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商品説明
伊丹十三、A・タッソーネ、岸惠子、村上竜、北野武…みなさん、お世話になりました。素晴らしきシネフィルたちとの、映画に目が眩んだとっておきの会話を収録。「映画狂人」シリーズ第4弾。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
〈距り〉の〈場〉に向かって | 宮川淳 ほか鼎談 | 7-50 |
---|---|---|
映画批評の秘かな愉しみ | 鈴木啓二 ほか鼎談 | 51-68 |
黒沢明あるいは旗への偏愛 | 野上照代 ほか鼎談 | 69-94 |
著者紹介
蓮実 重彦
- 略歴
- 〈蓮実重彦〉1936年東京生まれ。映画評論・表象文化論・フランス文学者。前東京大学総長。著書に「シネマの記憶装置」「映画の神話学」「映像の詩学」など。
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紙の本
映画狂人、語る。
2001/06/05 18:36
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投稿者:新田隆男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「映画狂人」シリーズの第4弾は、76年から99年に至るまでの対談集。初期の対談では、構造主義的な見方、あるいは逆の記号論的な見方への批判を展開し、自らの依って立つ場所が語られ、80年代には様々な作家をどう評価するか、映画といかに併走するかのが模索される。そして90年代には…どうやら作家を育てる側へと微妙に変化しているようにも思えるのだが、どうだろう?
その立場の違いのせいか、伊丹十三よりも、むしろ村上龍との対話がスリリングだ(まあ、伊丹十三はまだ監督になる以前だが)。浅沼圭司、松浦寿輝、上野昴志、山根貞男、マックス・テシエなどの対談相手の流れとは明かに違う村上龍。村上が「KYOKO」を撮ったあとだけに、MGMミュージカルの代表的傑作「バンド・ワゴン」などを引き合いにだし、具体的な演出のノウハウにまで話は至る。かつて東大と立教にゼミを持ち、その門下から黒沢清や周防正行、万田正敏らを生み出している著者であるが、導き手としてのきらめきが垣間見得る瞬間だ。それはともかく、褒めるにしろ、貶すにしろ、対談の中でそれなりの熱を持って語られている80年代に期待されていた日本の映画監督の現在とは…。
当時の若手よりも、この頃すでに、ある仕事を成し遂げた監督として扱われている深作欣二や鈴木清順の方が、今でもパワフル(かつ人気も獲得している)という現状は一体?「映画を観続けるなら、楽観的にならざるをえないということです」という言葉ももれているが、なるほどと思う。あの時、すでに限界を感じながらも、戦略として褒めていた、ということなのだろうか?
(新田隆男・エンタテインメント探偵)