bk1 オンライン書店ビーケーワン

送料無料キャンペーン10,000円以上(税抜)、30,000円以上(税抜)、50,000円以上(税抜)購入でもれなくポイント進呈!寄付コースもあります

トップ第3回ビーケーワン怪談大賞 > 優秀賞


優秀賞 ~第3回ビーケーワン怪談大賞~
『乗り移るもの』/がんてつさん
 私の友人が、夕暮れ時、車を運転しているときに体験した話です。
 彼は、走り慣れている片道二車線の走行車線を走っていました。
 追い越し車線を走っている少し前方の車の後ろの窓に、ふと目がいきました。
 その窓に、人の顔が浮き上がっています。

 後部座席に座っている、おそらくは子供が窓に顔を押し付けて後ろを見ているのだと思ったそうです。
 時々見かける光景なので、一瞬見ただけで、気にも留めなかったそうです。しばらくして、例の車の後方を走っている車に目をやると、その車の後ろの窓にも顔が張り付いていたのです。
 今度は、前より距離も近づいていたので、顔がはっきり見えました。
 それは、子供ではなく、乱れた髪の大人の女性の顔でした。
 彼は、ぎょっとしましたが、スピードを出していたので、視線はすぐ前方に戻しました。
 そして、またちらっと、その車の窓に視線を走らせましたが、顔は消えていました。
 目の錯覚かと視線を前方に戻したとき、彼は思わずブレーキを踏みそうになりました。
 なぜなら,自分のすぐ前を走っている車の後ろの窓に、さっきの女の顔が張り付いていたのです。
 女は血走った目で彼を見据えていたそうです。  彼は目をそらし、ブレーキを軽く踏み、車間距離をとるようにしました。
 その車との距離が開き、顔も見えなくなってほっとした彼は、ふとバックミラーを見ました。
 そこには、白い服を着たざんばら髪の女が後部座席から、後ろの窓に顔を押し付けている姿が映っていたのです。
 そこからどうして家に帰ったのか、記憶はなく、それからしばらくは一人でその車に乗ることは出来なかったということです。
→その他の選考結果