「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
わたし、昔の大阪の写真見るのが好きやねん。その、どきどきの中毒みたいな感じやねん—。過ぎ去った時間の上に再生し続ける街の姿に、ざわめく28歳の気持ちを重ねて描く。【「BOOK」データベースの商品解説】
【織田作之助賞(第23回)】【芸術選奨・文部科学大臣新人賞(第57回)】わたし、昔の大阪の写真見るのが好きやねん。その、どきどきの中毒みたいな感じやねん−。過ぎ去った時間の上に再生し続ける街の姿に、ざわめく28歳の気持ちを重ねて描く、新境地の長篇。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
柴崎 友香
- 略歴
- 〈柴崎友香〉1973年大阪生まれ。2000年「きょうのできごと」でデビューし、行定勲監督で映画化された。ほかの著書に「ショートカット」「フルタイムライフ」など。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
われら橋の子
2007/01/15 23:51
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Tabby - この投稿者のレビュー一覧を見る
淀屋橋、日本橋、肥後橋、天満橋、京橋、鶴橋、長堀橋、四つ橋、心斎橋など、
大阪の地下鉄で「橋」のつく駅は多いが、すべての橋が現在も残っているわけではない。
大阪南部の繁華街、いわゆる「ミナミ」の大動脈となっているのは、
難波の高島屋百貨店を南端とし、中間地点は戎橋、そして北端の心斎橋交差点まで続く
アーケード街である。人と車の往来が昼夜せわしない心斎橋交差点は、
交差点の中央に橋の欄干をあえて残していることで、かつてここに川があったことを
思い起こさせる。
『この街の今は』の主人公に倣って、心斎橋の由来を調べてみると、
橋を作った岡田心斎にちなんでいるらしい。人名から橋の名前へ。
やがて橋がなくなり、地名だけが残っている。
もう一つ、この小説の主人公の行動範囲も、大阪の都市地図で調べてみると、
日中は、本町と堺筋本町と心斎橋のどこからも中途半端な距離にあるカフェでアルバイト。
オフのときは、南は難波、北は心斎橋と、「ミナミの大動脈」を中心に、
1キロメートル四方あるかないかの区域をせわしなく移動している。
移動のさなか「鰻谷」、「周防町」など、刻みつけられる地名の数々。
人との出会いと別れを繰り返しながら、大阪という街で生きること。
そのプロセスにおいて、主人公の心の中で、人と地名のそれぞれが「固有性」を持つ
のだろう。人と街とは、互いに分かちがたいものとしてあるのだ。
人や地名だけではなく、建物の「固有性」も、この小説には描かれている。
時代とともに消えゆく建物、建築中の建物、そしてまだ見ぬ建物。
かつてあった建物のたたずまいは、映像、写真、さらには人々の記憶に残るもの。
主人公が地名や建物に並々ならぬこだわりがあるのも、街の来し方行く末を、
できるかぎりわが記憶にとどめたいという衝動にかられてのことなのであろうか。
人と土地と建物、それらをまとめた街こそ、変化し続ける生き物なのかもしれない。
紙の本
大阪弁ってほんまは優しいんよ
2006/11/28 15:33
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
会社が倒産してフリーターとなった歌。大阪の心斎橋近くの小さなカフェでアルバイトをする彼女を通して、友達や新しくできたボーイフレンドや、元カレ、店の常連さんたちとの他愛ない会話を映し出す。
彼女は大阪の古い写真を集めるのが趣味。白黒写真が語りかける街の風景はしっかりと止まっているのに、なぜか、現在の大阪まで続いている不思議な感覚。それは、その時、別の場所にいたはずの人々までも想像を呼び起こします。
言葉にしてしまえば虚ろになりがちな素材ですが、心のどこかでしっかりと生きようとする彼女の姿があるので、安心感があります。そして街を大切にし、愛する気持ちが読み手にも移ってきます。
ゆっくりと街を歩きたくなります。ゆっくりと人生を味わいたくなります。