。
高野さん、どれだけ言語が喋れるんだろう、あと、コミュニケーション力が凄すぎる!!
話の内容もさることながら、高野さん自身の人柄もすごい!
アヘン中毒っぽくなるところが、おもしろかった!ズルズルハマる様子が、怖いなーと思う。戒めになった。
最後の村人たちとの別れの部分は胸にジーンときた。人種や環境や知識、全く違う人々なのに、別れが辛くなるほど、気持ちが通じ合ったんだ。と感じた。
エピローグの、サイ・パオ暗殺は衝撃だった。
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いつもの高野節の効いた、ホンワカ・ノンビリな旅行記かと思いきや、
かなーり真面目なレポートとなっている。
そこそこ面白おかしい部分はあるものの、ビルマの当時の状況が、
事細かに描かれていて、学術的っぽい読み物なかんじ。
なのでどっちかってーと、眉間にシワよせつつ読むのが
正しい読み方なのかな。
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ビルマ、つまりミャンマーの問題がよく分かる本。
探検記としても単純に面白いけど、
私の感想としては、中国と国境を接する国は不幸だということ。
地図を見ると分かる。
幸福の国のブータンも、まだ大きな問題は少なめに見えるタイも中国とは国境を直接は接していないからだろう。
チベット、ビルマ、ベトナム、色々と悪影響を受けている。
この本が書かれた時で、政治に疎い私は最新情報を知らないけれど、怖い終わり方をしている。
ミャンマー政権に、中国人が幹部のミンサーというもう1つの反政府組織が表向き、降伏した感じになって、著者が滞在させてもらっていたワ軍が、世界の麻薬の筆頭にあげられてしまった。
その後、中国人もいるワ軍の上のビルマ人の幹部ばかりが暗殺されてしまった。この後、ワ軍はどうなったのだろう。。。
日本も、嫌な目にたくさんあっているが、まだ海を挟んでいるだけ、感謝しないといけないのかもしれない。
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ビルマ・アヘン王国潜入記
著:高野 秀行
ワ州、人口は不明。住民の九割以上はワという少数民族が占めている。面積は岐阜県とほぼ同じくらいで大きくない。世界中で市販されているいかなる地図にもワという名前は記されていない。が。知名度の低さのわりに世界に対する影響力がこれほど大きいところは、ほかには存在しないだろう。
ゴールデン・トライアングル「黄金の三角地帯」:インドシナのタイ、ラオス、ビルマの三国が境を接するあたりにひろがるいわゆる麻薬地帯である。ここは、麻薬の王たるアヘンもしくはアヘンを生成して商品化された非合法モルヒネやヘロインの世界最大の産地である。
ビルマにおけるアヘンのその60~70%がワ州で算出されている。つまり、全世界の4割前後のアヘンをこの小さな土地が生み出している。
著者自身がその未知なる地域「ワ」に入り込み、その謎を解きほぐすことを目的として記されている。構成は以下の7章から成る。
①アヘン王国、ワ州
②手探りの辺境行
③アヘンとワ人
④ゴールデン・ランドの草むしり
⑤アヘン=モルヒネ化計画建白書
⑥白いケシと緑の軍服
⑦最後に残された謎
私自身のアヘンに対する予備知識として
語呂合わせで覚えた
いやよー(1840年)アヘン吸うなんて:アヘン戦争
アヘンは麻薬でそれが起因して起きた戦争
くらいしかない。
本書はそんな表面的と真反対にある
入り込みすぎなリアリティが描かれている。
知る・理解するには入り込むしかない
そしてその入り込み方も
情熱を持って入り込む
危険を顧みず、まずは首をつっこむことから始まっている。
首狩り族という噂の民族へ接触するだけでもすごい。
スマートフォンでさえ、グーグルマップでさえない時代に
体ひとつで飛び込んでいる。
アヘンの原料であるケシを村人と栽培している。
見るや体験ではない。育てている。
その中で文化に触れ、プロセスにおいて
アヘン中毒になったりと波乱万丈でもある。
波乱万丈の生き方、入り込み方に
現地の息遣いであったり、危険な香りまでも
感じることができる。
アヘン・麻薬に対しても外からの視点と中(ワ州)からの
視点では雲泥の差があり、そのどちらの感覚も味わうことが
できる唯一無二のドキュメント本。
読後に再度巻頭の写真を見返すと、違った感情で
振り返ることができる。旅ではなく暮らすことで
得られる匂いまでも感じさせてもらえる一冊であった。