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ホメロスと並ぶ最古の叙事詩人ヘシオドスが唄いあげるギリシア諸神の系譜。宇宙の始源、太古の神々の生誕から唄い起こし、やがてオリュンポスの主神ゼウスが、凄惨な戦いののち、ついに世界の統治者として勝利と栄光を獲得するに至るまでを力強く物語る。ギリシア神話、宇宙論のもっとも基本的な原典。
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改めて多神教の一例であるこのギリシャ神話をじっくりと味わってみると、一神教が理想の宗教体系だと結論づけた人々の気持ちもわからなくはないなぁと思うのです。
何せ、このギリシャ神話の場合、太古の神々であるウラノスとガイアの間にできた子供たち(子供と言えども神様ですが)をウラノスはわが身の安全を図るために大地の奥に隠して光の世界には出てこられないようにしちゃう。 そんな子供の一人であるクロノスはその仕儀に心を痛めていた母、ガイアと共謀してそんなウラノスに復讐しちゃう。 じゃあ、そのクロノスはどうか?と言えばウラノスに復讐する際には「ウラノスの方が先に恥知らずな仕業を企んだのだから」と言っていたにも関わらず、自分が最高位に立った後は父親同様、生まれてくる子供たち(これまた子供と言えども神様ですが)を次々飲み込んじゃう。 唯一、飲み込まれずに育つことができたゼウスに今度は復讐されるわけですが、そのゼウスも子供を飲み込むわけではなく、奥さんを飲み込んじゃう。 (その結果としてアテナはゼウスの頭から誕生)
畏れ多くも畏くも、神様ともあろう方々が身内でこんな内紛を起こしているようじゃ、か弱き存在、神様に劣る人間はどうしたらいいのかわからないじゃないか! と考えても不思議はないわけで・・・・ ^^;
(全文はブログにて)
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神々の名前と詩のように語られる話。知らない神の名前があったり、知ってる話があったり意外にも楽しめる。(本の存在は「殺戮にいたる病」で知った)。
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うわああああ ギリシア神話の物語性が好きになって手始めに読んだら ものすごいものでした。流れに圧倒されます。子供の子供と兄弟の子供の・・・ああああ 神様カタログみたいなかんじですかね? 一通りの系図はわかりやすかったけれど、違うところでエピソードを読む必要性を感じた。収拾つけられない(泣
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オリュンポスの神々と人間たちの父ゼウスは正当に父クロノスから王位を継承し、全知全能で正義であり詩歌、学芸の栄える文化的で平和な社会を創造した。短いので手っ取り早くギリシア神話の概要を知るのにもいいかも。巻末に神々の系譜付き
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これはギリシア神話の大本で押さえておかないと、大変。
必読、で良いかと思います
一般にはあまり知られてないらしいけど、神話好きならw
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ギリシャ神話入門者にお勧めのような、そうでないような。
アポロドロスの「ギリシャ神話」は本当に神々と英雄のリストであり、読み終えるのは一苦労。
それに対し、こちらは短くまとまってはいる。ただ、訳文に癖が強いのと、あくまで神話を知り尽くしている古代ギリシャ人向けなので、時系列はごちゃごちゃで多少不親切。
でも当時の空気を知れるというのは最近書かれた入門書にはない味わいがあると思う。
各地の祭典にて儀式的に語られていたであろう昔話が、国々を歌いさまよう吟遊詩人によって広められ、共有されていくなかで形作られたものがギリシャ神話なのだと思われる。
ヘシオドスはケルベロスの首を五十と言っており、それは今の一般的なイメージと異なる。複数の話しがあった中、民衆が好んだ設定が主流になり現在まで残ったのだろう。
古の神々・英雄の出来事、それらを本当に起きたことと信じながら創作をする時、詩人はどのような考えを持っていたのだろう。それは今の小説家とは絶対に違うはず。
詩の神に愛されていることを信じ、自分の告げた話しに疑いをもたなかったのだと私は思う。ヘシオドスさんの詩を読み、強くそう思った。
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ギリシャ神話の基本ともいえる本。時系列はばらばらで飛ぶし最初はとっつき難い。他本を読み進めるうちにああこうなのかと初めて納得できる人が多いと思うが、抑えていて損はない。
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内容もダイナミズムに富んでいて楽しいのですが、素人なのでまず訳注と解説を楽しみました。そして初心者には巻末の系譜図が大変ありがたい。この神は誰と誰の子で、どの系統になるのか…という事がわかるので、人間関係(神様関係?)がより頭に入りやすくなりました。
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ヘシオドス『神統記』岩波文庫:基本的にはゼウスによって打ち立てられた秩序と正義を誉め称える詩で、1000行程度である。宇宙の生成、ウラノスからクロノスへの権力継承、クロノスからゼウスへの権力継承、ゼウスとティタン族との戦い、また、怪物テュポエウス(「台風」typhoonの語源らしい)との戦いを経て、ゼウスと女神との結婚、女神と英雄たちの結婚から、世界に秩序と正義がもたらされ、神々の権能の分配がなされるという話である。原初神は、カオス・ガイア・タルタロス・エロスである。エロスって古い神なんだなと思った。カオスからはアイテル(エーテル、澄明)が生まれている。ガイアの子はウラノス(天)とポントス(海)で、ウラノスとガイアの子供には百手巨人やキュプロプス、レイアやオケアノス、ヒュペリオンなどのティタン神族が生まれている。美神アプロディテはクロノスが父ウラノスの陰部を大鎌で切り取って、その陰部を海へ投げ込んだとき、その泡から生まれた。「ヴィーナスの誕生」という絵があるが、なかなかえげついいきさつがあるんである。ガイアとポントスからはメドゥサなどが生まれている。ペガソス・ヒュドラ・キマイラ・ケルベロスなどはメドゥサの子であり、レイアとクロノスの息子がゼウスである。ウラノスやクロノスは自分の権力が奪われることを恐れて子供をタルタロス(地の底)に投げ込んだり、飲み込んだりする。ゼウスもアテナを飲み込んだが、最後にアテネはゼウスの頭からでてくる。ヘカテ(父母はペルセスとアステリア)という女神がおり、宇宙のほとんどの領域に権能をもつが、これは補助者であり、人間の信仰が非常に篤い神であった。プラトンにもタルタロスがでてくるが、ヘシオドスではタルタロスは天と地の間の距離と同じだけ地から落ちたところにあり、ゼウスに敗れたティタン族が閉じ込められていて、ウラノスの息子である百手巨人族に見張られている。タルタロスの上には地と大洋とタルタロスの「根」「土台」がある。またオケアノス(大洋)の果てをめぐるステュクスという河があり、この神はティタン族との戦いに始めに参戦する。ゼウス(Zeus,Dia)は、プラトンによれば、di’ hon zen 「この方によって生きている」の意だとされ、zenつまり生命と関わり、また、dianoia(知性)から来ているとされているが(『クラテュロス』)、『神統記』も生命と知性による秩序の樹立を謳った詩だと考えることもできるだろう。ヘシオドスは前750年から680年に生きた人と推定されており、小アジアの沿岸の寒村の人で、吟遊詩人ではなく、農業もしていたらしい。『神統記』は結婚の災いが書いてあることから、30才以後の作だとされて、『仕事と日々』は兄弟ペルセスとの遺産争いが創作の一つの契機になっているらしい。カルキスのアンピダマス王の葬儀競技で優勝して鼎を得たと伝えられている。『神統記』にも「鉄」という単語はある。
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学生時代に一度読んだはずですが、全然違って感じました。よく知っているギリシア神話と一味違って、より太古で、より生き生きとした世界が歌い上げられます。
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本編後に付されている"訳注"と"解説"が丁寧で分かりやすく本編である『神統記』への手助けをしてくれますが、なんと言っても魅力的なのは巻末に付されている"系譜図"と"神・人名索引"です。
"系譜図"に関しては本編を読むにあたって多くの人が悩みの種とされる「列挙される名前」を、余白多めの余裕ある配分で16ページも割いて簡潔に纏められています。
"神・人名索引"に関してもその人物が誰の子であるかの簡潔な記述と、本編の何行目(何ページ目ではなく本編下段に記されている行数)に登場しているかという方法が取られています。
勿論本編である『神統記』も楽しめるものですが、個人的には丁寧な作りとなっている"系譜図"と"神・人名索引"だけでも手元に置いておく価値は存分にあるかと思います。
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表紙にも、「宇宙論の最も基本的な原典」と書いてあるので、やはり読まざるをえないでしょう。
本の後半にはかなり親切な解説と神々の系図も付いていて便利です。
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ホメロスと並ぶ人類史最古の物語を書いたヘシオドスの神統記。
世界中にモデリングされたストーリーの原型となるものの一つだ。
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通読しやすいように訳注の印を本文中につけなかったとのことで、まず通読し、訳注を読みながら再び本文の頁を繰る。訳注は行番号ごとになっており、訳注から本文を参照するにはちょうど良い。それから解説を読んだ。たいへん理にかなった構成だと思う。
巻末には索引や系譜などもあり、実に充実した内容だった。