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- カテゴリ:小学生 一般
- 発売日:2006/11/01
- 出版社: 明石書店
- サイズ:21×21cm/43p
- 利用対象:小学生 一般
- ISBN:4-7503-2443-4
紙の本
ディスレクシアってなあに? (知りたい、聞きたい、伝えたいおともだちの障がい)
著者 ローレン・E.モイニハン (著),トム・ディニーン (イラスト),藤堂 栄子 (訳)
子どもの障害についてわかりやすく説明した絵本シリーズ。障害のある子どもの抱えている困難や気持ち、周囲ができる支援などを、子どもが理解しやすい表現で伝えます。第1巻は学習障...
ディスレクシアってなあに? (知りたい、聞きたい、伝えたいおともだちの障がい)
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商品説明
子どもの障害についてわかりやすく説明した絵本シリーズ。障害のある子どもの抱えている困難や気持ち、周囲ができる支援などを、子どもが理解しやすい表現で伝えます。第1巻は学習障害のひとつディスレクシアについて。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ローレン・E.モイニハン
- 略歴
- 〈ローレン・E.モイニハン〉アメリカ・ニューヨーク在住の弁護士。
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紙の本
キーワードは「セルフエスティーム」
2009/02/06 23:57
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、子どもの障害についてわかりやすく説明したアメリカのオールカラーの絵本シリーズの日本語版である。
このシリーズの主人公は「障害のある子どもやそのともだち」で、「障害のある子どもの抱えている困難や気持ち、周囲ができる支援などを、主人公の語りを通して子どもが理解しやすい表現で伝える」ことを核に据えている。
日本語版は、原書を翻訳しただけでなく、日本の実情に合わせて、日本語版独自の解説もついている。
このシリーズは、全6巻なのだが、「ディスレクシアってなあに?」は、その第1巻である。
主人公のマットは、自分のディスレクシアについてこのように語っている。
ディスレクシアって聞いたことある?
「がくしゅうしょうがい」(LD)のひとつといわれている。
がくしゅうしょうがいは、字の読み書きや、話したり、
計算している巣の画うまくできないことをいうんだよ。
とくにディスレクシアのある子は、
読んだり、書いたりするのがじょうずにできないんだ。
でもね、同じディスレクシアでも、ひとりひとり少しずつちがう。
字やぶんしょうを書くことをむずかしく思う子もいれば、
ぼくみたいに、字を読むのと、計算がうまくできない子もいるんだ。
日本では、「ディスレクシア」はまだあまり知られてない。2004年12月に発達障害者支援法が成立し、2007年4月からは特別支援教育が始まり、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)については、知られるようにはなってきたのだが、ディスレクシアがLDの一種というところまで知っている人はまだ少ないだろう。
だから、ディスレクシアをそのままディスレクシアとして、第1巻に持ってきたこと自体にメッセージ性を感じるのである。
著者ローレン・E・モイニハン氏は、弁護士で、言語療法士である母と弁護士として大成したディスレクシアの友人に触発されて、本書を書いたのだという。
困難があり、みんなと同じにがんばってもうまくできないこともあるけれど、それはまったくできないということではなくて、工夫次第でできるのだという肯定的なメッセージが根底に流れているのは、著者が母や友人から受け取ったメッセージの現われなのだと思う。
訳者の藤堂栄子氏は、自身も長男もディスレクシアである。
訳が、訳を超えて、本人の肉声のように伝わってくる。
そして、「訳者からディスレクシアの子どもたちへ」は、すべて自分がやって有効だったことであり、学説ではなく、経験で役に立つと分かっていることを挙げているのだという。
この本には、「DAISY引換券」がついていて、この引換券と制作費実費と郵送費の500円を切手でEDGE(訳者が設立したディスレクシアの啓発とサポートを目的とするNPO法人。)宛に送るとこの本のDAISY版を入手することができる。引換券でテキストデータを送る本は何冊かあるが、DAISY版を送る本は、まだまだ少ないだろう。
この本で最も強調されている言葉は、セルフエスティーム(self-esteem)である。
訳者は、この言葉をカタカナ表記するだけでなく、「自己肯定感」や「自尊感情」、「自分は捨てたものではないという感覚」という言葉で表現している。
失敗経験が多く、認められたことが少なく、日々の生活にどこかうまく行かないことばかりだと、自分に自信が持てないし、自分にがっかりしてしまうし、自分なんかこの世に存在しなくても良いのではないかとさえ思い、本当に無気力になってしまう。
そうなってしまうと、もっている力が発揮できず、ますます悪循環に陥る。
セルフエスティームは、その人が本来の力を発揮するための根っこに位置する大切なものなのだ。
できないこと失敗したことばかり見てしかられるのではなくて、得意なこと、うまくいったこと、がんばっていること、がまんしたこと、そういったひとつひとつをしっかりと見てもらえて、認めてもらえて、ほめてもらえたら、その子自身の自分を見る目が変わってくるはずだ。
障害のある人もない人もセルフエスティームを感じて生きていける社会、誰もが「自分はここにいていいんだ」と思って生きていける社会は、ささやかな肯定的なメッセージの発信から生まれるのだ。