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- カテゴリ:一般
- 発売日:2002/12/13
- 出版社: 愛育社
- サイズ:18×19cm/67p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-7500-0146-5
紙の本
リーサのたのしい一日 乗りものサービスのバスがくる (LL−ブック−やさしくよめる本−)
著者 マーツ・フォーシュ (文),エリア・レンピネン (写真),藤沢 和子 (監修),寺尾 三郎 (訳)
「二分脊椎症」ってどんな病気? リーサの毎日のふつうの生活を追っかけてみよう。障害があってもあたりまえのくらしができるように。ピクトグラムと写真とわかりやすい文章で、いつ...
リーサのたのしい一日 乗りものサービスのバスがくる (LL−ブック−やさしくよめる本−)
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商品説明
「二分脊椎症」ってどんな病気? リーサの毎日のふつうの生活を追っかけてみよう。障害があってもあたりまえのくらしができるように。ピクトグラムと写真とわかりやすい文章で、いつでも・どこでも・だれでも楽しめる本。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
リーサの一日に見えるスウェーデンの障害のある人の生活
2009/03/08 17:57
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、スウェーデンの"Centrum for lattlast" (oとaはウムラウトがつく。)(*「やさしく読める図書センター」、「読みやすい図書センター」など、複数訳あり。)によって、出版されたLLブック(やさしく読める本)を翻訳したものである。
Centrum for lattlastの本で、日本で翻訳出版されているのは、この『リーサのたのしい一日』、『山頂にむかって』、『赤いハイヒール』である。
『リーサのたのしい一日』と『山頂にむかって』は、読みやすい本文と写真とピクトグラム(PIC)を使っており、『赤いハイヒール』は、読みやすい本文と写真、そして、マルチメディアDAISY図書をつけている。
『リーサのたのしい一日』と『山頂にむかって』の監修を担当した藤沢和子氏は、スウェーデンでピクトグラムに出会い、日本版ピクトグラム(PIC)の開発と実践、普及に努めている。PICシンボルについては、『日本版PIC活用編』や『あそんでつくってコミュニケーション』に詳しい。ピクトグラム&コミュニケーションのサイトもある。
PICは、Pictogram Ideogram Communicationの頭文字をとった名称で、具体的な事象や対象物を表すPictogramと、抽象的な概念や動きを表すIdeogramでコミュニケーションをするという意味である。
ピクトグラムは、1つのことばの意味を白と黒のくっきりとした図版で描いた絵文字で、これを並べることにより、文章の表現ができる。
スウェーデンでは、知的障害者が生活する場や教育の場で、話しことばや文字が十分使えない人のための新しいコミュニケーション手段として広く使われている。
青年になっても子供向けの絵本が与えられていたり、文字ばかりの成人向けの本が与えられていたりすると、読むことに興味を持つことはできないという信念の下、Centrum for lattlastは、わかりやすく、かつ、年齢に応じた本のテーマや文学的な質を持つことを大切にして、本を作ってきた。
この『リーサのたのしい一日』と『山頂にむかって』は、その考え方をしっかりと受け継いで作られている。
リーサは、28歳の女性で、二分脊椎症という病気を持って生まれた。足の変形とまひによって、まったく歩くことができず、車いすとともに生活している。
ストックホルムのデイセンターでパッチワークの袋やカバンを縫っている。縫いあげたカバンを手にする笑顔が誇らしげだ。
同じデイセンターではたらくトミーは、新聞サークルでもいっしょの、恋人である。
彼は、「デイセンターでいちばんきれいな女性はきみだよ」といってくれる。
リーサの移動手段は、「乗りものサービス」である。特殊バス株式会社が運営している赤いバスで、リフトがついている。
リーサが乗ると、車いすはベルトで固定される。
運転手のクリステルは、「リーサは、この世にたったひとりしかいない大事なひとだよ。みんながきみを大切に思っているよ」という。
そのほかに、からかったり冗談を言ったり、とても良い関係を築いている。
新聞サークルは、成人学校にある。成人学校は、18歳以上の人のための学校で、仕事に就くための職業教育や高校の科目を選択して再受講できる補充教育を行い、サークル活動も援助する。
仲間とのたのしい関係、お互いに自然に差し伸べられる援助。
リーサは、1日目と2日目で服装と髪形も違っていて、指にはマニキュアもしていて、結構、おしゃれなのである。
そして、ひとりぼっちになるとさみしくなったりもする。
自分は車いすだから「乗りものサービス」でしか移動できないけれど、他のみんなは乗り物サービスなしでも出かけられる。どんな気分なのかと想像する。
スウェーデンの交通は、障害のある人の特別な移動手段が発展した分、普通の移動手段がバリアフリーではないという課題が確かにあるのだ。
もちろん、落ち込んでばかりではなく、彼女の次の日の朝はまた明るく始まるのだけどね。
リーサは、ひとりでできないことはたくさんあって、いろいろなひとに助けてもらうけれど、その援助を笑顔で受けて、援助の受け方が自然で上手いという印象も受けた。
それは、彼女が28年の人生の中で身につけてきたものなのだと思う。
スウェーデンでは、生活を「住む・仕事・余暇」で考え、それらは人間らしく生活する権利であるという捉え方をしている。
リーサの一日を見ていると、仕事と余暇が同一線上にあって、どちらも大切にされているのがよくわかる。
こういった考え方は、『機能障害をもつ人の余暇:スウェーデンのレクリエーション』に詳しい。
リーサの一日の中に、スウェーデンの社会が確かに見えるのである。