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商品説明
多様な思想が花開いた20世紀。思想、言語、心理、政治、社会、人類、宗教、科学、歴史、批評の各ジャンルから厳選した88の焦点を50音順に配列。20世紀の思想を整理するハンドブック。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
木田 元
- 略歴
- 〈木田元〉1928年山形県生まれ。哲学者。中央大学名誉教授。著書に「哲学の余白」など。
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紙の本
経済学など、断固学問ではない
2001/02/01 18:16
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投稿者:安原顕 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「21世紀」に入ったが、来るべき100 年は地獄の世紀、人類があと100 年生き延びるなど、到底無理だろう。むろん、国を廃絶し、宗教、民族の壁も取っぱらい、「人類は一つ」の観点に立って叡智を結集、無駄と贅沢を省き、人口増加も厳しく抑制すれば、100 年くらいは持つかもしれぬが、それは不可能ゆえ、間違いなく自滅する。そんな時代に、いまさら「現代思想」など空しが、編者が木田元ということもあり、一応、読んでみた。「目次」はジャンル別に2つに分かれており、一つは「思想? 潮流」「同? キーワード」「言語」「心理」「政治」「経済」「社会」「人類」「宗教」「科学」「歴史」「批評」となっているが、「経済」の項目が思想以前、古臭い「レギュラシオン(調整)理論」一つとは解せない。好むと好まざるとにかかわらず、「21世紀」の人類の命運を握るのは、広く「経済」及び「経済活動」だからだ。もう一つの「目次」は、これらを個別に分け、「アナール派歴史学」から「歴史の終焉」までとなっている。ここでは経済学など、断固学問ではない証明として、「レギュラシオン理論」(筆者は佐伯啓思)を挙げておこう。これは60年代〜70年代にかけて自称先進国全体を覆った経済停滞期、フランスに登場した理論らしい。オイル・ショック、ニクソン・ショックに続くスタグフレーション(停滞+インフレの造語で、不況と物価上昇が併存する状況)を資本主義の危機と理解、各国の経済制度や社会的条件の分析を通し、「資本主義の変動」を論じたものである。この学派(と言えるかどうかはともかく)は、市場経済が基本的に安定したメカニズムを持つとの考えには立たず、「市場は不安定なもの」とし、それゆえ「市場を安定化」させる社会的条件や制度を問題にした。そして分析の結果、「調整様式」が背景の戦後世界は、アメリカを中心とした「フォーディズム」(作業の合理化によって大量生産する仕方)、つまり大量生産、大量消費に支えらた「蓄積体制」(賃金の上昇と消費の増大)が成り立ったと結論づけた。ところがこの「フォーディスム」がおかしくなるや、彼らは日本独自の経済システムに注目、「トヨティズム」などを唱えたこともあったようだ。このような単純かつ馬鹿馬鹿しい「レギュラシオン理論」一つを取ってみても、経済学など、いかに幼稚拙劣なものかがよく分かる筈だ。