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第4回ビーケーワン怪談大賞
選考委員が選んだ候補作品へのコメントつき!
選考結果発表(1/5頁)
今回ご応募いただいた作品数は271(!)。作品の量、質ともに昨年度までを大きく上回る充実振りで、どの作品を選ぶのか、選考委員を大いに悩ませることとなりました。今年も受賞作のみならず候補作品へのコメントも掲載いたします。次回応募時の参考にしてください!
大賞
『軍馬の帰還』(銀峰さん)
優秀賞
『矢』(ユメさん)
『ムグッチョ、ムグッチョ お前の頭に火がついた むぐれ~ば 直る』
(よっちゃんさん)
佳作
『吉田爺』(Flackさん)
『光の穴』(夜猿さん)
『猫である』(不狼児さん)
『ガス室』(クジラマクさん)
『薫糖』(田辺さん)
愉しませてもらいました賞
『マンゴープリン・オルタナティヴ』(不狼児さん):加門七海・選
『祖父のカセットテープ』(黒 史郎さん):福澤徹三・選
『カオリちゃん』(惰 門出さん):東 雅夫・選
司会=東 雅夫(「幻妖ブックブログ」主宰、「幽」編集長、アンソロジスト)
文・写真=タカザワケンジ

◎“怪談夏祭り”の様相を呈した盛り上がり

 今回は応募数倍増を受けて、それぞれ候補作を20篇前後、事前にお選びいただいたわけですが、まずは全体の印象から聞かせてください。

加門  今回、候補作を見て何にびっくりしたって、私と福澤さんが選んだ作品でダブっているものがほとんどない! その間を接着剤のように東さんがつないでるという(笑)。

 俺はボンドかセメダインかよ! でも、確かにこうして見ると(別掲の候補作リストを参照)、嗜好の違いがよく出ていますよね。

福澤 全体の水準は前回にもまして高いんじゃないかと思います。候補作を選ぶのに迷いに迷いました。内容的には文芸色の強い作品が増えていて、実話怪談系のフォーマットのものがすくないのは意外な感じでした。

 怪談文芸、怪談文芸と、お念仏みたいにアピールしてきた成果ですかね(笑)。

加門 選ぶのは本当に難しかったです。私は候補作を選ぶために、自分で第三次審査までやったんですよ(笑)。

 それは凄い。

加門 で、自分のなかの第一次、第二次までで落としたものを福澤さんが上げてくださったりしているので、差は本当に微妙だったなと実感しました。読み直すたびに、迷ってしまいましたから。本当に今回は水準が底上げされましたね。ゆえに、選者としてどうかなとは思うんですけど、最終的には自分の好みで残さざるを得ない部分が出てきてしまった。だから、公正なものになったのかどうかは、ちょっとクエスチョンです。すいません。
 それと、水準は上がったんですが、突き抜けたものは少なかった。前回は文句なく大賞が決まりましたけど、今回はそうはいきそうにないですね。逆に言えば、前回の大賞に応募作全体の水準が近づいたともいえると思いますけど。

 私も同感ですね、格段に底上げがされたなという印象を持ちました。前回の入選水準が今回の標準――それくらいのレベルアップはしていると思います。まあ、応募総数が増えたのも一因かも知れませんが、そのあたり、前回の選考会で、加門さんから一人の方が大量に投稿することについて苦言が呈されましたけど、今回はいかがですか?

加門 諦めました(笑)。この怪談大賞は新人作家の登竜門というタイプの賞ではない。夏のお祭り的な感覚でとらえればいいんだな、とね。

福澤 怪談夏祭りか、それは言い得て妙ですね。

加門 ただ、大量投稿の方の作品を読んでいると、自分で自分の投稿作を潰している人がいると思いましたね。私は最初はなるべく、投稿者のお名前を見ないで作品を読むようにしているんですが、これ似ているな? と思うと同じ方だったり。100編のなかにひとつ個性的なものがあったら目立つけど、20もあったらありきたりに感じてしまう。損をしているんじゃないかと思いました。

 たしかに、たくさん投稿された方の作品が最終選考に残っているかというと、意外とそうでもない。その一方で、複数投稿することによって個性をアピールできて、得をしたなと感じられる人もある。要は、作品の方向性と程度問題ですかね?

加門 大量に投稿された方、たとえば言之葉亭さんとか矢内りんごさんの作品を読んでいて思ったのは、文庫版『文藝百物語』の加門七海状態?(笑) 人の怪談を聞いているうちに、そうそう、そういえばこういうこともあってさ、と触発されて話したくなってる、という感じが見えてきた。ねえねえ、実は私もねって……(笑)。その感覚がよくわかったから、だから、お祭りだと思ったんです。ワイワイとみんなで楽しむ感じ。

 それは基本的には良いことですよね。怪談会をオフラインでやったときと同じような現象が起こっている。それはこれからも歓迎したいと思います。応募作をリアルタイムでブログ公開する賞でなければありえない展開ですから。
 もうひとつ、先ほど福澤さんから、今回は文芸系が多かったというお話がありましたが、これまた大いに歓迎すべき傾向だと私は思っていて、〈新耳袋〉や〈「超」怖い話〉といった既存の定番シリーズとは異なる、新しい怪談の形というものが、ここから見えてくるのではないかという手応えを感じています。
 では、それぞれの候補作を選ぶ基準について一言ずつお願いします。

福澤 あえて一般的な語りの作品を中心に選びました。極端に文芸色の強いものはどう評価していいか迷うところもありまして、準候補に入れています。

加門 最初、ちょっとでも琴線に触れたもの、これは嫌いだけど上手いよな、とかもね(笑)。ともかくどこかに引っかかったものを上げてったら、全部で78作品にもなってしまった。そこから46まで絞って、最終的にどう絞ろうかと思ったときに、ふと、怖いものを選ぼうと思ったんです。怪談はやっぱり“怖い”ということが肝要だろうと思ったので。ところが、怖いもの、という基準にしたらガタっと数が減っちゃった。なのでまた、文芸系で佳いものとか、話として巧いものという物差しを使って選び直しました。毎回、言っていることですけど、怪談大賞なのに、怖い作品、少ないですね。

 誰もが怖いと感じるような作品を書くってのは、それだけ至難の業なのでしょうね。私の場合は、文芸的に卓越していたり、斬新な試みをしている作品は積極評価しようということが、ひとつ。それともう一点は、素人臭いというと言葉は悪いですが、いかにも書き慣れていないのが分かるけれど、丁寧に、一生懸命に、自分なりの言葉を模索して、自分が表現したい世界を書いている人の作品にも一定の評価を与えたい。そんなところでしょうか。
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