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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2003.5
  • 出版社: 新潮社
  • サイズ:20cm/251p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-10-459501-3

紙の本

4TEEN

著者 石田 衣良 (著)

【直木賞(129(2003上半期))】銀座から地下鉄で10分、長屋ともんじゃ焼きと超高層マンションが調和して共存する町・月島。この町で僕たちは恋をし、傷つき、死と出会い、...

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4TEEN

税込 1,540 14pt

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商品説明

【直木賞(129(2003上半期))】銀座から地下鉄で10分、長屋ともんじゃ焼きと超高層マンションが調和して共存する町・月島。この町で僕たちは恋をし、傷つき、死と出会い、そして大人になっていく…。14歳の中学生4人組が出会った8つの瑞々しい物語。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

石田 衣良

略歴
〈石田衣良〉1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。広告制作会社等を経て、コピーライターとして活躍。97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール読物推理小説新人賞を受賞。著書に「娼年」等。

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みんなのレビュー237件

みんなの評価3.9

評価内訳

紙の本

二枚目ではない4人のカッコよさ

2004/06/10 12:51

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:norinory - この投稿者のレビュー一覧を見る

仲の良い男子中学生4人が、次々と起こる出来事によって成長していく姿が、小気味よいテンポでつづられていく。14歳の一生懸命さに、笑わされ、涙する。

4人は、いろいろである。ナオトは早老症、ダイは大柄で太っていて、ジュンは小柄で頭が良く、テツローは、まあ普通だ。また、ナオトは最上流のお金持ちの子だが、ジュンとテツローは中流一般家庭、ダイは最下層である。

しかし、誰もナオトの病気を憐れんではいないし、ダイの貧困を憐れんでもいない。4人はこれらの違いをすべて個性と捉えている。しかも自然に、完全に。だから例えば、ナオトの病気をネタにした冗談に、ナオトも含めた全員で爆笑することができるのだ。

気の合う友だちの、ありのままを互いに受け入れ、その中で自分たちにできることを精一杯やって、問題を解決していく。4人の中にスーパー中学生は一人もいないけれど、4人は本当に格好いいのである。

この爽やかな読後感に包まれたなら、あなたにも、いさぎよく今を受け入れる勇気が生まれるかもしれない。ありのままを受け入れることは、あきらめることではないのだ。

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紙の本

14歳の時に、読破

2023/10/27 17:27

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:狂ったチワワ - この投稿者のレビュー一覧を見る

当時の感想としては、ああ
こういう物だよなと思った。もともとそれ以上に荒れていたともいえるが
今思い返すと、複雑な設定だったなと思う。
当事者達は、日常を常にそういうものと捉えてしまう癖があるのだろう。

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紙の本

甘酸っぱくてドロドロもしている中二。 「びっくりプレゼント」と、「空色の自転車」が秀逸。人にも薦めたい。

2023/08/21 09:41

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る

東京・月島の14歳。中二4人組の一年の物語。

難病。
不登校。
空気を読めない同級生。
不倫(!)。
DV。
花火と死。
恋。
家庭内暴力。

そして小さな旅。

甘酸っぱくてドロドロもしている中二。

「びっくりプレゼント」と、「空色の自転車」が秀逸。

また、何年かしたらまた読みたい。人にも薦めたい。

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紙の本

橋の上を颯爽と吹き抜ける潮の匂いのしない海風のように

2004/07/06 23:47

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:海の王子さま - この投稿者のレビュー一覧を見る

中央区月島を舞台に走り回る14歳の中学2年生4人組。あ、4人のティーンだから「4TEEN」なのかな。(複数形の“s”がないとか、細かいことは気にしないことにします。)

4人のキャラクタは、おおよそジャイアン、スネ夫、出来杉くん、大原正太(オバQ)。4人がそれぞれ何かをしでかす、あるいは、クラスの変わったヤツが絡んで何かをしでかしてくれる。そんな短編が8編。とてもお約束なチーム構成です。そのへんは、ちょっとだけゲンナリ。

けれども、舞台として描かれている地域が、とても身近なところで。親近感を持って読むことができました。また、小道具としての自転車が非常に活きていて、全体的に文章にスピード感が出ていたように感じました。ページをめくりながら風になるような、心地よさ。

途中、ところどころに「過去の話なんだな」と読み取れる部分があって。「そのことは、いまでも覚えている」とか。時代設定がいつなのかは明確にされていないけれども、おおよそ2000〜2002年頃でしょう。そうすると、作品を俯瞰する「ぼく」にとっての現在はいつなんでしょう? ちょっとだけ気になりました。

作品の最後を飾る章は「15歳への地図」。総集編としてトリを飾るのにふさわしい一編に仕上がっていて。とても爽やかに読み終えられました。

とても楽しめた、懐かしめた一冊でした。そのうち、月島から新宿中央公園まで、☆十五歳への旅に出てみましょうか。(何年後かな?)

石田衣良、とても気に入りました。他の作品も気になるところです。

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紙の本

悩めよ悩め若者タチ!!!

2003/11/11 07:26

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:いばちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

月島中学に通う頭脳明晰なジュン、ろくでもない父親を殺してしまうダイ、超高層マンションに住む金持ちの家庭に生まれるが寿命が約30歳という早老症のナオト、一般的な家庭に育つテツローの4人組が、思春期にありがちな恋愛、家族との葛藤、病気との闘い、家庭環境のちがい、性への興味などそれぞれの悩みを共有しながら送る日常生活を描く。8つの章の最後は、4人が新宿中央公園でテントを張る2泊3日の旅行にマウンテンバイクで出発する『十五歳への旅』。帰りに誰にも言ったことのない秘密を打ち明けることにして…。

劇的!!ということはない。だが、中学生だろうと高校生だろうと大学生だろうと社会人だろうと共感できる緩やかぁ〜な風が吹いているような話だ。実際、ラストシーンでは私は大学時代の友人達を思い出した。ラストは『次の日にまた会うに決まっている友達にさよならをいうのは、いつだってなかなか楽しいものだ。』とある。そう、いつだってあえると思って私たちは別れる。そういえば私は先月友人達と久しぶりに飲んだ後、京都烏丸駅で走って終電に乗り込んだ。そのとき、残金200円くらいだったと思う。それじゃあ、あんまりだからと1000円渡された。浜松に住むやつからだ。いつかえすんだろう? まぁ、いつか返せるだろう。…
つまりはこういうこと。
トモダチバンザイ! ワカサバンザイ! 悩めよ悩め若者タチ!!! でしょう。

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紙の本

爽やかな風が言う。「そんな場所で絶望なんかさせない」。

2003/10/21 22:04

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:3307 - この投稿者のレビュー一覧を見る

  それはあけ放した窓からうちの中学の階段に流れこむ五月の風が
  気もちよかったせいがあるのかもしれない。潮の香りがしない
  東京の海風だ。別になにも楽しいことはないけれど、一瞬だけ
  最高の気分になるときがある。
(——P062)

中二男子。世界の果てを切り取るのは自転車。
まだ、ガソリンの無い世界。
友達。それもかなり濃密で理想的な四人。

【ジュン】四人の頭脳担当。どんな情報も的確に処理。ポストイット。
  「最近ではこのクリスタルって子が一番」
   そういうとポストイットのついたページを開いた。
(——P010)

【ダイ】四人の体力担当。180cm・100kg超。フレンチフライも大。
  「ああ、だいじょうぶ。おれ、きつくなってからがタフなの」
(——P200)

【ナオト】四人の勇気担当。早老症。人の三倍の早さで回る地球。富豪。
  「ホント。こうしてると学校も病気も夢みたいに感じる。
   全部が嘘で今、風のなかを走ってることだけがほんとうみたいだ」
(——P125)

【テツロー】ぼく。四人の"ここちいばん"担当。
  ぼくはダイの肩に手をおいて、必死にとめた。
  ひとりでそんなに遠くまでいってはいけない。
(——P247)

もし、生身の肉体を持った役者さんが演じたら、
生々しすぎて、苦手かもしれない。

でも、石田さんの文章に触れると、
この世界にすっと入っていける。この爽やかさが魅力。

それは、「今」を素材に、「変わらないもの」を、
希望的に描くスタンスから生まれる、クリアな心地よさ。

こちらの都合はお構いなしに、降りかかる災難。弱り目に祟り目。

でも、石田さんは、袋小路に見えた暗がりにさっと光を当てる。
——「確かにそうだ。でも、だからどうした?」と。

そう簡単に、絶望なんてさせてくれない一冊。

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紙の本

彼ともんじゃ焼とノスタルジーと

2003/08/06 00:46

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:るな - この投稿者のレビュー一覧を見る

この小説の良さをどんなふうに伝えればわかってもらえるんだろう?
「月島を舞台にした青春小説でね、主人公は14歳の少年4人のグループなの」
ふうん。イマドキの「キレる少年たち」とかそういうお話?
「ううん。全然そんなんじゃないの。主人公の少年たちはそれぞれ個性的なんだけど、皆まっすぐで、心にキラキラしたものを持ってて、いつもマウンテンバイクで一緒に走ったりしてるの」
そうなんだ。で、どういうところが面白いの?
「う〜ん。なんていえばいいのかなあ。読んでいるとわくわくしたり、どきどきしたり、胸がきゅんと痛くなったりするの。私は女だからホントのところはわからないけど、14才の男の子ってこういう感じだったよなあとか、思春期のもやもやした感じとか切ないやるせなさみたいなのが伝わってきて『わかる、わかる』って思うところもあるし。多分、大人の男の人だったら、誰もがこの本を読んで懐かしい気持ちになると思う」
ああ、少年期のノスタルジーを味わえる青春小説ってわけね。
「うん、まあ。簡単にいっちゃうとそうなんだけど、この小説の魅力はそんなひとことじゃ表せないんだってば! とにかく一度読んでみてよ!」
そういって私は、ふだんほとんど小説など読まない35才の彼に、この本を「強制貸し出し」した。

そして3日後、彼にしては異例の速さで本を返却してくれた。
「うん、よかったよ…。読み始めたら一気に読んじゃったよ」。
そういって、ちょっと照れくさそうに本を手渡す彼。
実は、これまで何冊かこうして「強制貸し出し」しているのだが、結局最後まで読めないらしくていまだに返却してこない本もあるなかで、この本は珍しく彼も気に入ったらしい。しめしめ。

数日後、私のリクエストで、小説の舞台となっている月島でデートした。西仲通り、通称「もんじゃロード」を訪れ、ふたりでもんじゃ焼きを食べた。
お店を出た後、商店街をぶらぶら歩いていたら、私たちふたりのわきを、マウンテンバイクに乗った少年4人が疾風のように走り抜けていった。
まるで『4TEEN』に登場する少年たちに出会えたような気がして、なんだかちょっと心が温かくなった。

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紙の本

“いっぱしの大人”に読んでもらいたい一冊

2003/07/30 18:36

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ニャンゴロ - この投稿者のレビュー一覧を見る

作者の石田 衣良については骨音が前回直木賞にノミネートされるが受賞を逃している。今回受賞するべくして受賞したといえようか。実力・人気ともに充実している。

 本作品で描かれる主人公たちは中学生二年の4人組。一人一人が何か問題を抱えているが“今時の若者”らしく、マジな話によりもバカな話に興じるほうが面白い。しかし、仲間の一人が自分の親父を殺してしまった時---留置場に拘束されている仲間への手紙に綴る言葉。または親に内緒の新宿での野宿。夜にみんなで自分の秘密を一つ話そうと計画し、そしてみんなに話していく自分の悩み等々。“今時の若者”が描かれているが、20代30代の“いっぱしの大人”が読む方が共感を得るのではないだろうか。

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紙の本

こどもにとって居心地のよい家庭はない

2008/07/07 20:05

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る

4TEEN(フォーティーン) 石田衣良(いら) 新潮社

 この方の新聞小説を以前別のタイトルで少し読んだことがあります。この作家さんの文章はわたしの好みではありませんが、14歳シリーズで本を読んでみようと思い立ったので本を手にしました。8編の作品ですが、登場人物は同じこどもたちを中心にしています。ぼく(北川テツロー君)、内藤潤(ジュン、成績良し、メガネ)、小野大輔(ダイ、180cm、100kg)、ナオト(冒頭は入院中、早老症、お金持ちの子)、そのほかに立原ルミナ(過食症)、関本譲君などです。
「びっくりプレゼント」なにかしらアンバランスな内容です。先日読んだ「セックスボランティア」河合香織著が思い浮かびました。
「月の草」途中ルミナは死んでしまうと予想しましたがそうではありませんでした。最後の5行の意味がわかりません。北川君が彼女に惚れるとは思えないのです。
「飛ぶ少年」ここまで読んでみて、広い世界の中の中学生という狭い世界に大人の作家がここまでこだわるのはどうかという感想をもちました。飛ぶことも助かることもつまらない。
「十四歳の情事」暴力旦那を追い詰める手法がこざかしい。警察を入れるべきです。問題の解決が成されていません。
「大華火の夜に」アカサカさんは死ぬだろうと予測しながら読みました。誰かが死ぬから誰かが生まれてくることができます。
「ぼくたちがセックスについて話すこと」この本全体が、セックスがらみの記述が多い。食卓に並べられた料理の皿がそればかりでは、辟易(へきえき)してしまいます。
「空色の自転車」毒々しい。出だしからしばらくは書き手にこどもへの愛情が感じられません。(後半はよかった。)世の父親たちにその責任を問う問題作です。
「十五歳への旅」こどもにとって居心地のいい家庭はないでしょう。だからこどもは独立していけます。

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紙の本

たまねぎの皮をむけば

2003/09/10 01:02

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 第129回直木賞受賞作品。ほとんどの選考委員が絶賛した作品である。選考委員の井上ひさしが「活字がさわやかな風となって吹き込んでくるかのようだ」と選評に書けば、同委員の田辺聖子は「この作品のように、ページを繰るたび、新鮮な<愉しみ>がピチピチ跳ねているというのは、珍重に値する」と手放しの褒めようである。四人の十四歳の中学生を主人公にした八つの物語を読み終われば、ほとんどの選考委員と同じように、彼らの生き方に素直に感動している自身がいるだろう。私も、そうだったように。

 平岩弓枝は「作者の計算の上に違いない」とことわりながら「作品の舞台を月島界隈にとったのも成功している」と評した。平岩が「はからずも、現代の東京の縮図のようなもの」と書いたように、この物語の舞台は、都会の代名詞でもある銀座に数分でたどりつける月島という街だ。超高層超高級マンション群と中規模の中級マンション、そして昔ながらの木造長屋と「街の様子はきれいに三つに分かれ」ている。それは貧富の象徴でもあり、過去現在未来といった時代の姿でもある。そこはあまりにも記号化された街でもある。舞台が記号化されるように、実はこの物語の主人公たちも、十四歳という年令で記号化された少年たちでもあるのだ。

 携帯。コンビニ。マウンテンバイク。援助交際。拒食症。今風の風俗をまとうことで、あたかも少年たちは「今どきの中学生」として描写されている。しかしながら、井上ひさしが選評で書いているように「風俗の泡の中に呑み込まれているかの見える少年たちが、じつは真っ当な、古典的ともいえる友情にもとづいて行動している」昔ながらの少年でもある。そして、そのことで大人である選考委員は安堵しているとも思えなくもない。

 昔こんななぞなぞをして遊んだことがある。「たまねぎの皮をむいたら、出てくるのは何?」なぞなぞだから、生物的な回答がでるはずもなく、答えは「涙」だった。このなぞなぞのように、四人の十四歳の少年たちから風俗という皮をむけば、涙がでるような懐かしい青春群像が現れるかもしれない。しかし、現実の十四歳の少年たちは、どんなに皮をむいたとしても常に十四歳という姿で顔を出すにちがいない。皮をむかれるたびに、痛みで泣き出す子もいるだろう。むけども、むけども、十四歳の少年のままだ。懐かしさは大人たちの感傷だ。そのことをこの連作集は表現できただろうか。さわやかさという言葉で表現できない地点に、現実の少年少女がいるように思えてならない。

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紙の本

迂闊にも感動してしまう、そんな小説。

2003/08/18 20:52

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:UMI - この投稿者のレビュー一覧を見る

早老病、登校拒否、拒食症。
ドメスティックバイオレンス、同性愛、取り調べ。
家出、風俗、終わりの話。
並べてみるとかなりへヴィーだ。

秀才のジュン、体格のいいダイ、入院しがちの金持ちナオト。
平均的な中学二年生のぼくことテツロー。
4人の自転車が失踪する町こと月島。
水辺を囲むように立ち並ぶビル郡を臨む後ろ姿が清々しい装丁。
舞台はそろっている。
 
たぶん現実世界には彼らのような事件ばかりの日常は存在しないだろう。
多くの人が過ごしてきた中学時代がそうだったように。
ただ、根底に流れている脆さのようなものは、誰もが経験してきたものではないだろうか。それにリンクできるのは彼らと同じ中学生ではなく、すっかりその時代が遠い過去になってしまった大人ではないかと思う。

すかしてみるくせに、呆気なく涙をこぼしてみたり
だるそうに過ごしているくせに、友人の一大事には青臭いほど熱くなってみたり。
つまりは、涙をこぼすことに不自由になってしまったり、熱くなることに臆病になっているボクらのような人間が、迂闊にも感動してしまう、そんな小説だろうと思うのだ。

語り手であるテツローは自分を平凡で平均的な中学生と語る。
ほとんどの人は自分は平凡でつまらない人間だという。だけど、そういう人間に限って時にすごいことをやってのけてしまうものだ。テツローの視線でしか知ることのできない世界では、実はテツローも結構すごい奴なのだとボクは思っている。

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紙の本

14歳という感性

2003/08/16 17:08

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:EL - この投稿者のレビュー一覧を見る


有り体に言えば、「十四歳の少年達」を操って、作者が何かをしきりに言いたそうにしている姿が見えた。
操り人形を持って、パクパクと口を動かしている。昔見た腹話術のテレビ番組のような、操っている人形と会話をする姿。そんなものが薄ら見えた気がした。
だけどそれが問題なワケじゃない。大事なのは感性だ。十四歳という、高校生ほど体が成長したわけでもなく
だからと言って小学生ほど単純に何かを過信できるわけでもない。

でも、空だって飛べる。
だから、DVにだって立ち向かう。
殴られたって、友だちと離れていたときよりはマシ、そんな中学生達の話だった。
ちょっと不思議な東京版スタンドバイミー。そうとも言えるだろう。不良グループのトップの有田を、Aと表記しているのにも笑った。意図的なんだろうが。
渋谷や新宿といった地名に紛れて、いかにも実在するかのように、もんじゃ焼き屋が百件以上も立ち並んでいる風景が、主人公達の駆け抜ける自転車の後ろに垣間見える。

私が最初の一ページで思ったことは、夏目漱石より文章は洗練されてないなあ、というなんとも間抜けな感想だった。
そんなものは当たり前かも知れないが、私は夏目漱石を読んだ後は本を読む時に文体の美しさを判断する、という姿勢を取っているので、致し方ないといえば仕方ない。
夏目漱石より美しい日本語を書いている小説家にめぐり合いたいといつも思いながら本を読んでいる。

だから、私は直木賞を受賞したという4TEENを買ったのだ。
だが、文体の美しさに囚われない、作品の美しさというものに、魅せられた。
最初の五ページ目までは、何度も会話の合間の情景描写を読み返し、頭に入れるのに時間がかかったが、最後から五ページ前になると、ページをめくる指がもどかしくなる、
あの独特の感覚に襲われるほど、夢中になっていた。
服やおやつ、自転車にまで、友人達の貧富の差が現れるところにも、作者の巧みな表現だと思う。
その差を乗り越える、友情。俺達友だちだよな、と言葉で確認することのない友情。それは、だるくないのにだるい振りをする、という主人公たちの
中学生の微妙な背伸びのような、照れくささのようなものが邪魔しているわけではなく、
交わした視線や、坂道での競争で培われた、確かなものなのだ。

満足はしたが、期待以上のものを得たかというとそうでもない。
過剰な期待をし過ぎていたのか、「面白かった」で終わり
どうしても文面の向こうの作者の姿が気になる作品だった。
なので★四つである。

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紙の本

爽やかな後味。力強い希望を謳う職人技。

2003/08/01 16:10

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:奈伊里 - この投稿者のレビュー一覧を見る

主人公は14歳の少年4人。
舞台は住宅開発著しい臨海地区月島。
物語は彼らの日常を切り取った8つの短篇から成り。
読後残るのは、日本の現在が希求する、爽やかな希望。前向きな若い生命力。

著者は、職人的な様々な技をさりげなく使って、読者にお話を信じさせてくれる。最初にあげた構成要素、すべてが「技あり!」だ。

***

「ジュン」は賢く、4人チームのブレイン的存在。クールに見せているが、中身はホット(好きなおかずは巨乳外人)。
「ダイ」は大食漢。月島に古くからある長屋暮らし。大酒飲みで家族に暴力を働く父に困っているが、友達と遊んでいる時は明るい中学生(好きなおかずはコギャル、露出度高目)。
「ナオト」は早老症ウェルナー症候群患者。14歳にして糖尿に苦しみ、皮膚の硬化萎縮も始まっている。家が金持ちで、超高級超高層マンションに住む(エロ写真は好きだが、すでに見るだけ)。
「ぼく」は、3人に較べれて自分は平均的だと思っている14歳。本作の語り手(好きなおかずはセーラー服清純系)。

各短篇は、連作テレビドラマのように、この4人の内の誰かが主役になる回と、大物ゲストを迎えて4人で立ち向かう回の2パターン。キャラクター設定と起用のバランスがとにかくいい。

そして月島という舞台設定がまた効いている。
新興住宅の増える人気の臨界スポットに住む彼らには、親の収入からくる歴然とした貧富の差があり、仲良しであっても、みなそれを肌で感じて友達づきあいしている。
また、彼らの足である自転車に乗って街を行けば、昔ながらのもんじゃストリートや古い家並みを眺め、ガラスとコンクリートの高層ビル群を眺め、外洋につながる川と海を眺めることができる。
さらに、東京とは言え、渋谷や原宿や新宿には微妙な距離があり、中学生にとってはその辺りが立派な異界になりえる。

この絶妙な設定の元に、起こる事件は日常的なものからかなり非日常なものまで。
「ナオト」へのバースディプレゼントとして、決死の思いで売春ギャルをゲットする顛末。
不倫専門サイトで知り合った34歳人妻を、暴力夫から救い出す顛末。
過食症と拒食症を繰り返す少女との奇妙な恋の顛末。
病による寿命を知り病院を逃げ出した老医師との出会いから、その死を見届ける顛末。
暴力をふるう親を殺してしまった「ダイ」が友達復活するまでの顛末。
房総自転車旅行と偽って、新宿に冒険旅行に出る顛末。

バランスとしては、確かに非日常的な事件と出会い過ぎる、事件が起こり過ぎる。でも、著者は確信犯だ。読書がひとつのエンタティメントである限り、物語は、日常より少し位相が高い方がいい。小説より奇なる事実を切り取ってこそ、現代のリアリティーが描けようもの。そして、どのお話も、始まってすぐに、その回のテーマが分かるように書かれている。もったいぶった引っ張りはない。直球勝負だ。
そして。これら事件に立ち向かっていく14歳たちが、それぞれにいい子でしっかりしすぎているのも否めない。危なっかしい年齢が危なっかしい事件に出会っても、本質的な破綻がない。でも、著者はかっこよすぎることを補填するように、リアリティーを読者に保証するだけの、幼さや、幼さ故の失敗、馬鹿騒ぎもちゃんと書き込んでいく。

そうして、読後味わうことの出来る爽やかさ。力強い希望。ほろ苦い思春期の記憶。それらが自転車の疾走感とともに、海へと向かう開放感とともに、心地よく残る。

金城一紀作品を読むとき、わたしは同じようなバランス感覚の良さを感じるが、それは彼の皮膚感覚とか、愛情への渇望からくる本能のなせる業なのではないかと思っている。
でも、この新しい直木賞作家の場合は、とっても職人的な技からくるものだと思っている。そしてもちろん、その技を支えるのは、こんな現代日本を生きる同時代作家が抱える、煩悩と、希求する心なのだとも……。

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2004/09/23 21:44

投稿元:ブクログ

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2004/09/29 00:05

投稿元:ブクログ

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