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商品説明
映画監督の著者が定年を迎えた。何か世の役に立つことをと始めたのがお年寄りに映画の出前上映ボランティア。器材はどうする? 著作権問題は? 東奔西走の感涙エッセイ。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
河崎 義祐
- 略歴
- 〈河崎義祐〉1936年福井市生まれ。東宝株式会社宣伝部、助監督を経て映画監督。作品に「青い山脈」「挽歌」、著書に「母の大罪」「死とともに生きる」など。
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紙の本
ボランテアはこうありたいものだ
2004/03/06 18:28
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投稿者:筑波太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「いってきます」週末早朝の第一声、清々しい響きが静けさを押しのけて
伝わってくる。なぜ、あんなに生き生きとした声が、隣人から弾けるのだろ
う。今朝も隣人は、颯爽とボランティア活動に出かけて行く。見送る私はな
ぜか、一抹の寂しさを感じていた。そのような時、ふと本書が目に留まった。
今でも私は、ボランティア志願を持ち続けている。だがなかなか実行する
までには至らない。友人もボランティア活動に意欲はあるが、機会に恵まれ
ず参加できないでいる。しかしながら著者は、定年を機に奉仕活動を始めた
のである。まずは一人住まいの高齢者、障害者、療養中の人達を対象に、映
画の出前という形で。
たとえば高齢者の心が、映画との関わりや思い出は、テレビ放映やビデオ
などに比べられないくらい、心に残るものだ。著者が初めて出前上映を試み
たとき、あまりにも反響の凄さに、歓びが身体全体に広がるのを感じたこと
だ。さらに「大勢の人々と一緒にスクリーンを見つめ、感動を共有する喜び、
そこに映画の生命が宿っている」ことも、実感として受け止めたようだ。
古き映画の思い出は、人それぞれに立場は変われど持ち合わせているだろ
う。私も心躍らせた思い出はいつまでたっても心に残っている。とくに「あ
の丘越えて」の映画には人一倍の思いが詰まっている。一場面、一場面が今
も鮮明に浮かんでくるし、生きる勇気を見出させてくれた、忘れることので
きない映画であった。大げさにいえば幾度となく、生きる道標を貰っていた
のかもしれない。
殺伐とした環境と混迷が続く世の中、他人のためにどれだけのことができ
るのか、考えさせられた。この本にはボランティアの底流が、言葉に描がく
だけではなく迫りくるものがある。これは私の心を熱く燃えたぎらせた一冊
でもある。