紙の本
世界最強の軍隊の生成過程とは
2001/03/09 11:16
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界最強の軍隊といわれるユナイテッドステーツマリーンコー。その栄光の軍隊が実は常に邪魔者扱いされ、海軍と陸軍から合併吸収の脅威にさらされ、何とか独自の生存の道はないかと死にものぐるいで思考を巡らせた結果、水陸両用の両生類になりきることにその存在意義を見つけだす。組織にとって革新とは何かを考えさせてくれる本。
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アメリカ海兵隊の歴史が書かれた本です。海兵隊は、簡単に言えば「存在理由」との戦いだったんだなぁ、と思います。その点では、「人間」と通じるものがあると思います。海兵隊がどのような組織なのかも、もちろん書いてあります。
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[ 内容 ]
1775年に英国を模して創設されたアメリカ合衆国海兵隊は、独立戦争以来、2度の世界大戦、朝鮮・ベトナム・湾岸戦争などで重要な任務を遂行し、遂にはアメリカの国家意志を示威するエリート集団へと成長した。
はじめは海軍内でとるに足りなかったならず者たちが自らの存立を懸けて新たな戦術を考案し、組織の自己革新をなしとげたのである。
本書は、その戦績をたどりながら、「最強組織」とは何なのかを分析する試みである。
[ 目次 ]
第1章 存在の危機
第2章 新たな使命の創造―水陸両用作戦
第3章 教義の実践―南太平洋方面作戦
第4章 教義の革新―中部太平洋方面作戦
第5章 革新への挑戦―水陸両用作戦を超えて
第6章 組織論的考察―自己革新組織
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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The Few. The Pride. The Marines.
なるほど。
強力な組織をどう創り上げるか、参考になる。しかし、戦争という目的が共有しやすいからうまくいくような気もする。
低成長と少子高齢化の中でサステイナブル
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アメリカ海兵隊の特徴から、進化し続ける組織について述べられている。絶えずそのミッションを変化させ続け、一方でライフルマンという軸足は常に一定していたらしい。驚くのは何度もその存亡の危機にあっていたという事とその度に役割を変えてきたということ。そこまでして組織を残し続けようとした組織の本能とでも言えそうな能力はどうやって培われたのか。やっぱり愛かなあ。
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後輩に言われて読みました。野中郁次郎の単行本は読んできましたが新書は気づきませんでした。
非営利の公的組織である軍事組織を研究対象にしてますが、野中氏は自己革新組織を「絶えず自ら不安定性を生み出し、そのプロセスのなかで新たな自己創造を行い、ひやくてきな大進化として再創造(リインベンション)と連続的で漸次的な小進化を、逐次あるいは同時に行うダイナミックな組織」と定義して、6つの要件を考察してまとめています(第6章)。
(1)「存在理由」への問いかけと生存領域(ドメイン)の進化
(2)独自能力ー「有機的集中」を可能とする機能配置
(3)「分化」と「統合」の極大化の組織
(4)中核機能の学習と共有
(5)人間=機械系によるインテリジェンス・システム
(6)存在価値の体化
これらの矛盾するようにみえる要件は自己革新組織の機動力の要件であり、「普遍の存在価値を堅持しつつ機能的価値を革新し続けるのが、自己革新組織である」(P203)として、合衆国海兵隊を一つの原型(アーキタイプ)とみています。
本書は『失敗の本質』で帝国陸軍が対峙した合衆国海兵隊に興味を持った著者が合衆国海兵隊の戦績をたどり変革のあゆみを分析した本として第5章まで読んだ後、第6章が自己革新組織の概念化を提示してやや難しくなります。組織マネジメントの本として第6章は押さえておきたい本です。
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野中郁次郎『経営は哲学なり』では、『アメリカ海兵隊』を解説!旧日本軍がガダルカナル戦で対峙したのは、陸軍でも海軍でもなく、アメリカ海兵隊だった。失敗の本質ファン必見!!!!
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「蒙がを開かれる」とはこのことだ。道に迷っている場合ではない。本書は著者の代表作『失敗の本質』と対で読まれなければならない。日本軍の「失敗の本質」はマニュアル君がそこかしこに跋扈したせい。一方、海兵隊が時代の荒波に揉まれながらも前線に立ち続ける理由は「無頼漢」気風を持ち続けているからだ。両者の大きなちがいは「官僚化するか否か」である。官僚機構は平時に発達する。日本軍は誕生も遅く「日清日露」以来、存亡の危機に立たされることがなかったので、形式主義や前例主義に頼ることになり、臨機応変に対処する考えを失ってしまった。かたや海兵隊はつねに「そもそも必要なのか」と疑義を挟まれ続ける組織だったために、存在意識を先鋭化させざるをえなかった。「生存の危機」こそが発明の母。『ピーターの法則』で言及される「無能状態に陥らないためには過剰適応しないことだ」というテーゼをそのまま地でいっている。そして、忘れてはならないのは、システム上の問題だけでなく気概の面でも、日本軍は海兵隊に太平洋で完敗していた点だ。タラワや硫黄島での日本軍を忘れてはならないが、海兵隊は勝つことに執着しており、あらゆる方法を駆使することを厭わなかった。やっぱり前のめりでいかないと。うまく思いをかたちにできないので再読します。
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つねに不要論が存在することは、自己革新的であるための重要なポイントなのかもしれない(商社も似たようなものである)。また、海兵隊が自己革新的でいられたのは、「平時には縮小される」という軍隊特有の絶対的な運命があるために、存続の危機をつねに体感していたことも大きいだろう。
そういう意味で言えば、海兵隊が自己革新的であることができたのはひとえに政府という絶対的圧力団体が存在したからで、個人的には、この構図を株式会社に活かすことができるのかどうかに興味を持った。
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◎太平洋戦争における米国海兵隊の対日基本戦略となるオレンジ・プラン 【P22】
1924年承認(先見性)/海兵隊幕僚アール・H・エリス少佐が提言/水陸両用作戦による敵前進基地の奪取を海兵隊の使命と定義
◎海兵隊気質を持つ男:アンドリュー・J・ヒギンズの人生哲学 【P45】
「手続きはどうでもいい、やってしまえばいいんだ(Never mind how; just get the job done.)」
◎タラワ上陸作戦の教訓を活かす 【P90】
作戦終了直後、戦闘中に生じたすべての失敗と欠陥を発見し、詳細に検討し、それを修正するよう、幕僚たちに指示した。
↓
タラワ上陸作戦の究極の戦訓は、ライフルマンを支援する戦車・砲兵・工兵・艦砲射撃・近接航空支援を統合する有機的チームワークとコミュニケーション手段の構築にあった。
↓
太平洋全域にわたり、戦訓が配布された。
◎研究開発システム 【P166】
海兵隊員には、全員が研究開発に関する情報提供が義務付けられ、訓練終了後ごとに、たとえシャベル一本の改良すべき部分でも発見すれば、部隊から即、開発センターへ知らせるシステムが確立されている。
◎反省のシステム 【P168】
組織が過剰適応に陥らず絶えず革新への挑戦を行なっていくためには、組織が基本的な物の見方、認知枠組み、思考前提を日常的に創り変えるプロセスを制度化していることが重要である。
海兵隊の場合の2つの仕組み:
1,海兵隊司令官が推薦図書を公表し、隊員全員に議論のきっかけを提供する伝統。
2,隊内月刊誌の自由投稿紙面の目的は、自由な議論とアイデア交換の場を提供し、…思慮に富む投稿を通じて毎年多数の海兵隊員が、海兵隊の進化と進歩に貢献するアイデアを提起できるようにすること。
情報収集機関や部署に依存するよりも、組織構成員の一人ひとりが絶えず組織環境の変化(個々の概念とその結晶化したものが古くなっていないか)を監視するほうが、個人的かつ組織的な変革へのコミットメントを引き出すためにも望ましいと思われる。
◎自己革新組織の組織論的考察 【P171】
※紙面コピーを参照のこと
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アメリカ海兵隊のことを書くということは、第二次大戦の日本軍のことを書くということで、途中で読むのが辛くなり断念しました。
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意思決定関連の本として借りたのですが、借りようとしてたのは別の本だったっぽい。
日本軍のやられっぷりの描写がけっこう生々しいです。これはこれで興味深く読めました。
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海兵隊の歴史と変遷が判る。米国民に組織の存在理由を如何に納得して貰ふかを組織論として展開する。
17年前の著作であるが、オスプレイ開発の話も登場し古さを感じない。
海兵隊入隊者は必づライフル射撃訓練をさせられる。ライフルマンが飛行機、ヘリ、戦車、LVTを動かす。
「友軍を見殺しにしない。死傷者を戦場に置き去りにしない。」
軍事組織に縁遠い日本人にとって大変勉強になる本だ。
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どうしても旧日本軍との戦いが登場し、海兵隊=正、旧日本軍=悪(敵)という図式が見え隠れし、非常に読むのが辛い。全然ページが進まない。
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失敗の本質の野中さんの本ということでアマゾンに薦められて購入。組織論自体は公共組織なので営利組織にはそのまま転用できないのかもしれないと思ったが、勉強になる。こんどはSEALの本を読んで比較してみたい。