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トレーニングの大前提を知ろう!
2002/04/05 12:16
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:片桐真琴 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近、日本でもスポーツにおけるトレーニングの重要性が認識されるようになりました。つい最近まではプロ野球の投手でもボールより重たいものはもってはだめだ、といった誤った考えを持っていたことを考えると、大きな進歩だといえるでしょう。これは、近鉄やロッテで、さらに大リーグのメッツでコンディショニングコーチを勤めた本書の著者、立花龍司氏の活躍が大きな影響を与えています。しかし、まだまだスポーツの指導者にその重要性が十分に理解されていないのが実状なのだそうです。
人はその成長の各段階で、5歳から10歳前後にかけては「神経系」が、10歳前後から14歳ぐらいにかけて「心肺系」が、そして17歳頃から「筋力」が成長をはじめるのだそうですが、子どもたちに対するトレーニングは、その発達に応じたものになっているでしょうか。勝利至上主義におちいって、子どもたちの身体を壊すようなことになってはいないでしょうか。子どもの身体の仕組みをしっかりと理解していないと彼らの将来を台無しにしてしまいかねません。その点、スポーツ指導者の理解不足は深刻だと著者は憂えています。
また、子どもたちは楽しくスポーツに取り組めているでしょうか。彼らがその個性をのびのび発揮し、主体的にスポーツと関わり合うために何よりも大切なのはスポーツを楽しむ「心」だと著者は指摘します。楽しくなければモチベーションも高まりませんし、逆に、スポーツ嫌いになってしまいかねません。指導者や親たちの責任は重大です。
このようなことは、プロ選手にとっても同じことです。著者は、今大リーグで活躍している野茂英雄投手や小宮山悟投手らとの交流の経験も紹介しています。また、プロ野球の指導者の多くが未だに古い考えに固執してトレーニングの重要性を理解していないと指摘します。プロの指導者ですらこうなのですから、子どもたちをとりまくスポーツチームの現状を考えると、悲しくなってきます。著者の指摘するように指導者の資格制度の整備がぜひ必要です。
本書は、著者が野球に係わってきた関係上、主に野球を題材として語られていますが、サッカーでもバレーボールでもどのスポーツでも同じことが言えるでしょう。これから子どもにスポーツをさせようと考えている人、すでにさせている人、そして、子どもたちを指導している人、スポーツに係わるすべての人に読んで欲しい本です。