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紙の本
いのち 生命科学に言葉はあるか (文春新書)
著者 最相 葉月 (著)
生命誕生の瞬間に「人の手」が入ることの功罪とは? クローン、脳死、ES細胞、遺伝子診断…。哲学、宗教、医療など各界の第一人者との対談を通して、最先端の生命科学の過去・現在...
いのち 生命科学に言葉はあるか (文春新書)
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商品説明
生命誕生の瞬間に「人の手」が入ることの功罪とは? クローン、脳死、ES細胞、遺伝子診断…。哲学、宗教、医療など各界の第一人者との対談を通して、最先端の生命科学の過去・現在・未来に迫る。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
ドリーの遺言 | 9-34 | |
---|---|---|
痛い、もやもやとしたもの | 鷲田清一 述 | 35-53 |
宇宙のなかの人間 | 柳澤桂子 述 | 55-74 |
著者紹介
最相 葉月
- 略歴
- 〈最相葉月〉1963年東京生まれの神戸育ち。関西学院大学法学部法律学科卒業。フリー編集者・ライター。「絶対音感」で小学館ノンフィクション大賞を受賞。その他の著書に「青いバラ」など。
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紙の本
科学技術の提出した、人間側の問題を探る対談集。言葉が通じ合うためにはまだまだ知恵が必要かもしれない。
2005/11/07 12:09
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最新の生命科学技術についての、哲学者、分子生物学者、宗教家、作家、と多彩な12人との対談。ドリーに始まったクローン技術の最近の動向も織り込まれているので「そう言えばどうなっているのだろう」という興味も満たしてくれるが、対談の主眼は新しい科学技術の提出した、もっと人間側の問題である。
著者は1998年日本で最初にクローン技術に関する意識調査を行い、政府の関連倫理委員会の傍聴を続け、インターネットに一般向けのサイトを設けるなど、一貫して生命科学技術の動向を追いかけている、法学部出身のノンフィクションライター。本書のサブタイトル「生命科学に言葉はあるか」は、終章の、2004年7月の内閣府総合科学技術会議生命倫理専門調査会最終報告書についての著者の言葉、「少なくとも、この最終報告書には、未来に責任をもとうとする決意、「いのちの言葉」が存在しない。」によるのだろうか。この報告書に欠けていた言葉、科学が踏み込みつつある倫理や感情の領域を確認する言葉を捜すような対談になっている。
それぞれの対談には、問題を見る多角的な視点として価値のある言葉が含まれている。例えば「ペットのクローン、自分のクローン」の是非について、「自分の所有物は自分で決定できる、ということと自分で勝手になんでもできる、とは違う」ことや、「それらを作るためにどれだけの命を犠牲にするのかを知る想像力」。生命科学論議を離れて、現代社会の問題としても通用する言葉ではないだろうか。
著者は「一人でも多くの人の考えをうかがっておきたかった。初めてドリーを見たときに覚えた違和感が、技術を知れば知るほど薄れていくことに不安を感ずるようになったためである。」というが、この不安はなんだろう。「知れば知るほど」違和感が薄れていくことは理解が進んだ良い点ともいえるとおもうのだが。著者は科学者とそうではない人の認識のギャップを埋めるべく、本書のような著作を続けていると思うが、その立場が変わってしまうことへの不安、だろうか。ちょっとこの不安の意味にも切り込んで欲しかった気もする。
「クローン人間は絶対いけない」と言う感情的なだけの反対から、きちんとした、人間としての責任ある対処に繋がる論理的な議論へ。著者はまだまだその途上で努力を続けているように感じる。科学者や、経済・国家利益代表者、一般の人々の間にはまだまだギャップはあるだろう。「理解できない、あるいは理解できても渡り合う気持ちのない人と渡り合うための知恵ってあるのでしょうか。」と著者も何箇所かで書き、対談者に問いかけているが、それこそがまず必要かもしれない。