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紙の本
中島義道の軌跡
2005/02/15 04:18
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちひ - この投稿者のレビュー一覧を見る
一九九〇年に中公新書から出版された『ウィーン愛憎』の続編。
三三歳のとき、日本での学究や私的生活が完全に煮詰まり行き詰まってしまった著者は、状況を打開するため、すべてをなげうってウィーンに私費留学することを決意、単身ウィーンに飛ぶ。無謀とも思えるさまざまな挑戦とさまざまな非日本的・非日常的体験を経て、やがて著者は配偶者とめぐり遇い、博士号も無事に取得し、日本に凱旋帰国する。
前作はそこで終わるが、著者はその後も日本とはあらゆる意味で正反対のウィーンで培われた「戦う哲学者」としての基本的態度を貫き通していく。その道程は『うるさい日本の私』『〈対話〉のない社会』『哲学の道場』『孤独について』『私の嫌いな一〇の言葉』『怒る技術』など、数々の執筆活動に結実してゆく。
前作はウィーンと日本の「比較文化論」の色彩が強く、ウィーンに対しては「愛憎」の「憎」の方が強かったが、今作はうって変わって古き良きウィーンに対する「愛」の色彩が濃くなっているように思える。また、以前の著者の態度には窺い知ることの出来なかった、他者に対する愛、あまつさえ「家族愛」がテーマとなっているように思える箇所さえある。二〇年の年月は、かくも劇的に人を、街を、世界を変えるものであったのか。
前作と併読して初めて真の「ウィーン愛憎」となるであろう。
紙の本
ウィーンの過ごしやすさと家族との対立
2020/01/12 04:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
前回は日本での停滞を打開し、博士号を取得するためにウィーンに来ていた著者が、今回はより余裕をもって、家族との関係を修復するためにウィーンを訪れる。
前作で体得した文化的平等主義は今作にも受け継がれていて、著者は変わっていないように感じたが、ウィーンの町は激変したようで、古くから伝わる気風のようなものは、絶えたそう。しかし著者は環境音を除いて、それを非ヨーロッパ人の暮らしやすさとして評価する。全体的に著者はウィーンの町で過ごしやすくなったようだが、そんな著者を最も苦しめるのが日本人である自らの家族というのは、皮肉である。前作を読んでいるだけに、家族との対立は胸にしみる。