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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2001.10
- 出版社: 東洋経済新報社
- サイズ:20cm/226p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-492-68113-2
紙の本
金融機能と規制の経済学
著者 岩本 康志 (ほか著)
ナローバンク制度、再編・統合、証券化、公的金融の改革など、わが国の銀行業が将来直面する課題を経済学の蓄積をベースに、最新の理論・実証研究に基づいて総合的に分析、指摘する。...
金融機能と規制の経済学
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商品説明
ナローバンク制度、再編・統合、証券化、公的金融の改革など、わが国の銀行業が将来直面する課題を経済学の蓄積をベースに、最新の理論・実証研究に基づいて総合的に分析、指摘する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
岩本 康志
- 略歴
- 〈岩本〉1961年生まれ。大阪大学大学院経済学研究科博士後期課程退学。現在は京都大学経済研究所助教授。共著に「経済政策とマクロ経済学」など。
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紙の本
2001/11/11朝刊
2001/11/20 22:17
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:日本経済新聞 - この投稿者のレビュー一覧を見る
わが国の金融研究の政策分野で積極的に発言する若手学者四人の共著である。四人とも四十歳代前半で、いわば「第三世代」の金融学者たちだ。
本書も意欲的な形で仕上がっている。まず、現下の金融が直面する最大課題の不良債権問題には触れていない。同問題を軽視したわけでも、避けたわけでもない。「それら(不良債権問題)は日本の銀行業が将来直面するであろう問題との比較では瑣末(さまつ)な問題に過ぎないのではないか」と、挑戦的に言い放っている。
旧来の担保主義とメーンバンク制の行き過ぎの結果である不良債権問題が、過去の金融機能の限界を露呈したように、間接金融と直接金融、決済機能と資金仲介機能、民間金融と公的金融という旧来の機能区分も同様に、限界に直面している。著者らは、金融の基本的機能を改めて「経済資源の異時点間の配分とリスクの配分」と位置づけ、効率的な配分を実現するには、金融取引の制度や規制を適切にデザインする必要があると声をそろえる。
不良債権問題は何のデザインもなく対症療法で終始してきた結果、いまだに出口が見えない。著者らは銀行業の今後の長期的な課題が同じ混迷の道をたどらないよう、金融機能を巡る新たな視点を提示している。
例えば、金融技術が発展する中での銀行の規律付けとして、劣後債の活用や、決済機能に業務を絞ったナローバンクの分析(前多康男・阪大助教授)、大手銀行の合従連衡を従来の規模や範囲の経済ではなく、「関心の独占」もしくは生き残りのための「塹壕(ざんごう)仮説」などで評価(渡辺努・一橋大助教授)、証券化を間接金融と直接金融の中間的金融活動ととらえる(斉藤誠・一橋大教授)、財政投融資制度では今年度から導入された財投機関債は「暗黙の政府保証」により、特殊法人の規律付けには役立たない(岩本康志・京大助教授)などだ。
いずれの視点も刺激的で、論争的でもある。論議を引き起こすこと自体、新たな制度と規制のデザイン化に向けた著者らの狙いでもあろう。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001