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紙の本
ファーストコンタクトテーマの決定版
2002/03/18 04:19
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投稿者:トリフィド - この投稿者のレビュー一覧を見る
すべてのSF作品の中で、わたしがもっとも好きな作品のひとつ。必読級の傑作である。何度読み返したのか分からなくなった本のひとつでもある。
時は3017年。第二次人類帝国宇宙海軍巡洋艦〈マッカーサー〉号は、通常空間を亜光速飛行して飛来した異星の宇宙船を捕獲。かくしてコンタクトのため、異星人の母星系 ——モート星系—— に二隻の軍艦が派遣される。モート星系で彼らを待ち受けていたのは、異様な文明、異形の種族——。
あらすじを書いてみると、まるでスペースオペラか、最近流行りの帆船時代風のミリタリーSFかと云う感じだが、しかし、個性的な宇宙で展開されるこの物語は、まぎれもない正統派のサイエンスフィクションなのだ。ファーストコンタクトテーマの傑作である。
作品世界のベースにあるのは、ニーヴン流のハードSFのスタンス。厳密に構築された世界観が、この上もないリアリティを持って読者に迫ってくる。そしてこれは、古めかしさが非常に良い味わいを醸し出している作品でもある。人類帝国の時代錯誤的なまでの古めかしさ、古い古い世界であるモート星系のとてつもない時間の堆積が、極めてリアルに訴えかけてくる。物語それ自体だけでなく、訳語や字体に至るまでがうまくマッチして、実に重厚な存在感のある作品
世界を形作っている。
やがて明らかになる、モート人たちの哀しくも恐ろしい秘密。悲惨な宿命。彼らのやるせなさが読後に大きな余韻を残す、味わい深い作品である。すべてのSF者に読んでもらいたい傑作です。