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著者紹介
野嶋 剛
- 略歴
- 〈野嶋剛〉1968年生まれ。上智大学新聞学科在学中に香港中文大学留学。朝日新聞入社後、佐賀支局などを経て現在はシンガポール支局長を務める。
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紙の本
従軍記といっても、大方そうだろう“想像”していた域は出ない。新聞記者の限界か。
2003/07/22 17:03
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投稿者:安之助 - この投稿者のレビュー一覧を見る
マスメディアの中では、とりわけ朝日新聞はイラク攻撃に批判的な論調だった。とはいえ、米軍による攻撃が避けられない状態で、従軍を許されるのなら、取材の機会を断らないのは当然である。そして、組織としての米軍による攻撃自体は反対だとしても、実行部隊である個人としての兵士たちには、仲間意識を感じてしまうのも、無理はないのだろう。「自分を攻撃するイラク兵は恐ろしい「敵」であり、米軍は頼もしい「味方」だと感じてしまう。困難な環境で、寝食を共にする兵士たちとの友情も芽生えている」。
だが、山のように出てきたバース党関連の品物を「米兵たちは奪い合って自分のリュックにしまった。(中略)上官から下士官まで、(中略)面白そうなものがないかを一生懸命に探している。(中略)これも一種の略奪なのだろうが、はるかに罪がない」。−その感想は正しいのだろうか。私は間違っていると思う。なぜなら攻撃は、フセイン政府の圧制からイラクの民衆を解放、という大義名分の元で(もっとも、最初の理由は違ったが)行われているのだから、例え、バース党関連の品物であっても、所有権は解放されたイラク国民に帰するべきものである。だから、米兵には「おみやげ」代わりに、無断で持ち帰ることはできないはずだ。
「はるかに罪がない」−裏を返せば、それは「軽度ではあるが罪がある」ということだ。いけないものは、あくまでもいけないことである。だのに戦争反対が“社是”のような「朝日新聞」の記者ですら、感覚がともすればマヒ加減になる。それが分かっただけでも、読む価値が、まあ、あったといえるのだろう。
本書は、第一部・従軍ドキュメント、第二部・従軍の日々で考えたこと、の二部構成で、ほぼ分量は同じくらい。第一部は時系列で戦争を追い、第二部はテーマ別のエッセイである。