| 『連れて行くわ』/ウメさん |
祖母の話。
祖母が十歳のときに母親(私の曾祖母)が亡くなったのだが、当時祖母の家は商売をしていたため人手が必要で、父親(私の曽祖父)はすぐに後妻をむかえた。
だがこの継母が、祖母をひどく虐待したのだそうだ。父親が病弱でほとんどかばってくれなかったこともあり、暴力は日常的で、祖母は頭を殴られすぎて、薬を塗るために丸坊主にしたこともあったらしい。
ある夜、祖母はきれいなお花畑にいる夢を見た。
お花畑には川が流れていて、むこう岸から、数人の人影が祖母を呼んでいる。
川岸まで行くと、むこう岸にいたのは亡くなった母親や親戚たちで、口々に、『こっちにおいで』と祖母に言う。
『おまえをこれ以上あの家に置いておくのは心配だから、むかえに来た』と言う母親の言葉に、これは三途の川で渡ったら死ぬと気付いた祖母が、『私はまだ死にたくない。そっちに行きたくない』と言うと、母親はさびしそうに『そう』と答えた。そこで、祖母は目が覚めた。
それから一週間ほどして継母が風邪をひいた。その夜、祖母はまた母親の夢を見た。だが今度は様子がちがう。母親いわく、『しょうがないから、あっちを連れて行くわ』
翌朝目が覚めると、ただの風邪だったはずの継母の病状が急変していて、数日後に亡くなった。 |
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