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紙の本
アメリカ大統領の変遷を押さえておきたい人に好適の本
2009/03/01 01:41
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:JOEL - この投稿者のレビュー一覧を見る
このところオバマ大統領の演説を収めた本が売れている。にわかにアメリカの大統領が国際社会から注目を浴びているかっこうだ。
それはブッシュ大統領があまりにひどく、単独行動主義でアフガンやイラクに先制攻撃を加え、同地域を不安定化したことの裏返しである。
オバマ大統領の演説の巧みさや、その人柄が引きつけている面もあるが、歴代大統領の政策を丹念に追ってみることで、オバマ大統領の今後の政権運営を占うことができそうである。そんなとき、本書はよきテキストになるだろう。
本書が刊行されたのはブッシュ政権の二期目にあたるので、オバマ大統領は登場しないが、その分、かえって読者はオバマ大統領にどれほどのことが期待できるか占いやすい。オバマ大統領への熱狂から離れたところから、米国の大統領制の変遷を眺めることができるからである。
米国の大統領はオバマ大統領で第44代となるが、歴代の大統領の仕事ぶりは相当に違う、時代状況が大統領権限を強めたり、弱めたりしてきている。大統領と対峙するのは、もちろん議会である。
事実上の国家元首の役割を果たし、戦時には指揮官になる大統領は、強大な権力を持っているように見られがちだが、必ずしもそうではない。19世紀には大統領権限は弱かった。
合衆国憲法で、行政、立法、司法は完全に三権分立している。日本が議院内閣制をとり、行政府が立法や司法に対して優位にあるのとは一線を画す。ちなみに、日本の場合、行政府は法案提出前に政権与党の了解を取り付け、一体となってしまうので、利権がばらまかれやすく、腐敗しやすい。
一方、米国の大統領が強い権限を行使したのは、ニューディール政策を押し進めたフランクリン・ルーズベルト大統領に始まる。もっとも、現在でも、大統領をはじめとする行政府には法案提出権限は憲法上はなく、すべて議員提出法案である。できるのは、議会との調整を済ませ、法案を準備して、立法の審議を勧告することである。
世論を見方につけながら、議会調整を人脈を駆使して成し遂げた大統領が、自分の公約を立法化して実現にこぎ着ける。同時に、議会が通した法案を拒否権発動で拒むこともできる。
本書は、大統領権限をうまく行使し得た人、できなかった人がそれぞれに検証される。我々の記憶に新しいのはレーガン大統領以降かも知れない。どのようにして議会対策や行政府幹部の政治任用によって、実績をあげたかがつまびらかになる。こうした記述はとてもためになる。日本人が米国を見るとき、どうしても大統領の動きにのみに引きずられるが、主席補佐官の役割など、あまり伝えられない動向も注意してみておく必要がある。
ホワイトハウス・オフィスをうまく機能できなければ、オバマ大統領といえども力を発揮できない可能性は十分にあるのだ。すでに出身政党でない共和党側の支持を取り付けられずにいることが指摘されている。
ブッシュ大統領は就任時から、その資質に疑問符を付されていたが、まがりなりにも政権初期に評価されていたのは、首席補佐官や大統領顧問、チェイニー副大統領の働きぶりが大きい。結局、大量破壊兵器をイラクが所持していないのが明らかになり、イラクの複雑な事情も相まって泥沼の道を歩み、完全に落日となって、オバマ大統領に譲ることになった。
オバマ大統領の就任式を深夜まで起きて、リアルタイムに視聴したのだが、演説は現実主義的なもので胸を打つ言葉は少なかった。私にとって一番印象に残ったのは、タカ派の単独行動主義者であったチェイニー元副大統領が車椅子で現れたシーンであった。ブッシュ政権の凋落ぶりを象徴する光景と映った。
強い大統領と弱い大統領、大統領と一体となる議会と、大統領権限に制約を加えて弱めようとする議会。その都度、幾多の試練を乗り越えて、米国の大統領システムは変化していく。その柔軟さは、良くも悪くも民主主義の総本山である。
オバマ政権のアキレス腱として心配されるのは、イラクから撤収を進め、アフガンに注力する意向を示していることだ。実際にやってみたら、イラクが内戦状態に陥り、アフガンで米国が足を取られる危険性は少なくないと見る。
オバマ政権は、今、国内問題に目を向けるのに精一杯である。演説の巧みさだけで、自身の政策を次々に実現化できる時代ではないことは、本書が教えてくれる。今後の動向から目を離せない。
米国に関心があるといっても大統領の名前くらいしか浮かばない方には、一読の価値のある一冊と言える。
紙の本
それはスーパー・パワーか、それともポストモダン大統領制か?
2009/03/31 19:44
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:半久 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ポストモダン以降、自然科学、人文・社会科学を問わず、なんらかのイデオロギーや価値観から完全に「中立」な研究はまずないということは、なかば「常識化」しているといっていいかもしれない。だからといって、それに開きなおって主観全開ではまともな研究にはならない。これまで積み上げてきたより客観的な方法論を尊重してすすめるのが、アカデミズムの常套的な手法だ。そのことをふまえていれば、研究者が無理に「中立」の姿勢をよそおう必要もない。
この点に関して、著者はあとがきで次のように述べている。
《私がアメリカ政治を真剣に観察するようになったのは、ヴェトナム戦争が激化していた一九六七年頃からであった。アメリカの政治理念を高く評価しつつ、この国の現実の政治社会に現れるそれからの逸脱には批判の目を向ける--これがそれ以来アメリカの政治研究で私がとってきた姿勢である。そして周りのアメリカ研究者の多くも、このような態度を共有していると信じている。》
これを「研究者の良心」などというと、おおげさかもしれない。
ともあれ、よいところは認め、悪いと思ったことは指摘する。一方的に追従はしない。それほど深く考えずとも、あたりまえの態度ではないかと思う。
しかし、相手がアメリカとなると「あたりまえ」が「あたりまえ」にできない人もすくなくない。著者の「誠実さ」について、取りあげたくなったゆえんである。
さて、アメリカ大統領の権力とはいかほどなものなのか。独裁者になぞらえるのは論外としても、アメリカ政治は大統領を中心に回っているとお思いの方も多いのではないか。著者のみたては以下のようになる。
《私はいまでもアメリカ政治は大統領を中心に動いているという見方はとっていないが、大統領を抜きにしてアメリカ政治を本質的に論じることはできないと思っている。》
微妙な言いまわしだが、これをどう論証していくかが本書の読みどころだ。
歴史的には19世紀は議会の勢力が強く、相対的には弱い大統領であることが多かった。20世紀になり、とくにローズヴェルトによって強い大統領制の制度化がなされた。ローズヴェルト以後の大統領は、19世紀的な弱い大統領には戻れなくなっている。しかし、それは大統領の優位性が定着したということではない。大統領個人の権力を振るうことへの意欲もからむが、基本的には議会とは均衡している。流れとしてはむしろ脆弱化しているといってもいい。
権力者として光り輝くときもある。それは、「戦時大統領制」をうまく活用したばあいなどだが、それとても一時的な輝きであって構造的に長続きするものではないようなのだ。
なぜこのようになってきたのかについて、なかなかに説得的な議論を展開している。
アメリカ大統領には、過度に期待するのも失望するのもよろしくなかろう。冷静にみていくためのよい材料となってくれる本だと思う。
紙の本
ブッシュ(息子)のことが大嫌いなことだけはわかった
2023/12/01 13:02
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカの通史を大統領制を軸にして説明している本、どうやら著者は民主党が好きで共和党が嫌いなのかな、ブッシュ(息子)のことが大嫌いなことだけはわかった。トランプさんをどう評価しているのか聞きたいなあ