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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2001.9
- 出版社: 東京堂出版
- サイズ:20cm/331p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-490-10581-9
紙の本
ペンネームの由来事典
著者 紀田 順一郎 (著)
忘れがたき故郷をしのび、また恋人や恩人の名にちなんで、ときに師にあやかって、気に入った和漢の古典から命名し「もう一つの自分」を実現した、日本の近代作家244人の雅号・筆名...
ペンネームの由来事典
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商品説明
忘れがたき故郷をしのび、また恋人や恩人の名にちなんで、ときに師にあやかって、気に入った和漢の古典から命名し「もう一つの自分」を実現した、日本の近代作家244人の雅号・筆名の由来を明らかにする事典。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
紀田 順一郎
- 略歴
- 〈紀田順一郎〉1935年横浜市生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業。評論ほかの創作活動を行う。著書に「東京の下層社会」「日本語大博物館」など。
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紙の本
人はなぜペンネームや芸名を付けるのか
2001/11/02 18:16
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:安原顕 - この投稿者のレビュー一覧を見る
二葉亭四迷(本名、長谷川辰之助)の号は、父親の「くたばってしまえ」から来ているが、坂口安吾(本名、炳吾)の筆名が中学時代、学習意欲を失った際、「おまえには炳吾なんてもったいない。炳は明るいという意味だが、おまえは暗だ。暗吾だ」と教師に叱責されたことから来ていること、あまり知られていないと「まえがき」にあった。また巻末の「日本ペンネーム考」には、人はなぜペンネームや芸名を付けるのか。1、本名が平凡で印象が薄い。2、読みにくい。3、本名を隠したい。4、本名が嫌いなどを挙げ、昨今は双葉十三郎(小川一彦)、ジェームス三木(山下清泉)のように氏名ともにペンネームの人は珍しいとも書いている。さらに、村上春樹のような超売れっ子の場合、銀行や医院の窓口で「ムラカミ・ハルキさあああああん!」などと大声で呼ばれるとプライバシーが保てぬので、「ペンネームを付けておくんだった」と、春樹のエッセイからの引用もある。以下に、ペンネームに関する著名な二人作家の逸話を紹介しておくと、「三島由紀夫」は学習院中等科時代、『花ざかりの森』が師清水文雄の関係する同人誌『文芸文化』に載ることに。しかし作者が中学生、家庭のことなどを考慮した清水は、伊豆の修善寺温泉で編集会議が開かれた折、乗換え駅の「三島」と、そこから仰ぐ富士の「雪」を組み合わせらどうかと考え、帰京して本人に提案すると、「本名の平岡公威ではいけませんか」と難色を示した。なおも説得するや、「三島由紀雄」ならいいとの返事。「雄」では字面が重いので「夫」にしたらどうかと示唆、ようやく納得したのだそうだ。自決する一年ほど前のインタヴューで彼は、「三島由紀夫という名前は、若いイメージだから、五十、六十代になって由紀夫はてれくさい。いっそ白髪とでも名前を変えようか」と語ったと由。「大佛次郎」の本名は野尻清彦。英文学者で天文学にも詳しかった野尻抱影は長兄にあたる。筆名の起源は『太平記』の巻十、鎌倉合戦の箇所の「大佛陸奥守貞直」から取ったというから格調高い。「だいぶつ」「おさらぎ」の読みともにokだったようだ。当初はフランスの象徴詩人アンリ・ド・レニエをもじった安里礼次郎、時代小説を書き始めてからは流山竜太郎、白馬亭去来、須田紋太郎など、15ものペンネームを使いわけていた。中でも『鞍馬天狗』執筆時に用いた大佛次郎が最も有名になった。その頃、鎌倉の大仏裏に住んでいたこともあり、本家の「大仏」と混同せぬよう「おさらぎ」読みにする。ちなみに大仏は新しい木材「さらき」で作るため、ここから「おさらぎ」という読み方がきたと著者紀田順一郎は書いている。