紙の本
神様の半生
2002/05/14 18:30
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:LR45 - この投稿者のレビュー一覧を見る
マンガの神様といわれている手塚治虫の自叙伝。
似たような作品に、角川文庫から出版されている「僕は漫画家」というのがあるが、それと比べるとより自分に中心をおいた内容だといえると思う。
ときおり、話に関連した挿し絵などが入ってたり、文章自体も読みやすく、中学生でも容易に読める。
また、自分に関することのみでなく、現代人、とりわけ21世紀に生きる人間に対する警告のようなものも書かれており、読んでいて大変興味深い。
紙の本
巨匠について。
2008/06/16 23:50
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ばー - この投稿者のレビュー一覧を見る
僕たちの世代(1980年代生まれ)の人間からは、手塚治虫はどう映るのだろうか。
少なくとも僕にとっては、「手塚が死んだ」という事実はおそらく上手く距離を測りかねている事実である。
僕にとって初の(まともに読んだ)手塚は『火の鳥』である。多分、中学か高校の頃。やけに深くて暗い話だなあ、と思った。最近になって、手塚を集中的に読むようになったが、手塚が描く、ジェンダー、死生観、生命の尊さ、などはずーんとこちらに届いてきても、果たしてこの受け取り方であっているのかどうか分かりかねる、というのが現実だ。「それぞれが感じたいように感じればいい」なんてのは当たり前だが、それを越えて、「手塚」という一人の人間の意味が巨大すぎるように感じる。ものすごくさびしい意見で恐縮なのだが、手塚の漫画もやはり、語るにおいてある種の壁、同時代性の壁を感じる。それほど有名過ぎているし、意味を含みすぎている。一種の神話みたいに感じる。当時の人間でしか分からない、感じ取れない部分が大きいと思う。
テレビアニメの基礎を作った功績。ストーリー漫画を作り上げた「マンガの神様」。色んな漫画家が手塚の漫画を見本にしたはずだ。
テレビアニメの基礎を作った罪。漫画への多大な情熱が見せる、独特の人間性。
これらは全て有名な話であるが、私は聞いただけの話でもある。
僕のように、手塚のアニメ、漫画を見て育っていない人間にとって、生まれた時から手塚が拓いたアニメがあり、または既に存在している他の漫画家が書いた、おそらく手塚から何らかの影響を受けている(と思う)漫画を見て育った人間にとって、手塚は漫画の源泉のようであるし、もうなんだか本当に手の届かない漫画家なのだ(まあ僕にとっては、だけど)。
こんなに意識するのがそもそもおかしいのかもしれないけれど、結局は手塚に行き着いてしまうように、「手塚治虫」という人間が分からないし、興味深い。
ものすごく前書きが長くなってしまったが、この本は、「手塚を知る」という目的からすれば貴重な一冊である。晩年の手塚の講演などをまとめたのであるから、ここに書かれているのは、手塚の生の声であり、(おそらく)手塚の本音だ(あー、でも「晩年の」というのが引っかかるんだよなあ…。手塚程の有名な人物の晩年…。うさん臭さが残る)。
内容自体は、ものすごく分かりやすい自伝のようなものだ。また、その教養的で、やや啓蒙的な書き方からも、年齢層は比較的低めに設定されているようだ。
漫画家になりたい人はぜひ本書を読むことをおすすめする。
手塚を肌で感じていない僕のような人間にとっては、手塚の人間性を感じることができる、良書だった。少しでも手塚自身に近づけたのではないか、と思っている。
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手塚先生のマンガ人生
2016/01/31 23:10
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投稿者:うりぽんぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
手塚治虫さんが書かれたものではなく、講演会の内容を書き起こしたものです。
そのため正直なところ、文章としてはちょっと・・・という感じでした。
しかし、内容は手塚先生の幼少期から書かれており、興味深く、面白く読みました。
最後に、手塚先生のマンガが掲載されていました。
久々に、マンガを読んで泣きました。
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昭和マンガ界の巨匠、手塚治虫先生晩年の講演記録(テープ)から、子供時代に始まるマンガ家としての人生をまとめたものです。
マンガをとおして、読者に表現したかったもの、そしてあくまでもそれを追求していった事に、手塚治虫の偉大さを感じます。
手塚治虫のテーマはただ一点、「生命の尊厳」であるということ。
そして、そのテーマを表現する為に、手を替え品を替え様々な表現手法をとってきた、という歴史を読み取ることができるのです。
本人が話した講演をおこしているので、文字にしても手塚治虫の魂が伝わって来るようです。
単なる作品紹介とおもって購入すると、全く別のものです。
しかし、手塚治虫の作品をある程度読んでいて、心が動いた経験のある人ならば、物語という側面ではなく、1人の人間が人生を通して伝えたかった事とその大きさ深さに、再び心を動かされることでしょう。
生きる! ということに対してほんとに真剣だった手塚治虫。
そのエネルギーを少し別けてもらえるような感じがする、良書です。
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前回の書籍に続き、手塚氏の努力家であることがわかった。
しかし、ガラスの地球のほうが良い。
負けず嫌いで努力家、批判されつづけても貫き通す信念。カッコ良い。
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手塚氏による講演記録をまとめたもの。マンガ・アニメに対する考え方だけでなく、子育てや人生に関する哲学についても多く語られていて、大変勉強になった。
巻末に収められている短編マンガは、なかなかイイ話。
300円。
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▼ 100文字感想 ▼
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手塚作品の根底には「生命の尊厳」というテーマが脈々
と流れているんですね。戦争を体験した手塚さんなりの
自己表現がマンガだった。手塚さんの人間性を知れば、
より作品を楽しめそう。教育についての語りが興味深い。
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▼ 5つの共感ポイント ▼
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■手塚治虫のテーマは「生命のありがたさ」「生きて
いてよかった」。かたくなに一つのことを取っかえ
引っかえ描いている
■合理主義の中、誰だって失敗は許されない。だから
他人の尻馬に乗るか石橋を叩く主義で世の中を渡る。
だから子どもはいくじがなく傍観するか、大人まかせ
■「赤ん坊を拝みなさい」、赤ん坊は偉い。自分が死
んだあとも世の中に生きている。つぎの時代を見る
ことができる一種の未来人なのです
■手塚マンガは、シリアスな軸とおふざけの軸、二つの
軸で成り立っている
■鉄腕アトムのテーマは、科学技術がいかに人間性を
マイナスに導くか、暴走する技術がいかに社会に矛盾
を引き起こすか。しかし10万馬力の正義の味方という
サービスが表面に出てしまい、メッセージが伝わらない
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手塚治虫さんの子供の頃にいじめられていた話などが書かれていたり、どうして漫画家になったのかが書かれています。実際に本の中にはマンガが描いていたりして面白いので見てみて下さい。
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手塚治虫は、日本のアニメ、マンガ界の中では、神に値する存在です。手塚治虫がマンガを書かなかったら日本にマンガは存在しないくらいだと思います。手塚治虫は、自分の人生をすべてマンガに捧げました。こんなに、マンガに人生を捧げた人はそんなに居ないと思います。この本は、そんな手塚治虫のマンガに自分の人生を捧げたエピソードが書いてあります。是非、読んで手塚治虫の凄さを感じとってくれたら、とても嬉しく思います。
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ぼくのマンガは大阪大空襲と八月一五日が原点だ―子供時代、父母、先生、友人との触れあい、作品にこめた熱いメッセージを語る。マンガを読み聞かせてくれた母、作文する楽しさを教えてくれた先生、絶体絶命の苦境で助けてくれた友。彼の創作を支えたものは何か。というストーリーこの本を通して私が抱いたのは、手塚治虫も人間なんだな、ということでした。どういうことかと言うと、手塚治虫という人はしばしば神格化され、とにかく天才的で医者の免許も持ってて月に100頁を仕上げるスーパーマンである、と思われがちです。しかし、手塚治虫も他の漫画家の作品を読んで勉強しているし、医者と漫画家で迷ったりもするし、子供に対する態度を奥さんに怒られたりもする、とても普通の面を持っているということがこの本でわかりました。
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「マンガの神様」と神聖化される手塚治虫氏の「人間らしさ」が伝わる本です。
http://life--design.com/book/2010/03/post-5.html
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日本人に生まれたことのメリットはいくらもあるが、手塚治虫を原著で読めるというのは、間違いなく最大のメリットのうちの一つだろう。その手塚治虫の死後8年、生前の講演記録などから書き起こされたエッセイ集。
少年時代からマンガに取り憑かれ、そして、太平洋戦争の空襲を生きのびたことで、永遠のテーマ「生命の尊厳」を得る。その後はひたすら、しかし、当たり前のようにマンガ(とアニメーション)に情熱を傾ける人生を様々なエピソードを交えながら振り返る。
手塚治虫が少年時代に書いたというマンガの、生きいきとした表現に感銘を受けた。やはり天才というものはいるものだ。
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手塚治虫、自らが語るマンガ人生。そのマンガのテーマの原点とは?!
いま死ぬんだ!!と思った空襲、終戦を知った時の強烈な記憶、若き医師として死を目の当たりにした時のある種の感動など…
自ら、僕のテーマは全て「生命の尊厳」なのです、それしかないんです、と言い切る。
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少々本書のテーマと違うが、「あれほどの天才も考えてることは意外と普通なんだ」と思わせる。奇抜なことではなく、普通を積み重ねて天才の領域に至る大切さが伝わる。
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以前にも手塚治虫の本を読んだことがあってこちらとの違いを見るとしたら。講演形式のものを本にまとめたためにどちらかと言うと漫画の話というよりはこれからの時代がどうなるかという未来の話に近かったことと、親しかった人物からの手塚治虫像がなんページかに渡って書かれているところ。死後に出版されたものであるからどちらかと言うと本人の意思と言うよりは周りの人がどう感じていたかを書いてるような感じか。
昔の時代にあるそのままを書いてくれてることが多く、その頃のエンターテイメントとかがどんな感じだったのかがみえるのと、手塚治虫にどんな影響を与えたのかが見ていて面白かった、