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ソウルの風景 記憶と変貌 (岩波新書 新赤版)
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目次
- プロローグ
- 1 大衆消費社会の到来
- 2 伝統的なるものの行方
- 3 北をめぐる映像
- 4 金大中のノーベル賞受賞
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紙の本
近代韓国社会を知る滞在記
2001/12/18 18:36
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:神楽坂 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者がかつてソウルに1年間滞在したのは1979年のこと。それから、約20年たった2000年、彼は再びソウルに4ヶ月間滞在することになる。私が韓国に初めて関心を持ったのも70年代末であり、当時と現代の韓国の比較というテーマには、非常に興味を惹かれた。圧政というと語弊があるが、当時の韓国は厳しい時代だったのだ。それが、ソウル・オリンピック開催決定を機に劇的な変貌を遂げたわけだが、いったい何が変わって何が変わっていないのかが、著者ならではの視点で語られている。慶尚道と全羅道の地域的対立などという国内事情は、外からはなかなか分かるものではない。そして、避けて通れないのが韓国にとっての日本というテーマだろう。これは、日本人でなければ書くことの出来ない韓国論である。
紙の本
刺激にみちた韓国案内
2001/10/09 00:37
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:野沢菜子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
四方田さんの本はいつも面白くて、わくわくしながら読むのだが、この本も期待にたがわず面白かった。
韓国という国は日本と並々ならぬ「曰く因縁」があるために、韓国についての言説には、様々なステレオタイプ的観念が絡みついていることが多い。だが、四方田さんは常にステレオタイプから最も遠いところにいる知識人である。実際に自分の目で見、頭で考えたことを綴った今の韓国社会についてのあれこれからは、メディアから流れる様々なお決まりの韓国像とはちがうほんとらしい韓国像がうかんで、興味深い。
「曰く因縁」にもかかわらず、特にサブカルチャーレベルでの韓国、日本間の交流はどんどん盛んになっている。どちらの国にも、屈託なくおたがいの文化に興味を持つ、というか、ばんばん自然に取り込んでる若者が増えているのは心強い。固いこと言わずに混じりあっていくうちに「曰く因縁」も融けてしまうのでは、と未来が楽しみになってくる。
韓国文化と日本文化を照らし合わせながら考察する論評は刺激的である。ブームの韓国、ぜひ読んでほしい一冊。
紙の本
著者の目線
2006/12/09 10:38
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
いつの間にか、四方田犬彦の著作を読み漁り始めている。著者の魅力は、その率直な語り口と平易な語彙にあると思う。変に肩肘張らず、見たまま感じたままを語り続けるので、著者と共に私もソウルの街角に立っているような幻影を感じてしまうのである。なぜ著者が韓国に興味を持ったのか、なぜ著者が韓国の建国大学で教鞭をとったのかは分からないが、本書はそれから20年の歳月を経て2000年前後に再び韓国を訪問した探訪記である。以下、思うつくままに。
【貧乏だった韓国】
私は韓国は日本と同じような発展を遂げた国だと思っていたが、どうもそうではなかったようなのだ。日本の高度成長は昭和30年代にはじまったが(それはアメリカを同盟国として選択し、社会主義国とは一線を画す「単独講和」という正しい外交的選択の結果であり、日本の安全保障をアメリカに委ねつつ自衛隊を創設し経済成長に合わせて徐々に再軍備を強化するという正しい防衛政策の結果であった。いわば日本は丸山真男たちの主張の正反対の政策を実行することで大成功を収めたわけである)、韓国の高度成長は1980年代までまたなければならなかったのである。1970年代の韓国はカンボジア並みの貧乏国で、日本人観光客といえばキーセンツアーに代表される売春観光客だったのである。
【平気で祖国を捨てる韓国人】
「冬のソナタ」を見ていて不思議に思っていたのだが、本書を読んで疑問が氷解した。韓国人は高学歴者ほど「こんな国に住んでられるか」とばかりに祖国を捨てアメリカやカナダに移住してしまうのである。これは日本には見られない現象である。韓国人といえば愛国心の塊のようであるが、その実態は平気で祖国を捨て、蛇蝎のように嫌っているはずのアメリカに安息を求めて移住する連中なんだそうである。どの家庭にもかならず1人や2人米国に移住した親戚がいるなんて日本じゃ考えられない。
【やはり禍根を残した光州事件】
学生運動に端を発した暴動が韓国の光州で起きたとき、韓国政府は空挺部隊を突入させ学生住民を皆殺しにした。その犠牲者は数千人に及び、いまだに何人殺されたのか分からないという。この事件の傷は異様に深く、今日、光州は反政府運動の聖地と化しているという。ここに来て思い起こされるのは日米安保改定反対を叫ぶ学生に対して自衛隊の出動に断固反対した時の防衛庁長官赤木宗徳の叡智であり、東大安田講堂占拠事件やあさま山荘事件で強攻策を出来るだけ回避しようとした後藤田正晴警察庁長官の叡智である。彼らはやろうと思えば学生らを皆殺しに出来たにも関わらず、それをやらず「生きて逮捕」することに全力を上げた。殺すのは簡単だが、殺せば犯人足しは「殉教者」となり反乱軍に一種の正当性を与えてしまう。それを何としても避けようというのが日本の統治者達の知恵だったのである。島泰三は「安田講堂」で「ほとんどすべての日本人は愛国心の塊」だとして内乱を恐れた日本の当局を嘲笑っているが「統治」という観点からみると、やはり日本の政治家達が全共闘の連中よりも1枚も2枚も上手だったといえよう。
【在日韓国人を嫌う韓国人】
韓国人が在日韓国人を嫌っているとはシラナんだ。