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商品説明
今から70余年前の東京の、モダンでおしゃれなライフ・スタイル。最新ファッションに身をつつみ「銀ブラ」を楽しんだモボ・モガたちはどんな暮らしをしていたのか。現代生活の原画ともいえる「文化住宅」の全貌を明らかにする。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
内田 青蔵
- 略歴
- 〈内田青蔵〉1953年秋田県生まれ。東京工業大学大学院理工学研究科建築学専攻博士課程満期退学。日本建築学会奨励賞受賞。文化女子大学造形学部住環境学科教授。著書に「日本の近代住宅」等。
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紙の本
谷崎のナオミとジョージのいた頃。私たちの原型が現れた場所。70年前の、モボ・モガたちの住まいと暮らし。
2002/04/10 22:15
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投稿者:片岡直子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
こういう本を見ると、やたらと手に取りたくなるのは何故だろう。
自分が生まれた頃に住んでいた家の面影を、どこかに見いだすからか。
私たちの、曾祖父母たちが若かった頃のことだから、自分の幼少時からも、かなり隔たりはあるはずなのに、恐らくは、戦争の時代を経て、普通の家庭にこれらの建築や文化が、一般的なこととして、降りてきたのが、私の父母の若かった頃だからではないだろうか。
今見たら、勿論目新しいものではないどころか、却って古く懐かしいものであるはずなのに、その時代の「新しさ」を物凄く強く体現して、登場してしまったものだけが醸しだすことができるパワーを、今も保ち続けているように思える。
「第1章 都市と郊外とモボとモガ」では、銀座、勧工場、都市交通網、郊外、郊外文化、都市文化、モボ・モガなどについて語られる。今も大流行りのカフェも、元をたどれば、銀座で「紅茶25銭、珈琲30銭、ソーダー水30銭」というところから始まっている。
本書が指摘するように、この頃、「文化包丁」「文化鍋」「文化風呂」などのように、「文化」を付した言葉が多く出現する。「第2章 大正・昭和 住まいの風景」は、「『文化住宅』とは何か」という問い掛けから始まる。それは、「文化的な生活にふさわしい住宅」ということになるわけだけれど、大正十一年の上野の文化村の住宅や、大正十二年の目白文化村の広告などを見ると、早くもそういう場所に住むことができた人々の誇りと喜びが、建物自体の写真から、静かに伝わってくるようだ。
「エピローグ」には、その時の作風に合わせて、住宅を代えて引っ越しをしたという谷崎のエピソードが載っている。「『陰翳礼讃』は日本趣味の時期の代表作であり、このナオミとジョージの物語は西洋趣味の時期の大正十四年(一九三五年)に出版されている」 (bk1ブックナビゲーター:片岡直子/詩人 2002.04.11)