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トップ第3回ビーケーワン怪談大賞福澤徹三さんインタビュー

第3回ビーケーワン怪談大賞
福澤徹三さんインタビュー「最新刊 『亡者の家』 を語る」
フリーター生活に終止符を打ち、消費者金融業界に飛び込んだ諸星は、厳しい取立てになじめない自分に苛立ちを覚えていた。しかし、取立てに行った先で美しい人妻、由紀子に出会った時から歯車が狂い始める……。
すべてがカネ・カネの世の中で、あぶりだされる人間の欲望の果てしなさ。後半の急展開は息もつかせない。
福澤徹三さんに異色ホラーが生まれた背景をうかがった。
インタビュー=東 雅夫/文=タカザワケンジ
 『亡者の家』は書下ろしの長編ホラーですね。

福澤 ええ。ただ今回は怖さという点でいうと、心霊的なものより人間の怖さにウエイトを置いています。タイトルだけ見たら館系のホラーじゃないかと思われそうなんですが。亡者という部分がポイントですね。

 そのへんのミス・ディレクションは確信犯なんじゃないかと思いました。

福澤 「家」の怖さはそれほど強くないです。内容も社会派的な方向に振っていることもあって、ホラーといっても怪奇色は強くないんです。予想を裏切る方向へ小細工を弄した部分もありますし。

 十分、恐怖のツボは押さえていると思います。しかし、福澤さんの中では「家」より「亡者」だったと。

福澤 ホラー小説のようなものにメッセージを込めるのもどうかと思うんですが、最近の拝金主義的な社会の傾向はすごく怖いと感じます。金銭が大事なことのナンバーワン。そういう心理って「怪」に通じる気持ち悪さがあると思うんです。

 亡者の家というタイトルは死人の亡者とも取れるけど、金の亡者の亡者ともとれる。うまいやり方だなと思いましたね。

福澤 金銭以外のことを矜持とした生き方が、どんどん否定されてる気がします。職人さんや個人商店の時代じゃなくなってから、精神をよりどころにした生き方が評価されない。そこにすごく恐ろしいものが潜んでいるように感じます。

 実話系の怪談小説かなと思って読む読者もいるかと思うんですが、そういう読者をうまく福澤さんの世界に引っ張り込んでいるなと思いますね。主人公の青年が、話の展開の中で、引っ張り込まれるなかで成長している経過が描かれている。消費者金融業界についてかなり詳しく書かれていますが、取材はかなりされたんですか?

福澤 業界にいる知り合いに聞いたり、金融関係の本を取り寄せたりしました。ホラー小説を書くのに、なんでサラ金の本を読んでるんだと思いながら(笑)。金融系のホラーだから、冗談で「史上初の債鬼ホラー」だと言っていたんです。刊行予告の仮タイトルも「債鬼」だった(笑)。

 次回作の予定をお願いします。

福澤 年末にかけては文芸誌の短編がおもですね。10月には「怪を訊く日々」の文庫が出ます。単行本は、書下ろしの依頼がだいぶ溜まって冷汗をかいています。どうしても締切の早いものから順に書いちゃうんですよね。

福澤徹三さん 福澤徹三

1962年福岡県生まれ。デザイナー、コピーライター、専門学校講師を経て作家活動に。著書に『怪の標本』(ハルキ・ホラー文庫)『怪を訊く日々』(メディアファクトリー)、『廃屋の幽霊』(双葉社)、『真夜中の金魚』(集英社)、『再生ボタン』(幻冬舎文庫)、『壊れるもの』(幻冬舎)、『死小説』(幻冬舎)などがある。最新刊は『亡者の家』(光文社文庫)。

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