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商品説明
本はどのようにして誕生したか? グーテンベルクが発明した活版印刷術が書物の出版にいかに用いられ、いかに後世に影響を与えたかを、歴史的、文化的に探ろうとする試み。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
高宮 利行
- 略歴
- 〈高宮利行〉1944年東京都生まれ。慶応義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。現在、慶応義塾大学文学部教授。専攻は中世英文学、書誌学、デジタル書物学。著書に「西洋書物学事始め」など。
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紙の本
「第2グーテンベルク革命」の現在
2000/12/03 15:28
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:三中信宏 - この投稿者のレビュー一覧を見る
15世紀に初めて活字印刷を登場した前後の印刷史・書物史を再検証した本である。この分野の詳細な史書はすでにある(たとえば宮本志朗『本の都市リヨン』やフェーヴル&マルタン『書物の出現』)が、本書はコンパクトながら、写本から活字印刷にいたる歴史的経緯をわかりやすくまとめている。それだけでなく、著者自身が進めている稀覯書のデジタル化プロジェクトの意義が論じられている後半の章がたいへんおもしろい。
グーテンベルク革命の黎明期に関しては、いまだに判明していない点が多いことがわかる。活字印刷の発明者がドイツのグーテンベルクなのか、それともオランダのコスターなのかをめぐる国どうしの論争とその決着など、興味深いエピソードも見られる。
「稀覯書の人文学的研究に他の研究分野の成果や理論を用いることは、現代では常識」(p.199)と著者は言う。確かにその通りで、著者自身も言及している「カンタベリー物語プロジェクト」での写本系統樹の推定は、生物系統学における理論的研究が人文科学に応用されたひとつの好例であると私は考えている。マルチメディア化の方向に進みつつある「第2グーテンベルク革命」が今後どのように発展するのか、目が離せない。
著者が所属する慶應大学など日本側プロジェクトチームの全面協力による、大英図書館所蔵のグーテンベルク聖書のデジタル化は、このほどオンライン公開の運びとなった。そのきわめて鮮明な画像にはただ驚くばかりである。本書の後半で論じられている稀覯書のオンライン公開に関しては、WWWサイトのURLが文中に掲載してあれば、興味をもった読者にとってきっと役に立っただろう。
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はじめに v
目次 xi
序 章: 福澤諭吉と「グーテンベルク聖書」
−ペテルブルクの図書館で− 1
第1章: 中世の手書き写本
−大量生産のための工夫− 13
第2章: 木版・銅版・活版
−「革命」前夜− 25
第3章: グーテンベルク神話
−悲劇の英雄? それとも− 39
第4章: 鏡職人グーテンベルクの妖術
−裁判記録は語る− 51
第5章: 発明者をめぐる論争
−都市の名誉をかけて− 65
第6章: 「42行聖書」の前評判
−予約殺到で増刷?− 77
第7章: 「42行聖書」を分析してみれば…
−大英図書館で、パリ国立図書館で− 89
第8章: 「42行聖書」の印刷インク
−挫折した?二色刷− 99
第9章: 『カトリコン』の印刷方法
−2行ずつ鋳造?− 111
第10章:修道院にも印刷所
−写字生たちのその後− 123
第11章:印刷術、ヨーロッパ各地へ
−「錨とイルカ」の出版人アルドゥス− 135
第12章:イギリスではキャクストンが…
−企業家としての立案・宣伝・販売− 145
第13章:カリグラフィーの盛衰
−再認識される美− 159
第14章:聖書出版の自由と統制
−「禁書」の時代は終わったが…− 173
終 章: マルチメディアの時代へ
−稀覯書のデジタル化へ− 187
おわりに 201
参考文献 [8-13]
索引 [1-7]