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紙の本
万里の長城という防衛システム、その実情
2004/10/03 00:23
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投稿者:Skywriter - この投稿者のレビュー一覧を見る
万里の長城は月からも見えると言われる、人類最大の建造物である。長城の建設の始まりは、戦国時代に燕、趙、秦の各国が敵国や異民族の侵入経路を絞るためであった。秦による統一後、始皇帝が配下の将軍に命じ、これらの長城を繋げたのが万里の長城と言われるものである。(現在観光地となっている万里の長城は明代に建造されたもので、秦の時代の長城を一部利用している)
ここに書いたまでの知識であれば、ちょっと中国の歴史に興味があれば重々承知していることであろう。しかし、この万里の長城が実際にどのように運営されていたのか、というのは、なかなか分からないのではなかろうか。例えば、かの有名な三国時代、長城はどうなっていたのか?と聞かれてもなかなか分からないだろう。
本書は、大まかに歴史の流れを追いつつ、中国の歴代王朝と異民族との関係を大まかに記す。中国と異民族の関係の一部として、万里の長城という思想、そしてその思想を裏付けるためのシステムがどのようなものであったのかを述べる。
詳細は本に譲るとして、簡潔に言ってしまえば、長城とは線の防衛で攻撃側はその広大な線のどこか一点に戦力を集中させる。防衛側は必然的に戦力を分散させて攻撃側の発見をできるだけ早期に行い、更に味方を呼び寄せる必要がある。そうである以上、分散して見張りを行うこと、味方に通信をすること、の二点が必要不可欠になる。
これを実際にどうやっていたのか。このシステムがどのような影響を及ぼしたのか。そのような細部にちょっとでも興味を持たれた方は読んでみることをお勧めする。項羽と劉邦の時代と三国時代くらいしか分からない方でも、大まかに歴史の流れを追ってくれているので分かりやすく読みやすい。新書なので容量は少ないながらも実に纏まり良く書かれているのには脱帽。