ここは宇治の地、一年中茶を蒸す香りで里は満たされる。
あめで髪を練る、川に浸かる、そして生成りになりその後とある儀式を得て人は正式な鬼になれる。
「早くやれよ」
迎えの小鬼が僕の耳元に生暖かい息を吹きかけささやきかけてきた。
僕は彼らの姿は母と違って見えない。
そして彼らのことをゴキブリと同等程度に嫌っている。 準備が整うと母は暴れる僕の喉に包丁を突き立て
冷やし飴の味のする感覚を鈍らせる毒を流し込み、腹に飴の入っていた
熱い鉄鍋を押し当てる。
毎年のことだけど止めて欲しいと声の出なくなった喉で喘ぐ。
燃えるような痛みと熱さ、感覚がにぶくなっても逃げれない誤魔化せない。
母さんも皮膚がどろどろに爛れて溶けているじゃないか、飴が熱いよ。
頭皮からは 髪の焼けるチリチリとした嫌な感覚とにおいが立ち込める。
僕の髪に緋色の飴を塗り立て固めて2本のツノを編み、その後僕は川に浸され記憶を失う。
翌朝の新聞には姉の恋人の血縁者の変死事件の記事が乗る。
今年で三年目、何時もの事なんだ。
「復讐は血族全てを消すまで続くんだよ」
見えない存在の声がする。
でも人類みな兄弟っていうだろ、血族って何処までを指すんだろう。
しかも姉は自殺した時、腹には命を宿していた。なのに僕は母が飴を練る日が来ることを拒むことが出来ない。