bk1。オンライン書店ビーケーワン。1500円以上で国内送料無料。最速24時間以内出荷。首都圏へは最速注文当日お届け。カード払いのほかコンビニ後払いあり。 

bk1 オンライン書店ビーケーワン

送料無料キャンペーン10,000円以上(税抜)、30,000円以上(税抜)、50,000円以上(税抜)購入でもれなくポイント進呈!寄付コースもあります



トップ書評ポータル > 書評の鉄人


 
書評の鉄人

新鉄人誕生! “AQUIZ”さん

“AQUIZ”さんは、文芸書とマンガを中心に書評を書かれている方です。登場人物の性格、物語の展開の妙から本の体裁、刊行の状態まで、全ての要点を簡潔に解説して下さっています。込み入った関係も見事に読み解き、整理の行き届いた解釈を提示。比喩表現のうまさにも注目です。

(オススメ:文芸書担当者)

オススメ評者のなかでもとりわけ個性的な方々、「鉄人」の書評をご紹介します。
★ 毎週金曜日の更新です。
リンク
専用バナーをご自由にお使いください


アダムス・ファミリー全集 ★★★★★
AQUIZ/「普通」の棘と、毒々しい幸福の日々
愛する夫と可愛いこどもたち。好みの植物が生い茂る庭からは、父に縁の大木が見守ってくれている。居間の窓からの眺めは素晴らしく、古い屋敷は隅々まで家族の趣味に合わせ、手入れされている。バスタブに模型の船を浮かべ、ドールハウスに花を飾る兄妹。祖母の焼いてくれるクッキーを楽しみに待つこどもたち。休日には、家族揃ってランチ持参のピクニックへ…最高に幸せそうな(ちょっと変わった)ファミリー!実写映画で有名にな

ハツカレ 10 ★★★★★
しー/久しぶりに、純粋に惹き込まれていく少女漫画に出会えました
一巻を読み始めたとき、久しぶりにピュアな作品と出会ったなあと感じました。そして同時に、少し読みにくさも感じていました。なぜなら、当初は一話完結型で、次に続いても続かなくても、いつ終わってもいいようなところでお話が納まっていたからです。ある意味、気楽に読めるので非常にゆったりとしたペースで読み進めていました。この作品が、十巻もあるなんてびっくり。あんなスローテンポなお話を、どうやってそんなに長いお話

中国嫁日記 1 ★★★★★
kumataro/異国の父親の親心を知る。
中国嫁日記井上純一角川グループパブリッシング前書きの内容はアンビリーバブル(信じられない)です。夫はアニメとかフィギュア(女の子の人形)好きのオタクで40代、妻は中国人で20代という組み合わせです。五つの章による四コママンガと長編マンガの構成です。国際結婚に至るまでの不安な部分は、後半の長編に記されています。奥さんは限りなくかわいらしい。かなり私生活にくいこんだ内容となっており、奥さんほか両方の親

なめこインサマー ★★★★
toku/「伝染るんです。」の作者吉田戦車の虚実入り交じったシュールなエッセイ。
ファミレスでの昼食。著者はなめこそば、娘はお子さまランチ。食べ終わったあとに、娘は悲しそうな顔で言った。「私もなめこが食べたかった!」著者は娘に言った。「じゃあ今日のおやつはなめこにしよう」娘はニッコリうなずいた。【なめこインサマー】これが、このイラストエッセイ集のタイトルの由来である。こんな常識の枠を外れたエッセイが、この本には詰まっている。それもそのはず、著者はシュールすぎるマンガ「伝染るんで

ダゴン ★★★★★
カルバドス/クトゥルフ神話のマンガ化第5弾はダゴンだ!
「ああ、窓に、窓に」クトゥルフ神話ファンにはお馴染みのこの台詞。怪異な体験をした主人公が幻覚だと思いこもうとするも、それは現実に……という流れの中で登場する。本書は数あるクトゥルフ神話の中から初期の作品を集めマンガ化したもので、「無名都市」、「ダゴン」、「魔宴」、「神殿」の4作品が収録されている。冒頭の台詞は、魚の頭をもつ奇怪な海神・ダゴンを扱った「ダゴン」の中の一節だ。クトゥルフ神話のファン誰も

ニャルラトホテプ ★★★★★
カルバドス/ニャルラトホテプのおぞましき恐怖
ニャルラトホテプ……「千の異形」でありながら「無貌の神」にして「暗黒の男」。そして、極めつけは「這い寄る混沌」。クトゥルフ神話において、これほど愛されている神もいないだろう。ファンの間では、歌手の松崎しげる氏が黒いのはニャルラトホテプの化身だから、などというジョークが飛ばされていたくらいである。本書、クトゥルフ神話をマンガ化しているシリーズの6冊目は、その名の通りニャルラトホテプに関係した作品が収

ありをりはべり 7 ★★★★★
カルバドス/出雲の神々の思い、人の思い
主人公は神様を見ることができる女の子。高校入学と同時に始まった物語(正確にはその前の話もあるが)も、もう3年生。相変わらず神様達に振り回されつつも、そろそろ真剣に進路を考え始めた。まあ、これまでの展開については既刊を読んでもらうとして、この巻の最大のウリは、なんといっても前後編に及んだ「出雲、縁結びの旅」だろう。スケールの大きさもさることながら、すでに卒業した面々にしかスポットライトが当たっていな

寿司ガール 1 ★★★★★
カルバドス/寿司は食べ物にあらず。我々を癒す存在なり。
人生の最後に食べたい物として「寿司」を挙げる方は多い。中トロ、コハダ、穴子にシャコ……美味しいネタを数えればきりがない。私も大好きだ。では、もしもネタが人間のように見えたら?ある日、そんな寿司に出会ってしまった人々の物語。妖精か妖怪か……とにかく、彼女達は寿司ネタを頭にのせ、人々の前に現れる。ヤンキーだったり学校の先生だったり、はたまた無口な少女の前に。名付けて“寿司ガール”!そのネタが好きとか嫌

好きです、この少女まんが。 4 ★★★★★
月乃春水/少女漫画家により厳選され、テーマ別に編集された傑作・名作アンソロジー。豪華です!
表紙とタイトルに惹かれ、読んでみました。「好きです、この少女まんが。」という傑作・名作集のアンソロジー第4弾。このシリーズのコンセプトがこれまた素晴らしい。1.10代~ベテランの「描き手」である少女漫画家85人が自薦他薦を問わず厳選2.すべての作品にプロの目から見た少女漫画家からのセレクトコメントつき3.さまざまな年代の製作委員(少女漫画編集)が実際に全てを読み、全員一致で高評価4.年代別ではなく

花咲ける青少年 特別編2 ★★★★★
ぱせりん/骨太少女マンガは古びない
少女マンガの名作「花咲ける青少年」の完全新作です。花鹿の両親を描いた「Innocence」と、ルマティ編、というよりこれはむしろクインザ編の「青皇(せいこう)の庭」。いずれも過去編なのは、物語としては本編できちんと終わりきっているからでしょうね。なにしろ、キャラクターが立っているので読みごたえがあります。それぞれの行動原理がきちんと設定されているので、各自の行動に無理がないのです。この人はこう動く

バルバラ異界 2 ★★★★★
きゃべつちょうちょ/人々がつながりたいという欲求は、はるか彼方火星の記憶が連れてくる?
カニバリズム。人が人を食べてしまい、その体内に取り込む。おそらくこれほどの禁忌はないだろう。はじめてカニバリズムに関する本を読んだのは小学生のとき。教科書に武田泰淳の「ひかりごけ」が載っていた記憶がある。特異な環境は人の精神をさく乱させ、ただ自分の命をつなぐために人肉を食らわせる。「バルバラ異界」に出てくるカニバリズムは、これほどグロテスクなものではない。いや、考えようによってはこれ以上にグロテス

ヨルムンガンド 10 ★★★★★
muneyuki/ココの出した答えは世界中のエゴを押し潰すほどの、エゴイスティックな答えだった。
「戦争」は起きています。ただ、この国が舞台となっていないだけで、世界のありとあらゆる場所で戦争は起き、世界は変化し続けているのです。『ヨルムンガンド』は現代の戦争が向かう少し先を、生々しく描きだします。十巻の表紙をデカデカと飾るのは主人公の一人、ココ・へクマティアル。彼女は若き死の商人、武器ディーラー。各国に兵器を売り付けて私腹を肥やす、へクマティアル一族の娘です。一巻の一番最初、もう一人の主人公

ほんとにあった!霊媒先生 5 ★★★
消印所沢/「4の倍数」仮説
オカルト・ホラーを逆手に取ったギャグ4コマ漫画……のはずが,もはや半分近く(44.23%)が,4コマ漫画ではないというものに.▼主要なネタも,多少でもオカルトをネタにしたものと言えるのは,お化け屋敷(p.9)くらいで,他は・過剰な行動に起因するもの:完璧主義者(p.11)「今,一瞬」(p.12)マスク(p.15)プロレス知識(p.19)武闘派(p.27)「……だったりしてね」(p.25)「おやぶん

ああ、懐かしの少女漫画 ★★★★★
夏の雨/花より少女漫画
女の子を初めて異性として意識したのはいつだったろうか。巷間よくいわれるような保健の時間に女子が別室に移動したという光景は覚えていない。女子の背中に下着の影が映った頃、それは小学六年くらいであったか、そのあたりから異性として意識したような気がした。それでも、彼女たちが読んでいた「少女フレンド」や「マーガレット」を貸してもらって楽しんでいたのもその頃で、少女漫画雑誌も少年漫画雑誌もあまり気にしていなか

Piece Volume.1 ★★★★
空蝉/知りたいという人間の欲求は他人との壁をも崩す。
前作「砂時計」で大ヒットを飛ばし私を始め多くの女性ファンを号泣のうちに惹き付けた著者、芦原妃名子の現行作。といってもすでに7巻まででているのだから読むのはおろか今更書評もないだろうと思われそうだ・・・しかしあれだけの感動と涙を余儀なくした作品「砂時計」のあとにどれだけの物が書けるのか。しかも今度はミステリチックだという。前ほどの感動は望めない。いや逆に前以上に重い作品だったらしんどくて読むのに心が

ジャンヌ・ダルク ★★★★
書痴/救国のヒロイン、ジャンヌ・ダルクの苦悩と解放
王族の姫君でもない、田舎の平凡な、それこそ女子中高生ぐらいの年齢の少女が、フランスの救国のヒロインとして、歴史の表舞台に登場し、悲劇的な最後を迎える…。そんなドラマチックな生涯を、児童向け学習漫画で紹介している本書は、当時の複雑な政治状況や、登場人物の内面心理や行動原理を、分かりやすく、漫画で説明されており、作者の丁寧な作風もあって、大人でも充分勉強になる内容でした。脚注の間違い(英仏百年戦争の発

テルマエ・ロマエ 4 ★★★★★
コーチャン/ローマ人の目から見た日本の風呂文化
古代ローマの浴場技師ルシウスは、現代の日本に幾度もタイムスリップして、そのつど「平たい顔族」つまり日本人の風呂文化に大きな感銘をうけ、それらの知識をたずさえてローマにもどってゆく。古代ローマ人と日本人という、ともに風呂を愛し、風呂の文化においては卓越したものを残した国民同士が遠い時空をこえてつながるという荒唐無稽ながらも、実に愉快なストーリーである。塩野七生の『ローマ人の物語』を読んで以来、ローマ

テルマエ・ロマエ 4 ★★★★
クーニー/才色兼備の温泉芸者との出会いは運命なのか?
仕事が忙しすぎて、前妻に逃げられてからも、風呂限定の技師として大活躍。それは全て、愛すべき古代ローマの発展のため。皇帝おかかえということは、現代風に言えば、ほぼ公務員?いや、高級官僚?それでも古代ローマ人は、それぞれ職業を持っていても、兵士として活躍するべく、身体の鍛え方もハンパではなさそう。細マッチョな肉体がもてはやされる、現代ニッポンのメンズには、是非とも、古代ローマ人のぶ厚い胸板マッチョな肉

少年王女 1 ★★★★
asura/女装少年と残念なメガネ
女尊男卑の国で街には粗野で強欲な女であふれ、見目のいい男は奴隷として売られるか娼婦として弄られる。そんなモーリアン王国のスラムで孤児の少年アルベールが奴隷商人にさらわれる処を買い取った貴族がいた。秘密裏に連れて行かれた王宮でアルベールと瓜二つの王女アレクシアに影武者として仕えるよう命令される。女装を物語の主軸に置くとき必然性を加味しないと違和感が出るのですが入れ替わりということで自然に成立していま

魔弾の王と戦姫 ★★
にい/小学生向け
小学生向けかと思う薄い文章所々不自然で不合理な設定や世界観それを会話だけで説明しようとしすぎて描写が足りていない逆に裸見ちゃったイベントやら乳揉んじゃったイベントなど、どう見ても必要でない描写が無駄に挟まっている萌え描写そのものは多くはないが、たんに書けないだけのような薄っぺらさイベント単位で展開を作りすぎていて、時間の流れが歪キャラクターもありがちな上にブレすぎ竜を殺したというから主人公が何かコ

皇太子の双騎士 ★★★★
Keiko/3人それぞれの愛の形
イラストも文章もとても丁寧です。物語の進行も悪くないのですが、現在の心境と過去に関する話が途中凄いスピードで切り替わった感じがして、読んでいて「あれれ?」と首を傾げる箇所がありました。現在と過去の主人公の皇太子テュールと、彼を守る騎士の一人との過去の話が、「このタイミングで入れる?」と思うくらい違和感がありました。二人の主従関係が出来上がるまでの経緯が有るのは良いのですが、ちょっと入れるタイミング

野いばら ★★★★★
ろこのすけ/時を超えた愛の形が匂うように美しく、比喩は幾重にも重なった野いばらの花びらにも似て
主人公、縣和彦(あがたかずひこ)は醸造メーカーの社員である。彼はバイオ事業部に配属され、以来企業買収の仕事につく。買収の対象は花の種苗会社。花は工業製品である。そこで売買されるのは花という形に変わった知的財産権である。妻と別れ、心にぽっかりと穴の開いたような主人公は種苗会社の調査中、偶然手にしたかつての英国軍人の古びた手記を手に入れる。その手記は静かな英国の田園地帯、コッツウオルズの一軒の家での出

茨木のり子 ★★★★★
wildflower/隠された「震える弱いアンテナ」の在り処
本書のタイトルは著者51歳(昭和52年)花神社から発行された表題作『自分の感受性くらい』の一節。茨木のり子といったらこれ、というほどに強く雄々しい印象を放つ、今更言うまでもなく有名な詩である。「永遠の詩」と題された小学館発行のシリーズ2巻。図版の多い年表、各詩への鑑賞解説、巻末エッセイからなる、親しみやすい体裁の入門編である。遺作『歳月』収載の作品や未収録の数編を含め、年表に沿うように配列された3

舟を編む ★★★★★
さあちゃん/辞書には驚きと感動が詰まっていることを教えられました。
このタイトルからこれが辞書作りに携わる人々を描いた内容だとは想像もつかないと思います。勿論三浦しをんさんの新作なので通り一辺倒なものではないだろうとは思っていました。しかしまさかこんなにまで感動的で涙するようなものだったとは!まさに嬉しい驚きでした。これは15年もの間優れた辞書を世に出そうと奮闘する人々を描いた作品です。中心になるのは辞書編集部主任の馬締光也。名前の通り真面目で少し変わっている。ぱ

コージー作家の秘密の原稿 ★★★★★
更夜/アガサ・クリスティへのオマージュも楽しみ
コージーミステリ(cozymystery)とは、何かわからなくて英語の辞書をひいたら「居心地良い」としかなく(イギリス英語ではcosy)ネットで調べたら、アガサ・クリスティのミス・マープル・シリーズのように狭い人間関係、御近所などで、主に女性が謎を解く、という素人探偵もの、暴力描写が少なく、日常生活などで起きるミステリだそうです。この物語は、イギリスのケンブリッジに住む、人気コージー・ミステリ作家

夜を希う ★★★★★
更夜/父の呪文(マントラ)と父への思慕の情との狭間で。
名前というのは「呪」である。名前というのは人間だけでなく、「雑草」としかみなされないものでも「オオバコ」と名前があるのです。他と違いをつけるため、そして、そのものの存在を示すため。この物語の主人公の25歳の青年の名前はフランク・テンプル三世(ザ・サード)。フランク・テンプル三世の祖父(一世)は朝鮮戦争の名誉兵士、父、二世(ジュニア)はベトナム戦争の精鋭部隊からFBIへ、とテンプル家は代々、軍人のハ

第2図書係補佐 ★★★★★
更夜/自分の中に「本の海」を持っている人
残念ながら私は吉本のお笑い芸人としての又吉直樹さんを知りません。理由はテレビを見ないから(理由1:チャンネル権がない、理由2:時間がない、理由3:お笑い芸人の世界はわからない)しかし、又吉さんは自由律俳句x写真xエッセイの本、妄想作家せきしろさんとの共著『カキフライが無いなら来なかった』『まさかジープで来るとは』が、わがココロの2冊の本なので又吉さんの世界のファンではあります。この本は、吉本の若手

スウィート・ヒアアフター ★★★★★
チヒロ/前を向いて、いなくなった人の分まで生きること。
深く内容もチェックせずに読んだ。ただ事故でお腹に鉄の棒が刺さって生還したってことだけ知ってはいたけど。臨死体験をして生き帰った時、同乗していた恋人は即死と知らされる。悲劇なのにそうは受け取らずにたんたんと、再び与えられた人生を、感謝しながら生きて行こうとする主人公。そして臨死体験のおまけは、時折幽霊が見えるようになったこと。これは文中でも触れてあるけど、「まるで『花田少年史』だ」と。あの「ピアノの

あつあつを召し上がれ ★★★★★
チヒロ/泣き笑いでほおばるおいいしいもの、ください。
帯に書かれているのですが、様々な場面(どれもその人には嬉しくて哀しくて泣きたい場面)で口にする食べ物、お話の中にある料理、というより、その料理が核となって物語が周りを取り囲むような短篇です。寝たきりで痴呆になってしまったおばあちゃんは何も口にしてくれない。だけど、ふと、以前大好きだったあの食べ物を思い出した孫娘。それをとりに、自転車を走らせる「バーバのかき氷」恋人に初めて連れて行かれた汚い食堂。そ

かなたの子 ★★★★★
チヒロ/本当に恐ろしいのは人の心の中にあるものかもしれない
近頃の角田さんは、行き場なく追い込まれた女の心情を書かせたら当代随一じゃないかと、ひそかに私は思ってます。「八日目の蝉」や「曽根崎心中」は主人公たちにそんな思いを抱かせるような力作でした。この「かなたの子」もまたある意味で新境地。短篇すべて、どこか鬼気迫って背筋が寒くなる。時代ははっきりしない、おそらく昭和の中ごろ以前、もしくは明治あたりまで遡るのか、貧しい農家に生まれた娘、そして成長してやはり貧

特捜部Q ★★★★★
チヒロ/帰ってきたカールとアサドのQコンビ
いいとこのボンボンとお嬢はまったくなっとらんっと嫉みたくなるような大金持ちの御曹司達が、実は裏でとんでもない卑劣な事件を引き起こしていた。警察内にも手を伸ばして妨害する彼らに、特捜部Qはまったくひるまない。おまけに新しく配属された秘書ローセはかなり厄介な女。それでもそれなりに実力を発揮してきてカールとアサドの後方援護ができるようになっていく過程も面白い。容疑者グループの一員でもあった紅一点のキミ―

キャベツ炒めに捧ぐ ★★★★★
チヒロ/そんなこと、やってちゃだめなのは百も承知。でもねぇ・・・
会話だけ読めば、妙に若々しいやり取りもあり、惣菜屋「ここ家」の厨房で、みんなでわいわいガヤガヤ、朝仕入れた食材を囲みその日のメニューを相談するところは、とても楽しそうでもある。でも、仕事がおわると心寂しい毎日がそこにある。別れただんなの家に電話なんて、普通しちゃいけない。けど、江子を捨ててしまった白さんは、元来の優しさプラスある負い目で、彼女を拒まない。休みの早朝に突然、訪れて昼食を食べて行く前妻

格闘する者に○ ★★★★★
のちもち/面白い!誰でも楽しめる本。
三浦しをんさんのデビュー作。女子大生の就職活動をつづる。実は普通の女子大生ではなく、複雑な環境に置かれた「お嬢様」だったりします。特に強い「将来設計」があるわけでもなく、大学、アルバイト、漫画喫茶に時間を使う毎日...その中で「なんとなく」出版社への希望になっていくんだけど、結果はどうあれ、それだけがメインではないところが、多面的で立体的で面白いです。政治家の父親、由緒ある家。就職活動に焦りを感じ

グラスホッパー ★★★
のちもち/ちょっと苦手だな、この世界...
あまりにも注目されている著者なので、1冊は読んでみたいと思った。特段理由があるわけではないが、10年ほど前から、いわゆる「ミステリー」を読まなくなって、「殺人」とか「犯人」という類がでてくる世界からは遠ざかっていた。のっけから「裏」社会の話で、登場するのは「濃い」人たちばかり。猟奇的な、職業的な、そして「物語的な」殺人者たち。唯一の一般市民も登場するが、彼も「裏社会」となんらかのつながりがある。当

竜宮ホテル迷い猫 ★★★★★
はぴえだ/ぬくもりある物語
ふしぎなテイストのお話。ファンタジーのような、SFのような、伝奇のような。広範囲でエンターテイメントといっていいような気がしないのでもないのだが、エンタメと決めてしまうのはとまどいをおぼえる。エンタメというと、私の中ではどこかはじけた強いイメージがあって、この作品のイメージにそぐわないような気がするのだ。この作品がはじけていないという意味ではない。読み心地としてはとても軽やかだし、突拍子もない部分

駆けぬける現代美術 1990−2010 ★★★★
みーちゃん/「美術は進歩しないが,拡大する」名言です。だって、現代美術が近代美術より進歩したなんて気配、どこにもありませんもの。ま、ミステリだってSFだって、拡大しているとは言えるんですが、でも確実に進歩している。美術だけかな、拡大だけっていうのは・・・
狙いなんでしょうが、美術の教科書のようなデザインで、本でいえば宝島社の別冊宝島。造本的には完全に美術手帳に負けている感じ。でも、この本に関して言えば、カバー折り返しにもある「美術は進歩しないが,拡大する」という言葉だけで十分価値があると思います。でも、これで2700円?売れそうにない本だからって、この値段は売る側の論理で設定されたもの。これなら別冊宝島で出してほしかった、どう読んでも1200円でし

邪悪 ★★★
みーちゃん/スプラッター好きの方にだけお薦め。まともなミステリファンには、ヨハン・テオリンの『黄昏に眠る秋』を押します。歴史のない国は、このレベルの作品に探偵作家クラブ賞最優秀新人賞をあげてしまう。久しぶりの空振りMWA・・・
岩瀬聡の手になるカバーデザインは、文句のつけようがない素晴らしいもの。カバー写真(C)GaetanCharbonneau/GettyImagesの良さもあって、ある意味、早川ミステリ文庫らしいデザインです。ま、このまま褒め放しではつまらないので、疑問を一つ。カバー中央左に七搦理美子【訳】とありますが、【】が、やけに目立ちます。ただ一文字分開けて訳のほうが美しかったのではないでしょうか。でも、カバー

黄昏に眠る秋 ★★★★★
みーちゃん/日本の推理小説と似たような事件を扱いながら、なぜか読後の印象がとてつもなく深いものに感じられます。その辺については、もしかすると海外文学では重厚長大をよしとする素晴らしい伝統がまだ生きているからかもしれません。未訳作品の訳出が待たれる作家の登場です。
スウェーデンの推理作家の作品で、本邦初登場です。もちろん、私が初めて耳にする名前です。ただし、ミステリでスウェーデンといえば、あの警察小説の傑作『笑う警官』など「マルティン・ベックシリーズ」を書いたペール・ヴァールーとマイ・シューヴァルがいるわけで、私も昔熱狂して読んだ記憶があるせいか、それだけで好感度があがります。しかもスウェーデン推理作家アカデミー賞最優秀新人賞、英国推理作家協会(CWA)賞最

蒼い猟犬 ★★★★
みーちゃん/役人の事なかれ主義、小説の中だけじゃありません。現実に人が死ぬ。イジメ、ストーカー、児童虐待。役人のいうことはいつも一緒。自分には責任がないと・・・
現在、エンタメ系警察小説の書き手として私が最も注目している堂場瞬一の書き下ろし作品です。といっても、堂場の場合あまり珍しくはありません。出る作品の多くが警察小説ですし、その作品の半数近くが書き下ろしです。年に二冊本を出して一冊が書下ろし、ならわかりますが、一年に何冊もの書下ろし小説を出す、頭脳よりも、その体力に感心します。で、この本、タイトルだけ見れば近藤史恵と若き日の西村京太郎を足して割ったよう

感染遊戯 ★★★★★
みーちゃん/誉田 哲也、短編でも腕の冴えを見せてくれました。でもなにより嬉しかったのは、あの関西弁を使うセクハラおやじが登場しなかったこと。大阪の人には申し訳ありませんが、関西弁のミステリ、特に刑事ものってなんだか変なんです。それがないだけでお話がこんなにスッキリするなんて、偏見ですよね、絶対・・・
雰囲気のあるカバー写真で、ちょっと映画風だなとは思いますがいいのではないでしょうか。帯を意識してカバー下半分をほとんど色だけにしていますが、裸にしてみてもさほど違和感がありません。文字の入れ方さえ工夫すれば、このまま文庫にも使えそうなデザインかな、なんて思います。このシリーズの泉沢光雄の装幀は安定しています。ちなみに写真提供は(C)MASAOHAYASHI/SEBUNPHOTO/amanaimag

ナニワ・モンスター ★★★★★
みーちゃん/ああ、あの事件と人を結びつけたんだ、それにしても上手につなげたものだ、まるで本当のことみたい、なんて思っていたらインフルエンザなどに対応に関する法案が提出されるとか。また政官と業界が組んでへんなこと考えてんじゃないでしょうね・・・
サイトウユウスケのカバー画は目立ちはしますが、正直いって下品。宝島社が海堂に与える装幀もろくなものではありませんが、新潮社にしてこのデザインか!なんて思います。文藝春秋や講談社と一歩も変わらないじゃん、畠山モグの本文カットも印象に残らないし、どうしたのでしょうか新潮社装幀室は。このままでは海堂尊、装幀に恵まれないベストセラー作家のままです・・・。で、です。タイトルが凄い。つい先日、大都市制度の在り

母子寮前 ★★★★
みーちゃん/私もこういう父親を許す気はしないなあ、でも、いるんです、こういう愚かな男が今も昔も。それを支えるのが、昔の儒教や忠君愛国主義であり天皇制である、なんてとこまで私の場合は言いきっちゃうんですけど・・・
小谷野敦の書く本が面白くて、立て続けに何冊か読んで、もてないはずの彼が結婚して、おまけに私の嫌いな東大出だということを知って、おまけに言うことがだんだんエラソーになってきたので離れてしまってから数年が経ちます。それでも、昔の恋人の動静が気になるように、私は知らず知らずのうちの書店で小谷野の名前を見かければ、そのままスルーとはいかず、ぼんやりとその周辺を眺める、なんていうことをしてきました。でも、あ

夜の欧羅巴 ★★★
みーちゃん/B級映画やアニメの原作レベルのお話なんですが、でもきちんとツイストはあるし、面白い人物も登場する。そういう意味でホントは★★★☆なんです、はい・・・
我孫子武丸『眠り姫とバンパイア』でも書きましたが、もう完結を待たずに刊行を打ち切ったと思っていた講談社ミステリーランドの最新刊で、『眠り姫とバンパイア』と同時配本です。装幀を安価なソフトカバーに変えることもなく、相変わらず装丁の祖父江慎+安藤智良(cozfish)とシリーズ造本設計阿部聡のコンビによるしゃれたスリーブ箱入りで装幀も頑張っています。ただし小島文美の装画・挿絵には感心しません。裏表紙の

樹木ハカセになろう ★★★
みーちゃん/ただ真面目に、密度の濃い情報を流せばいい、っていうものじゃあないんです。樹木のことを知り、外に出て実際に触れたりして確かめたくなる、そういう喜びを教えてくれるものでなくては。残念なことに、この本にはその視点が欠けています。
以前ほどではありませんが、あるとも言えないような狭い庭をみていると突然、木を植えたくなります。元気のない樹木をみていると何とかならないか、と思います。花が思ったほど咲かないと、なぜだろうと思い、大事に種から育ててきた苗が枯れてしまうと、何がいけなかったんだろう、どこで間違ったんだろうって悩みもします。そんなとき見つけたのが読みやすくて好きな岩波のジュニア新書。カバーイラストは上原エミ。カバー後の内

女子芸人 ★★★★
みーちゃん/原題は『花園のサル』なんだそうです。申し訳ありませんがセンスがありません。そういうタイトルを平気でつける人の作品となると、それが知名度がない「新潮エンターテインメント大賞」受賞作であろうがなんであろうが、こちらは構えてしまう。で、結果、古典落語と同じかな、と。つまり少しも新しくないけど、当たり前の世界を描いて読ませる・・・
新しいデザイン、っていう感じがしないのは曽根愛の画風なのか、それとも内容を反映した絵柄のせいなのか、正直、カバーだけ見ると神田の前作『フェロモン』を出したポプラ社の本的な雰囲気が出ています。はたして、それが狙いだったのかどうか、内容ではなく、舞台となる世界を表現しているのでしょうが、ちょっと違うかなと。新潮社装幀室に聞いてみたいところです。で、神田茜は、「1965年7月生まれ。女性講談師、小説家。

更級日記 ★★★★★
kumataro/枕草子や徒然草を超える作品
更級日記菅原孝標(すがわらのたかすえ)の女(娘)平塚武ニ童心社訳者の前書きを読む。歴史をひと筋の川の流れにたとえてあります。過去と現在はつながっている。昔の人と今の人との心は溶け合っているとあります。しみじみしました。夫を亡くした作者は晩年「死」を意識し始めます。内容は日記というよりも人生の回想記です。最終章では仏さまが迎えにくる夢をみておられます。心素直に書かれた情感のこもった名作です。枕草子と

偉大なる、しゅららぼん ★★★★★
YO-SHI/「琵琶湖には何か秘密があるはず」と私も思う。特別な力を授けられた「湖の民」の物語。
著者は、奈良では神の使いの鹿に話しかけられ、京都ではオニたちを操り、大阪では豊臣の姫を守った。そして今回の舞台は、日本最大の湖である「琵琶湖」を擁する滋賀。琵琶湖から特別な力を授けられた「湖の民」の物語だ。琵琶湖の東岸にある「石走(いわばしり)」の街は、日出(ひので)一族が絶大な力をふるう街。一族が持つ「他人の心を操る」力によって財をなし、かつてのお城の本丸御殿で暮らしている。ちなみに一族の力のこ

くちびるに歌を ★★★★
YO-SHI/恋、友情、家族...。陳腐に聞こえるけれど素直に受け入れられる。ラスト10ページで落涙。
舞台は長崎県五島列島のある中学校の合唱部。主人公はその部員の仲村ナズナと桑原サトルの2人で、それぞれの視点からの物語が交互に語られる。2人とも3年生。しかし、ナズナは同級生や後輩に慕われる合唱部の主要メンバーだけれど、サトルは人とのコミュニケーションが苦手で「自称(ひとり)ぼっちのプロ」。そんなサトルは、ひょんなことから3年生の春に合唱部に入部した。本書はいくつもの物語が縒り合さって、大きな物語が

怪奇小説という題名の怪奇小説 ★★★★
yjisan/脱出不可能な迷宮
「私」は、長編怪奇小説の執筆を依頼された小説家。だが筆が進まない。あれこれとプロットを案じるうちに幼少期の奇怪な体験を思い出し、気になって思い出の場所を見に行く。そこで見かけたのは、30年前に死んだ従姉そっくりの女だった。謎の女性が気にかかって小説が手につかない「私」は、マーク・ルーキンズという日本では無名な作家の恐怖小説“ThePurpleStranger”(未翻訳)を、舞台を日本に移し換える形

平安朝の生活と文学 ★★★★★
サトケン/これ一冊を熟読すれば王朝文学の背景はすべてわかるスグレ本!
これ一冊を通読するだけで、平安時代の国文学、すなわち王朝文学の背景はすべてわかるスグレ本です。高校で学ぶ古文は、『徒然草』や『奥の細道』などを除けば、『源氏物語』や『伊勢物語』、『枕草子』など王朝文学が大半ですので、古文の勉強のお供にはぜひ読んでおきたい一冊です。平安時代の宮廷貴族や女官たちがどういう生活をしていたのか、どんな所に住んで、何を着て、何を食べていたのかについて、『源氏物語』や『枕草子

ココ・シャネルの「ネットワーク」戦略 ★★★★★
サトケン/人脈の戦略的活用法-「ネットワーク理論」で読むココ・シャネルの生涯
人生で成功したければ、「近所づきあい」と「遠距離交際」のバランスをとれ、そして人間関係の「リワイヤリング」を意識的にやれ。これが本書の最大のメッセージである。「大切なのは、知人、友人と戦略的につながることであり、お互いの信頼関係(ソーシャル・キャピタル)を深めること」(P.242)なのだ、と。このメッセージを、ファッション・ブランドの変革者ココ・シャネルの生涯をケーススタディの材料とし、豊富な図解

プリーモ・レーヴィ ★★★★★
サトケン/トリーノに生まれ育ち、そこで死んだユダヤ系作家の生涯を日本語訳者がたどった評伝
『アウシュヴィッツは終わらない』、『休戦』、『周期律』などの作品で日本でも知られる戦後世代のイタリア人小説家プリーモ・レーヴィ。本書は、その作品の多くを日本語訳してきた著者が書き下ろした日本語では初の評伝である。イタリア北部の中心都市トリーノにユダヤ人の家系に生まれたプリーモ・レーヴィは、大学で専攻した化学の分野でエンジニアとして生計をたてながら、アウシュヴィッツ絶滅収容所を生きぬいた体験を文字に

新・日本文壇史 第3巻 ★★★★★
ががんぼ/中原中也と小林秀雄が白眉
このシリーズ、その膨大な資料的価値に敬意を表し、かつ興味を惹かれながらも、第一巻を読み終えた時には、もうこれ以上読まなくてもいいような気がしていた。作家の生活と行動についての多くの事実と、実際に書かれた作品との、不可避ともいえる乖離を逆に意識してしまったからである。それでもこの第三巻だけは外せないという思いがあって読み始めた。ここには小林秀雄、中原中也、長谷川泰子の三角関係という、文学者の私生活を

新・日本文壇史 第1巻 ★★★
ががんぼ/生身の人間像、あるいはスキャンダル史?
「漱石の死」から初めて、明治以降の日本の作家群像を描いた浩瀚なシリーズの第1巻。全10巻のこのシリーズ、渉猟する資料だけでも膨大なものになるはずで、ひとりでこなすというのは、大変な力業だろう。周知のように、だいぶ前に「作者の死」が宣言され、批評、文学研究の焦点は、作家から作品、さらには読者の反応という方向へ、そのまた先は文化研究など、コンテクスト面へと大きくシフトしてきた。とはいえ、気にいった小説

須賀敦子を読む ★★★★★
きゃべつちょうちょ/須賀作品を読むにあたって、課外授業というよりは必修科目。
文庫化を待っていたので、嬉しい限りだ。著者は須賀敦子が生前に出した五冊のエッセイと、とうとう未完のまま遺稿となってしまった小説の序章を考察する。須賀敦子の文章には、映画や小説を味わっているときのような、ふくよかさがあるから、漫然と読み流すことができない。難しい語句を並べ立てているわけではないのだが、じっくりと噛みしめながら再読していくような文章だと思う。そんな文章の数々を、『徹底的に読み直し』、読

月と六ペンス ★★★★★
きゃべつちょうちょ/芸術という信仰に取りつかれた人間の狂気。
わたし自身が誤解していたのだけれど、これはゴーギャンの伝記ではない。ゴーギャンの伝記からモームがインスピレーションを得て、書いた小説である。ゴーギャンの生涯そのものが描かれているわけではないので、ゴッホとの共同生活の様子や、あの〈耳切り事件〉は出てこない。ゴッホどころか、こんにち知られている画家の名などひとりも出てこないのだ。もちろんモームは、実際にゴーギャンが暮らしたタヒチへも訪れたりして綿密な

第四の男 ★★★★
カルバドス/誘拐事件の裏の裏
友達がいないうえに、女子高生にもからかいの対象にしかならない。運のない男の代名詞のようなサラリーマン探偵・石崎幸二が今回巻き込まれたのは、女子高生連続誘拐事件だ。このシリーズの面白さは、スカッと爽快な謎解きではない。あれやこれやなんだかんだと女子高生達が石崎をからかう中から、ヒントがポッと浮かび上がる。我々読者をミスリードさせる手段か、はたまたある意味正攻法なのか。漫才のような、コントのようなやり

悪い娘の悪戯 ★★★★★
jis/腐れ縁
世の中には、腐れ縁というものが多くある。老若男女とはず、人間への執着もしくは、天の配剤が生み出す縁と言える。これが、男女の恋愛となると、格好の小説のネタになる。読者は、人生の悲喜交々、後悔、希望、絶望、憔悴、歓喜、解放などジェットコースターのように浮き沈みを経験できる。主人公のリカルドは、ある少女に一目惚れする。それが、悲劇の始まりだ。以来40年、その女性に裏切られ、復縁し、また裏切られ、関係が復

波紋 ★★★★★
saihikarunogo/一歩先に「老い」と「死」を迎える友の姿に、小兵衛は……
この『剣客商売』シリーズ第十三巻は、天明三年春の、桜の花が散りかける頃から始まっている。前の第十二巻第四話『十番斬り』の冒頭で、天明三年の年が明けて秋山小兵衛六十五歳、大治郎三十歳、おはると三冬は二十五歳、大治郎の一人息子で小兵衛の初孫でもある小太郎は数え年の二歳になったと述べられていた。小太郎は、この第十三巻第二話『波紋』で、間もなく満一歳になると述べられる。その頃には蛙が鳴いている。史実では、

二十番斬り ★★★★★
saihikarunogo/「小兵衛さんは、ついに、そこまで到達なすったか……」
第十五巻第一話は『おたま』という短編で、その後は、長編『二十番斬り』である。「おたま」とは小兵衛の飼い猫のなまえだ。前に、第十二巻第一話『白い猫』で語られた、小兵衛と彼の妻にして大治郎の母のお貞とが飼っていた猫の名も、カタカナで「タマ」だった。『白い猫』のラストでは、おはるが、捨て猫を飼いたいと言うのに、小兵衛が強く反対し、他の猫好きの夫婦のところへ持って行くと言っていた。ところが、この第十二巻第

暗殺者 ★★★★★
saihikarunogo/田沼意知暗殺の年、秋山父子にも異変が……?!
いよいよ、天明四年(一七八四年)、田沼意知暗殺の年がやってきた。第十四巻『暗殺者』は長編である。作中、天明の大飢饉や、田沼意次の権勢は相変わらずだが悪評ますます高く、印旛沼の干拓も順調ではないことにも触れている。第一話『浪人・波川周蔵』は、仕掛け人藤枝梅安シリーズのようなやりとりから始まっている。もっとも、波川周蔵はここでは暗殺依頼を断わっている。波川周蔵は、秋山小兵衛・大治郎と並んで、この巻の三

福家警部補の挨拶 ★★★
惠。/コロンボ好きによるコロンボ形式の短編集。ひょうひょうとしていてそこがよい。
刑事コロンボのノベライズを担当した著者による倒叙ミステリ短編集。本書に収められている4篇ではどれも、冒頭で犯人が殺人を犯す。本の価値を理解できない二代目「バカぼん」を事故死に見せかけようとする私設図書館の館長。弱みを握った後輩を強盗に見せかけて殺害した元科警研勤務の大学講師。ある役を巡って争うライバルを事故に見せかけて中毒死させた女優。ライバル酒造の社長を事故に見せかけて殺した老舗酒造の社長。登場

白戸修の事件簿 ★★★★
惠。/善良なる白戸くんが巻き込まれる事件集。
ドラマ化されるとのことで、再読してみた。(調べたら関西地区は放送されないみたいだけれど…)すごく好きなキャラクタが主人公のミステリ短編集だ。お人好しでどこにでもいそうな冴えない大学生、白戸修。彼はいたって普通に日常を過ごしているだけなのに、気が付けばいつも事件に巻き込まれてしまう。「巻き込まれ型」のミステリは少なくないけれども、本書がちょっと特異なのは、主人公がいたって「普通」なところだろう。巻き

田舎の刑事の動物記 ★★★
惠。/田舎なのに事件は起きます。黒川なのに冴え冴えと解決しちゃいます。読みたかったのはそこじゃない。
『田舎の刑事の趣味とお仕事』に続く脱力系ミステリ第二弾。『田舎の刑事の趣味とお仕事』での主人公の黒川鈴木刑事とその部下や奥さんとのやりとりが面白すぎて、第二弾である本書のの文庫化が待ち遠しかったー。(文庫化に当たり『田舎の刑事の闘病記』から改題)と。期待値をあげすぎたのがよくなかったのか、少々がっかりしてしまった。それは、黒川を悩ませる2トップ、部下の白石と奥さんのハチャメチャっぷりがトーンダウン

アントキノイノチ ★★★★★
mieko/人間の持つ肉体の生々しさや精神の生々しさと、どう向き合っていくか
さだまさしの歌う曲は小学校6年生の時に当時ヒットしていた「雨やどり」を聞いて以来ずっと好きです。中学生になってグレープ時代の歌も聞くようになり、どっぷりさだワールドにひたっていた頃もあり、歌から伝わるさだまさしの世界観、人生観のようなものにかなり影響を受けてきたと思います。子供を育てるようになってから児童書に興味を持ち、ボランティア活動などを始めた頃、さだまさし著の『ふうせんのはか』を図書館で見つ

文明の子 ★★★★
K・I/職業作家が忘れているものがここにある
爆笑問題のラジオで紹介されていたので読んでみた。思っていたよりもずっとよかった。短い短編がいくつもつながっていってひとつの大きな「物語」になっていく構成も見事だと思った。また、金子みすずをほうふつとさせる部分やピーターパン、フランケンシュタインなど読書家としての太田さんの「間テクスト性」がいかんなく発揮されていた。この本は芥川賞も直木賞もとらないかもしれないが、某団体が本気で文学の「振興」を考えて

虐殺器官 ★★★★★
muneyuki/一つ段階をすっ飛ばした、現代の戦争の行く末。
戦争における、合理性、そして誰かの都合が優先される、という状況が進行して行ったらこうなっちゃう、という世界が『虐殺器官』の世界。「戦争」が描かれるのですが、それはあくまで主人公、クラヴィス・シェパード大尉の一人称で描かれます。クラヴィスは何度も戦闘を経験し、人の死に触れ、己の死を身近に感じながらも、「死」に慣れない。「死」に引っ張られ続けます。それはテクノロジーの発達が、「死」と「思い」を分けてし

ゴールデンスランバー ★★★★★
けい/昔の仲間に会いたくても会えない人に贈りたい
本屋大賞、伊坂幸太郎、映画化、この本を手に取らせる「とっかかり」はさまざま。ただ、私が手を伸ばしたのは、「学生時代の仲間の再会」というキーワードでした。仙台市内で催された首相凱旋パレードで起きた暗殺事件。その「犯人」として追われることになった無実の青柳くんの逃亡劇が描かれます。いつもの伊坂作品のように、複数の人物にフィーチャーした短い章立てで「え、そんなこと描いてどうするの?」ということも織り交ぜ

Xの悲劇 ★★★★★
けい/同じ本をニ回も読むなんて時間の無駄だと思う人にも、何度でも味わいたい物語がある人にも贈りたい
ミステリマニアを自認する私が断言します。すぐれたミステリはニ度、三度と繰り返し読むほうが味わえる。しかし、傑作がゴロゴロしている黄金期(ゴールデンエイジ)、1930年代の作品は翻訳のこともあり、現代の読者におススメするのはちょっと腰がひける、というのも事実。そこで、嬉しいのが新訳。昨今、ハヤカワ文庫のクリスティ全集や、東京創元社のヴァン・ダイン全集など、新訳で本格ミステリの古典を今の読者に訴えよう

少年少女飛行倶楽部 ★★★★★
拾得/ファンタジーなきファンタジー、ミステリーなきミステリーという力技。
タイトルからすると、一見、ファンタジー。そして著者の名をみれば、中学校を舞台にした爽やか系青春ミステリーかと想像される。そう思いきや、倶楽部を主催するというのはかなり変人な先輩。なまえは神(じん)。そこに友達にさそわれて入ってしまった、中学一年の女の子・海月(みづき)が語り手である。そこに集まる少年少女たちは、飛行以前に、それぞれの名前が不可思議である。副部長は海星、海月の友達は樹絵里、不登校から

ビブリア古書堂の事件手帖 2 ★★★★
ゆこりん/面白く、そしてまた貴重な作品
ビブリア古書堂の店主である栞子が、退院して戻ってきた。まだ慣れていなく悪戦苦闘する大輔を見守りながら、彼女は再び古書堂を営んでいく。そこに持ち込まれる本の中には、さまざまなエピソードを持ったものや、持ち主の想いが詰め込まれたものもあった。大輔と栞子は、本に隠された謎のひとつひとつに迫っていく。「ビブリア古書堂」シリーズ2。この作品は、プロローグとエピローグとほか3編から成る。プロローグとエピローグ

週刊ブックレビュー20周年記念ブックガイド ★★★★★
月乃春水/豪華!充実!読書人必携の『NHK週刊ブックレビュー』20周年記念ブックガイド
NHKで放送中の『週刊ブックレビュー』20周年を記念して、初の「番組発」のブックガイドです。1991年~2011年、20年間の放送の特集バックナンバー全リスト掲載はもちろんのこと、20年間それぞれの「この年の読書界」「年間ベスト10」「文芸以外の話題作」「主な受賞作」が掲載されています。特集としてゲスト出演した人については、年1人をピックアップ。再録が掲載されています。拡大版もあります。2011年

おそろし ★★★★★
オクー/真ん中にあるのは人の心。だから、どんな人にもまっすぐに届く
宮部みゆきは、ファンタジーからミステリー、時代小説まで幅広い分野を手がけているが、特に時代小説がいい。巧みな語り口が時代物にはぴったりなのだ。この「おそろし」についていえば、心理描写、情景描写が冴え渡っていて本当にすごい。まさに「円熟の境地」である。この物語、副題は「三島屋変調百物語事始」。宮部みゆきによる「百物語」の始まりだ。主人公はおちかという17歳の少女。ある事件をきっかけに心を閉ざしている

奇縁まんだら 終り ★★★★★
夏の雨/定められた命
先日父が亡くなった。父とは「奇縁」であろうはずはない。親と子、まさに「宿縁」である。二年前に母を亡くし、時をおかずして父も亡くしたことになる。私はどちらかといえば、父によく似ていた。容姿もそうだが、気の小さい性格など自分でもよく似ていると時に落胆し、時にうれしくもあった。母を亡くしてからの父はすっかり無口になってあまり笑うこともしなくなった。母がもっぱら話し、父がそばで黙って微笑んでいる、そんな夫

君のいない食卓 ★★★★★
夏の雨/父の最後のお酒
父の葬儀が終わった翌朝、喪主をつとめた兄が「悔やみの言葉でさみしくなりましたねとよく言われたが、本当にそうだよな」とぽつんと涙を落とした。介護ベッドに寝ている父に「おはよう」と声をかけて起こして、ベッドのそばに置いたトイレまで抱きかかえ、そのあと着替えさせるというお決まりの朝。朝食は一膳のおかゆと菜のもの、プリンのようなデザート。お茶は嚥下障害を起こさないようにとろみをつけていた。遠くで暮らす次男

デッド・オア・アライヴ 1 ★★★★
ドン・キホーテ/全体のストーリーよりは個別の手段の描写が中心となっている
クランシーの作品で、ジャック・ライアンが活躍するシリーズである。随分久しぶりだと思ったら、解説に7年ぶりの登場だと出ていた。前回は邦題が『国際テロ』であった。その時の設定とそれほど大きな変化は見られない。主たる登場人物は、クラーク、チャベス、ライアンの息子、その従兄弟たちである。CIAの同僚であるフォーリーの夫はすでに引退している。これまでの登場人物のシニアたちは年齢的に現役を退いている場合が多い

開かせていただき光栄です
よっちゃん/皆川博子氏の作品は『死の泉』『薔薇密室』『伯林蝋人形館』を読んでいた。いずれもナチズムの狂気をエロチックにグロテスクに描いた耽美・幻想の世界で、あまり後味がいい作品ではなかったとの印象がある。ところが、びっくりしたことにこのジャンルとはまったく違うのだ。今回の『開かせていただき光栄です』は上等の本格探偵小説である。
「18世紀ロンドン。外科医ダニエルの解剖教室から、あるはずのない屍体が発見された。四股を切断された少年と顔を潰された男性。増える屍体に戸惑うダニエルと弟子たちに、治安判事(ジョン・フィールディング)は捜査協力を要請する。だが、背後には、詩人志望の少年(ネイサン・カレン)の辿った稀覯本をめぐる恐るべき運命が………。解剖学が先端科学であると同時に偏見にも晒された時代。そんな時代のおとし子たちがときに可

小林一茶 ★★★★★
Tucker/やさしさと切なさと生活臭と
小林一茶の名は知らなくても「痩せ蛙負けるな一茶これにあり」「雀の子そこのけそこのけお馬が通る」「やれ打つなハエが手をする足をする」といった句なら聞いた事があるだろう。松尾芭蕉の俳句は、いかにも「芸術」という感じだが、小林一茶の俳句には「作者の体温」というか「生活臭」まで感じられる。ひらたく言えば、松尾芭蕉の句は洗練されていて、小林一茶の句は泥臭いのだ。例えば、天の河を詠んだ句でも「うつくしや障子の

失われた時を求めて 3 ★★★★★
あまでうす/フェルメールの最初の理解者であったプルーストのするどい審美眼
スワンとオデットの恋が冷める果て凡庸そのもののサロン生活が開始されると、彼らの娘オデットと主人公との恋物語が延々と繰り広げられる。そして知的な男性の片割れであるところの私は、スワンと同様その常として相変わらずおのれの前頭葉でひねくりまわした恋人の幻像に翻弄され、疲労困憊し、とうとう念願の恋を成就することなく自縄自縛に陥って自爆する。浅はかと言うも愚かで哀れな男子の所業である。恐るべきは著者のその真

放蕩記 ★★
あまでうす/いったいどこが放蕩なの?
挑発的な題名に惹かれて手に取ってみたが、いったいこの小説の主人公のどこが放蕩なのかさっぱり分からなかった。放蕩とは広辞苑によればほしいままにふるまうこと。特に酒食に耽って品行が修まらないこと等とあるが、ヒロインは少女時代にちょっぴりレスビアンの真似をしたり、高校時代に2人のクラスメイトと先輩と致したり、大学時代に出版社勤務のリーマンとラブホテルへ行ったりするくらいで、この定義のいずれにもあてはまら

ジャッカルの日 ★★★★★
SlowBird/全身全霊
今さら言うまでもない超有名作品だし、名に恥じない傑作、超弩級サスペンス。アルジェリアに対して融和的だったドゴールを暗殺しようとする極右組織が、暗殺のプロを雇う。1960年代ともなれば治安は安定し、なまじ乱暴なことなど簡単には出来ないし、怪しい人間がうろうろなどできない、その上組織は当局にマークされている。そこでフリーの暗殺者に高額で依頼するのだが、彼はこの不可能事をやり遂げると言う。オーストリア、

南極。 ★★★★★
書痴/強烈、お下劣、脱力の三位一体そろった「ギャグ小説」!南極夏彦は、赤塚不二夫を超えられるか?
まずカバーのキャラクター、南極夏彦のフィギュアがビジュアル的にインパクト大です(口絵にて、南極の正面、横、背後の三面が見られます)。まるで山上たつひこの『こまわり君』が中高年になったような造型、作者自身のパロディとして、文中で徹底的に貶められ、矮小、具現化したようなこの南極夏彦と、ツッコミ役の女性編集者(長)を中心に、毎回、妖怪やオカルトにまつわる怪奇現象の謎解きを目的に、物語が展開してゆく構成で

草すべり ★★★★★
たけぞう/純文学の魅力をぐるぐると考えてしまった作品。
南木さんの久々の受賞作だ。受賞歴の少ない作家さんなのである。文学界新人賞、芥川賞から十九年、本作で二つの賞を受賞した。これまで追いかけているが、確かによい雰囲気のある作品だと思う。医療従事者の主人公が山を登る話。医療や心身症を全面に出していない分、読みやすくなっている。久々に皆さんにお薦めしたくなったが、読み手はある程度絞られてくるのだろう。中高年の純文学好きか、心の安らかさを求める人が向いている

ビブリア古書堂の事件手帖 2 ★★★★★
たけぞう/全面的に評価UPです。これはいい。
ビブリア古書堂の事件手帖1を読んで、少し様子見をしていた。1は、ライトミステリーとしての楽しさが存分に発揮されている一方で、人物造形にしっくりこない部分があったからだ。前作の書評で、私はそれを薄いと表現した。なんというか、心理描写に現実感が乏しいと感じた部分が少々あった。でも、本の出来としては良かったので、2については皆さんの書評でチェックしていた。なんとなくだが、1と2でどこか雰囲気が変わってい

解錠師 ★★★★★
katu/ミステリーだと思って敬遠している人がいるとしたらもったいない
この本は当たりだ。個人的には今年のベスト10入りは間違いないな。ベスト5と言ってもいいかもしれない。見かけはミステリーだが、実際には少年の成長物語であり、恋愛物語でもある。現在刑務所にいる主人公が過去を振り返る体裁を取っている。それ自体はありふれているが、2つの地点から過去を振り返っているのが珍しい。まずはAという近い過去の話から始めて、次にBというAから更に10年くらい前の過去の話がそれに続き、

なぜ正直者は得をするのか ★★★★★
良泉/共生を重んじる国民性がこの国の持続可能性の鍵なのでは
いま、日本は危機的状態にあると思う。異常に長期にわたるデフレ円高により、一般の労働者はへとへとに疲れきっいる。そんな状況の中での未曾有の大災害。これまでこの国において、長い年月をかけて培われてきた雇用や経済は、ずたずたに破壊されつつある。そして、そんな状況の中、そんな状況を待っていたかのように、そんな状況をつけねらうかのように、悪しき思想が持ち込まれる。様々なダメージでショックを受けた国民は、それ

失われた〈20年〉 ★★★★★
良泉/労働者の敗退。そしてみんな負け組に落ちる
日本経済が、この「失われた20年」の間に大変なことになってきていることに気づかない人は多い。例えば失業率が3%から5%に上がっても、それで直接的にダメージを受ける2%の人間というのは、やはり人口比率でみてもかなり少ない。そのほかにも、ここのところ急激に増加している層として、正規雇用から非正規雇用への転換を余儀なくされた人、就職が決まらない新卒学生などもいるが、それでも決して多数派ではない。多くの人

世界で勝てるデジタル家電 ★★★★★
MtVictory/世界で勝てるデジタル家電を売るために、ルールを変える
本書は近年のApple社の成功の秘密、ビジネスモデルを分析し、分かりやすく解説している。それに対する、日本の家電メーカーの凋落振りも分析し、その原因と、再生のために何が必要か考えている。「世界で勝つ」ためのポイントは、一つ。「ルールを変える」こと。Apple社、というか天才・スティーブ・ジョブズはビジネスルールを変えることで成功した。著者は「デジタル家電のビジネスルールはゲーム機から生まれた」と指

誰が「地球経済」を殺すのか ★★★★
MtVictory/「地球経済」の読み方
ギリシャ危機から始まった欧州債務問題はいまだに解決の目途が立っていない。本書はそうした最近の経済危機などを取り上げて、我々としてそれらをどう理解し、対応していけばよいかを考えようとしている。経済指標や報道などから得られる情報から何を読み取るか。著者は7つの視点で捉えようとしている。「人」が語る言葉や、数字、歴史などに注目する。あるいは2つの視点を組み合わせた座標軸で考えたり、これまでの考えの「反対

世界同時不況がすでに始っている! ★★★★
MtVictory/世界は「失われた10年」ヘ
著者の分析では世界の「いまの大不況はバランスシートを調整する構造的なもの。3-4年、悪くて10年続く。循環的なものではない。じわじわと緩やかに、何年も続いていく」としている。欧米が”失われた20年”の日本と同じ状況になることを認識しておく必要がある。従って世界全体の成長率も鈍化し、日本のデフレ状況もすぐには大きく変わることはないだろう。中期的にはそれが”ノーマルな状態”になるのではないか。その日本

日本の恐ろしい真実 ★★★★
MtVictory/本当に「増税やむなし」なのか
なんとも恐ろしげなタイトルであるが、サブタイトルにもあるように日本は財政、年金、医療の破綻の危機に直面している。既に国家財政は破綻は免れず、政府は国債の返済を諦めたとも言われている。なんとかこれ以上の借金の増加を増やさないことは出来たとしても、完済はどう考えても無理だろう。そんな状況を改めて著者に言われなくとも、既に国民は理解している。いろんな人が対策を提言しているのに、状況は一向に好転していない

図解すごい集中力 ★★★★
シャリア/意図的につくりだすイメージ。
「否定的な言葉を意図的に使わない」これならできそうだ。ついつい、感情まかせで口をついて出てしまうこともあるかもしれないが、すかさず別の表現方法はないかと考える習慣がつくまで、意識的に、意図的に。無理したポジティブシンキングは引きつった表情で、どこか他人事のようにウソくさい。心と表現のバランスが崩れていて、違和感を感じるのは私だけであろうか。ところが「否定的な言葉を意図的に使わない」とするとどうだろ

苦手意識は一瞬で捨てられる ★★★★
シャリア/心の中の伏魔殿
「どーもダメ、なんだよねー」また一つ苦手意識回路の強化がなされた。経験から蓄積されたリスク回避が苦手意識の正体なのかも知れない。今までのことを、今はイメージの中で意識している。その過去を変えられるといったら、驚く人は多いだろう。既に実在しない現実は、イメージの中でしか存在しえない。したがって「苦手意識」は克服するものではなく、塗り替えるものである。本書では「捨てる」、「消す」と表現しているが、内容

斎藤一人15分間ハッピーラッキー ★★★★
シャリア/人は幸せになる義務がある。
幸せになる義務を権利と勘違いして放棄してしまう人(=義務を怠ってしまう人)幸せになる義務の遂行の仕方(答え)を知らない人(=答えの存在に気がつかない人)幸せになる「答え」を知っていても、遂行しない人(今までの経験で蓄積された感情がそうさせない人)以上の方へぜひ、540円なので、ランチ一回分と思ってお勧めします。「おなかがいっぱいになったら断食し、おなかがすいたら断食やめる」というくらいの修行で幸せ

ストレスに負けない技術 ★★★
ヂャリや/どんなにボコボコにされても。
「認知のゆがみ」がストレスの原因だという。本当だとすると、自分で勝手にストレスを溜めていることになる。物事の捉え方、感じ方は人それぞれなのだから。ストレッサーとなる人は、たしかに自分が周囲にストレスを撒き散らしているとは思いもよってない。たとえ本人にそのことを指摘したとしても理解しない。なにせ認知の仕方が違うのだから。困ったものだ。となると、こちらで準備しなきゃいけない、本書で言うところのコーピン

残念な人のお金の習慣 ★★★
リーマン・シスターズ/「本書を読んでいるほとんどの方に、金融商品への投資はやめたほうがいいとアドバイスしたい」から続く一連の告白は、よっぽど後悔の念が強いのか、著者にしては非常に読みずらい。それだけに真実がそこにある。
お化粧をしている文章は読みやすく、スーッと入って、スーッと出て行く。対して、感情の入った文章は、他人の推敲をも受け入れない雰囲気があり読みごたえ充分となる。その投資に関する章で「ここで私が非常に「残念な投資家」であることを告白したい」とは著者の謙遜ではなく事実であると思えるから驚きだ。ビジネスで成功している人が必ずしも投資で成功するとは限らない、いや、だからこそ失敗してしまうと言われるが、本当であ

「上から目線」の構造 ★★★
セカンド・プラン エトセトラ/この際、「横から目線」「後ろから目線」なども言い出してはどうだろう。
「前から目線」なんていうのはどうか。「前々からずっと思っていたんだけど、この際だから言わしてもらうね・・・・」のフレーズで前置きが始まったら、すかさず「どうして、そう前から目線ができるの?」などと使う。こうすることで、これから言われる文句を封じ込めることができる。また、過去の失敗をあれこれあげつらったり、自分だけがそう思っている過去の栄光をひけらかしたりされそうになったとき、「前から目線!」と注意

「怒り」を上手に消す技術 ★★★★
セカンド・プラン エトセトラ/心の碇(こころのいかり)
「怒りをなくしてしまうことは、脳の構造上できない」と著者は言う。では、いままでの怒りを超越したとされる宗教指導者だちはどうなるのだろう。なるほど、神様・仏様ということか。たしかに「怒る」ことが何にもないと、怒ることがないことに怒ったりする人もいる。四六時中、怒っていないと気のすまない人。そんな、はた迷惑な方にオススメしたい「スグに怒りを鎮めたい場合」の方法が紹介されている。笑えるが、なかなか効果は

なぜ、働かないで年収1億円になれたのか? ★★★★
セカンド・プラン エトセトラ/面倒くさい。
怪しい香りに魅かれてしまうのは、本能か。安全と冒険が共存するのはなぜか。本書タイトルの「なぜ」に対する答は、本書には書かれていない。それもそのはず、もともと「楽して成功できる非常識な勉強法」の改題であることが最終ページでわかった。では勉強法が書いてあるかといえば、なんと書いてない。いったいどうなっているのか。それは、このタイトルに魅せられて買ってしまう読者に対し、有益なことが、書いてあるである。「

いい「ことわざ」はいい人生をつくる ★★★
セカンド・プラン レジェンド/一兎を追うものは、二兎は得られない
一挙両得が難しいのは、はじめから諦めているからではないだろうか。いい「ことわざ」がいい人生を作るのだとしたら、悪い「ことわざ」はどうなるのだろう。本書にあるとおり「塞翁が馬」ということか。「ことわざ」は、長い年月のあいだ人と人との機微にもまれながら、生き残ってきた道標である。したがって、大昔でも現代でも、言いえて妙ということが起こりえる。ただし、その意味を取り違えていることもしばしばある。今一度、

サボる時間術 ★★★
セカンド・プラン エトセトラ/カンパイ。
「うんー、もうひとつだなぁー」と感じるのはなぜだろう。それは、タイトル買いをしてしまった自分の中に原因がある。優秀な人が忙しいさなかに時間を作ることを、言葉の遊びで「サボる」と表現しているようなものだ。空けた時間に全体を俯瞰したり、発想の転換を行なったりしていることに使うという趣旨だ。それじゃーサボったことにはならないではないか、と思うがそれは言葉に対する著者と私の認識の違いだ。本書の中に出てくる

数字はウソをつく ★★★
セカンド・プラン エトセトラ/思い込みが勘違いを生んでいるだけで、ウソをつかれたわけではない。
なんでも人のせいにする習慣のある人は、数字がウソをついたと思うのかもしれない。「1500円以上のお買い上げで抽選券一枚進呈します」との宣伝文に誘われて、「よし、3000円なら二枚だな」と思い何冊か選びレジへ。「3150円になります。抽選券一枚どうぞ」「あのー、二枚じゃないんですか?」と遠慮がちに聞く。「”会計ごと”、1500円以上で一枚です」とあっさり冷たく即答された。待ってましたとも感じられる返

「気づく」技術 ★★★★
サトケン/「企画=記憶の複合」と説く人気プロデューサーの発想術は「気づき」力のことだ
「気づき」の感度を高めるために何をすべきか、どういうマインドセットをもつべきか、どういう生活習慣をつくりあげるべきかについて、人気プロデューサーが随想的に記した本である。著者は、「成功する人は一秒前に気づいている」と言う。「企画は記憶の複合」であるというのは著者がよく使うフレーズのようだが、ここでいう「記憶」が「気づき」の「記憶」のことであるならば、いい企画をつくるためには、人より多く「気づき」を

あんぽん ★★★★★
サトケン/孫正義という「異能の経営者」がどういう環境から出てきたのかに迫る大河ドラマ
一気に読み終えた。まさに佐野眞一にしか書き得ない、中身が熱くて厚い、渾身の一冊だ。孫正義という日本を代表する「異能の経営者」が、いったいどういう環境から出てきたのか、どのようにして経営者としての突出した個性が形成されたのかに迫った内容だ。だから、ビジネス・ノンフィクションというよりも人物伝と言ったほうがいい。佐野眞一の人物伝がみなそうであるように、その人物を描くにあたっては「その人物が絶対に見るこ

あんぽん ★★★★★
オタク。/ある経営者の系図。
副題が「孫正義伝」となっているが、どちらかと言えば孫正義という日本に帰化した元在日3世の系図を書いた箇所が面白い。系図に出て来る人々が生き生きと描かれていて、読んでいて目に浮かぶようだ。きれい事ではない、しかし生きた在日韓国人が書かれている。しかし「強制連行」と通名について、著者は誤解しているようだ。孫氏の祖父が大正15年に途日した時に「強制連行」されたとあるが、普通「強制連行」という表現は昭和1

口説きの技術 ★★★
Keiko/見方を変えれば使えます
書店で手にしたは良いのですが、名の知れた(しかも悪い意味で)人の本は当りはずれが多く、買うのを躊躇った一冊です。実際タイトルの通り中身は「口説き」に関してのテクニックと言うのか技術と言うのか・・・。でも私からすれば「口説くまでの手順」が事細かに載っていると言う感じですかね。ああ、こうやって世間的に騒がれたアレを実行していたんだなと、まあ半ば呆れながら中盤まで読み進めていましたが、あまりにもこの著者

日本のコピーベスト500 ★★★★★
月乃春水/選者のコメントで「生きたもの」として立ちあがる日本のベストコピー500点。泣けた!
ま・さ・かこの本を読んで泣くとは…まったくの想定外でした。戦後六〇余年の「日本のコピーベスト」500点。選者は日本を代表するコピーライター、CMプランナー、クリエイティブディレクター10名。コピーには、誰がどの会社の何の広告に対して拵えたものか、というデータはもちろん、ベスト10には選者全員、ベスト100には一人のコメントがついています。ベスト10に関しては、実物の広告写真やイラスト、テレビコマー

上・中級公務員試験20日間で学ぶ刑法の基礎 ★★★★★
けい/ぶっとばしてやりたい奴がいる人に贈りたい
大人になれば、器もでかく、心も広くなり、たくさんのことを許せるようになる。そう思っていました。ところが。大人になればなるほど、許せなくなることが多くなりました。譲れないことが増えました。悲しいかな、嫌いな人間も増えてきています。電車内でケータイでしゃべる人を前に「あぁ、あのケータイを真っ二つに折ってやりたい。そうすれば、あいつはケータイを買い替えざるを得なくなり、お金がまわり、経済が動く」と思うこ

東アジアの貿易構造と国際価値連鎖 ★★★★★
塩津計/アジア経済研究所が世に送り出した最高水準のアジア経済構造分析
アジア経済研究所の所長にして政策研究大学院大学学長を務める白石隆先生が最近本書を引き合いに出しながら、あちこちでアジアの経済構造を説明しているので読んでみた。いや、素晴らしい研究である。本書の肝は、グローバル化が定着する中で、「売上」をベースにした「貿易収支」の分析では中国のような低賃金を武器に最終組み立てを引き受ける国の実力が過大評価されることになるという視点から、貿易収支を売上ベースではなく付

漱石2時間ウォーキング ★★★★★
塩津計/東京都心という豊穣なる文化空間を楽しむウォーキングのお伴に
最近、ウォーキングにはまっている。山手線一周(約42キロ)や大江戸線一周(約30キロ)もこなしたが、ただ歩くだけでなく、東京の史跡、文豪の足跡を訪ねる散歩もしたくなってきた。そうしたところ目にとまったのがこの本。これはなかなか良く出来ている。なにより1コース約2時間に設定してあるのが良い。これを組み合わせていけば4時間、6時間、8時間と都内を歩き回る散歩コースも自在に組み合わせるて作りことが可能だ

荷風日和下駄読みあるき ★★★★★
塩津計/優れた荷風散歩案内
『荷風2時間ウォーキング』は二時間という枠の中で、広い東京の荷風の足跡を訪ねる旅をともかくも作り上げるというコンセプトなので、やや、構成に無理がある感じもするが、こっちはそんな2時間などという時間の枠はとっぱらって、とにもかくにも「日和下駄」という荷風の散策随筆の傑作の舞台を訪ね歩くという編集になっている。下敷きとなっている「日和下駄」が傑作であるだけに、この本の方が、結果として遥かに出来のよい散

日本の照明はまぶしすぎる ★★★
Kana/とはいえ,白熱灯で節電するのは暗すぎる…
著者は日本のふつうの家の照明より2桁くらい暗い,提灯や行灯のようなあかりに魅力を感じている.省電力がもとめられるLEDや蛍光灯の時代に白熱灯で対抗するにはそれしかないだろう.たしかに,太陽と同様の連続スペクトルをもつ白熱灯は魅力的だろう.しかし,1桁以上暗いあかりで満足するひとがどれだけいるのだろうか?やはり,おおくのひとにとっては,連続スペクトルをあきらめてLEDや蛍光灯をうまくつかう方向しかな

日本をもう一度やり直しませんか ★★★★
MtVictory/日本を今一度せんたくいたし申候
東日本大震災直後の4月に出た本。社会保障制度が行き詰まり、国家財政も破綻寸前、少子高齢化で停滞する日本。そんな日本を立て直すべく、著者は提言する。TPPが議論になっているが、グローバリゼーションが進む世界の中で日本はどうサバイバルしていくべきか。年金・介護・医療など社会保障制度をどう立て直していけばいいのか。政治家・官僚はどうあるべきか、どう使いこなしていくべきなのか。未来を担う子供たちの教育は果

総統閣下はお怒りです ★★★
書痴/情報・データリテラシーを分かりやすく面白く?解説
本来、客観的であるべきる統計や数値データが、時として政府やマスコミに都合よく利用され、意図的に誘導される実情に、情報の受け手である私たちが、だまされないよう正しく認識するには、どうしたらよいのかという本書のコンセプトは、参考になりました。原発関連で、『ベクレル』と『シーベルト』の相違を、回転寿司にたとえたり、一見安全に見える統計グラフも、単位やグラフのトリックを看破することで、より具体的なイメージ

いいね!フェイスブック ★★★
MtVictory/建前の世界、facebook。本音は語りにくい?
私はfacebookもMixiも使ったことはないが、自分が新し物好きで、かつ飽きやすいのを自覚している。Twitterは始めやすいと思い、昨年始めたが、これも長続きしなかった。しかしブログとbk1の書評投稿だけは自分が好きなときに書けるので、今もマイペースで続けている。従って、最近では新手のサービスには、すぐに飛びつかなくなって来ている。スマホもそれに近い。年のせいか?さて、本書はよくあるface

生物進化を考える ★★★★
king/分子遺伝学入門と優生学
分子進化の中立説を提唱した遺伝学者木村資生による進化学史と遺伝学入門をかねた、ややハイレベルな入門書。これまで遺伝学関係のものはあまり触れてこなかったので、遺伝学について書かれた部分は知らなかったことが多く非常に面白い。中立説っていったい何なのかよくわからない状態から読んだのだけれど、詳しい数理的な部分はともかくとして、どういうことが問題になっているのかがある程度つかむことができると思う。進化とい

ありえない!?生物進化論 ★★★★★
king/科学的方法論のケーススタディ
タイトルがこれなもんだからスルーしている人も多そうだけれど、これが実によくできた本で、ある程度偶蹄類に近い仲間だと考えられていた鯨は、実は偶蹄類そのもので、もっとも近縁なのはカバだった、という発見を導き手として、分岐分類学という生物分類方法の話を絡めつつ、いかにして定説は書き換えられたかの経緯を追うとともに、仮説の証拠力、推論方法、使える根拠と使えない根拠の判別などなどの、科学的研究における仮説の

岩崎平太郎の仕事 ★★★★★
神楽坂/知られざる和風近代建築
この本で、岩崎平太郎という建築家を初めて知った。建築も東京が中心なのか、関西中心の安藤忠雄にさえローカル色を感じる。現代でもそうなのだ。100年前の奈良で活動と言われてもピンと来ないのは当然だろう。時代からいうと洋館が注目されがちだが、彼の建築は和風である。奈良女子大佐保会館など、内部が洋風なのに外観は和風建築以外の何者でもない。近代建築に、こんなアプローチがあったのかと感心した。

限界デザイン ★★★★★
神楽坂/極限的状況下における建築という切り口は新しい
これらの中で有名なのは、昭和基地の南極観測基地だろう。ミサワホームによるプレハブ建築として知られている。南極とハウスメーカーはミスマッチに思えるかもしれないが、プレハブ住宅とは工業化住宅。他のどの業種より基地を手がけるにふさわしいのだ。その他登場するのは、戦争罹災者用の木造団地、難民用一時住宅、ベトナム難民のための震災仮設住宅等、無名建築ばかりである。今までスポットが当たらなかったのは、設計思想の

おうちの科学 ★★★★
銀の皿/気軽に読める、科学をちょこっと身近に引き寄せる本。
「サツマイモはチンだと甘くない」とか「IH調理器の不思議とは」など、家庭での身近な現象に簡単な科学の説明を見開きでしてくれる小冊子。新聞の日曜日生活面に連載されたコラムを再編集したもので、説明はやさしくてわかりやすい。著者はテレビ番組などでも身近な科学の話をしているらしいので、こういう説明は慣れていらっしゃるのでしょう。最初の話に「料理は実験」という著者の自論がでています。これに「そうそう」と同感

原子力屋の呻吟語 ★★★
消印所沢/黄昏
黄昏にも似た寂寥感を感じる一冊.日本社会がこぞって原子力への情熱に燃えていた黎明期(p.4,16-17)から,スリーマイル島,チェルノブイリを経ての風向きの変化,少なくとも広報環境では厳しい昨今までを経験した著者が語るよもやま話.▼英国コールダーホール炉の売り込み(p.6)色んな新しいタイプの原子炉を導入する目的(p.7)原子炉容器のサイズ(p.10)停電や蝋燭送電などの深刻な事態が,日常茶飯事だ

キリスト者の自由・聖書への序言 ★★★★★
ゆうか/「神を知るよろこび」の書
マルティン・ルターは、非常に大きな影響を、同時代にも後世にも与えたドイツ人です。「宗教改革を1517年に行った人」として世界史で覚えた、知っているという方も多いのではないでしょうか。では実際にルターは何をしたのか?というと、答えられる人はぐっと減ると予想されます。「宗教改革」とは何だったのか?という問いは簡単に答えられるものではなく、それに関しては多くの研究がなされ本が出版されています。ルターは生

国家救援医 ★★★★★
消息子/ユニセフの「アフリカ干ばつ緊急募金」のホームページにアクセスを
作品が作者の手を離れて自立していく、といった話はよく語られるが、逆に、著作がまるで鍵穴であるかのように、その著者の計り知れない全貌を垣間見せるに留まるということもある。本書の著者は知人なので、この書評も提灯記事のようなものだが、何しろ大した奴なのだ。北関東の地方都市に生まれ、いつの頃からか、アフリカで医者をしたいと思った少年は努力を重ねて自治医科大学に入学する。在学中から,国際協力に関与するばかり

寄り添い支える ★★★★★
消息子/われわれ日本人の代表として、こんな好青年が選ばれたことには、巡り合わせ以上のものがあったのではないか
評者は東日本大震災の被災地の縁くらいのところに住んでいるが、当日は自宅から数十分離れたところにいて、ちょうど家族もそれぞれ出かけるという予定であった。近くにいた人がケータイのニュースで震源は三陸沖という情報を得たのを聞き、かなり離れているのにこの揺れ、阪神大震災級の被害が生じていることを確信した(津波には思い至らなかったが)。メールに返信はなく、自宅に帰り着くまでの間、家族の安否に言いようのない不

父・金正日と私 ★★★★
Keiko/興味深い北朝鮮の顔
表紙からしていかにも「北朝鮮」と言った感じがあります。何よりも報道で知られているように、不法入国してふらふらと遊びに日本へ来ていた犯罪者のイメージがとても強かったのですが、最近になってかなり温和なイメージが付きまとってきた中で読んでみると、意外や意外。この人が亡命先でいかに自国を案じているか、また自国の体制について案じているかがわかります。一記者である著者が金正男と出会った頃から、この本が出来上が

自衛隊・新世代兵器PERFECT BOOK 2035年兵器カタログ ★★★
塩津計/日本は堂々たる軍事大国
日本の自衛隊の将来装備を大胆に予測した本。なかにはかなりマユツバなものもあるが、例えば青森函館間の連絡船として短期間就航し、現在は休眠中のナッチャンRera、ナッチャンWorldのような、ただちに軍事転用可能な高速双胴船もしっかり収録されている。日本の自衛隊は世界有数の装備を誇る堂々たる軍隊である。ただ武器輸出三原則だの集団的自衛権だのPKO五原則だの、日本社会党や公明党が課したとんまな自己規制の

成熟日本への進路 ★★★
Kana/方向はただしいかもしれないが,ひっかかる点もある
日本の経済は成熟したのだから,経済成長をおいもとめるより分配をこそ,かんがえるべきだという.著者はさまざまな統計をとりあげながら,そういう時期にきていることを主張する.ほかにも同様の議論をする経済の専門家はすくなくない.そのなかでは説得力のある議論をしているといえるだろう.しかし,ところどころ,ひっかかる議論がある.著者は医療費を無料化することを主張している.たいした病気もないひとが病院にあふれる

文化と外交 ★★★★★
yukkiebeer/相手国民の心と精神をつかむ。それが平和と秩序を世界にもたらすことを思う書。
著者は慶応義塾大学でアメリカ研究と文化政策を専門とする教授。『アメリカン・デモクラシーの逆説(岩波新書)』などの著作があります。これはアメリカに限らず、日本も含めた様々な国のパブリック・ディプロマシーの過去、現在、そして未来について記した一冊です。パブリック・ディプロマシーとは、「政府や議員が国家を代表して相手国のカウンターパートと行う伝統的外交とは異なり、政府が相手国の国民に対して行うこと」を最

遺体 ★★★★★
yukkiebeer/活字メディアであるからこその震災報道
3・11東日本大震災によって岩手県釜石市も甚大な被害を受けます。しかし他の被災地と異なり釜石市は、海沿いの地域が壊滅状態であったにもかかわらず、内陸部は津波の直接的被害を受けず、市としての機能が残ったという点に特徴があります。そのため、多くの釜石市民が顔見知りの人々の遺体を発見・収容し、身元確認をし、そして弔うという特異な使命を帯びることになりました。他県からの応援によって同じ作業を行った地域では

放送が作ったアメリカ ★★★★
yukkiebeer/表題が予想させる内容ではなく、詳細なアメリカ放送事業史といった一冊
著者はNHKで長年ドキュメンタリー制作に携わってきた人物。アメリカでの勤務経験もあり、この本はアメリカの放送の歴史と現状、課題をかなり詳細に綴った一冊です。特に近年アメリカの放送事情を見る上で時代を画した出来事は1996年の電気通信法の制定だとか。この法律で通信と放送の垣根が取り払われ、ケーブルなどの放送会社が通信事業に参入し、逆に通信や電話会社が放送に参入します。この波が日本にも押し寄せたという

レーガン ★★★★
yukkiebeer/私が青春を過ごした80年代を振り返る上で欠かせないアメリカの偶像
著者いわく、1911年生まれのレーガン大統領の生誕100年の年に出版した日本初の評伝です。著者は同志社大学法学部教授。1964年生まれということですから大学生の頃に海の向こうではロナルド・レーガンが政権トップの座にいたことになります。実は私自身も同じく大学生の多感な時期に強烈な個性のアメリカ大統領と緊密な同盟関係を常に強調する日本の宰相との間柄が連日のように報道されていたことを今もよく憶えていて、

ビルマの独裁者タンシュエ ★★★★
書痴/独裁者を演じない権力者の実像を通して、ビルマの現状を問う貴重な一冊。
古今東西、悪評高い「独裁者」と呼ばれる人間に比べ、本書で紹介されるビルマの権力者タンシュエは、強烈な個性、カリスマ、エキセントリックな言動などの観点から本書を眺めると、スケールダウンし、独裁者にありちなイメージを、一見、思い浮かぶことができないのですが、しかし、その本質、やっていることは、彼ら「独裁者」とほとんど同類だと読み取ることができます。タンシュエに関する信頼できる情報の少なさから、本書が、

日本海軍400時間の証言 ★★★★★
萬寿生/NHKスペシャル「日本海軍400時間の証言」を見逃したのは残念
NHKスペシャル「日本海軍400時間の証言」(二〇〇九年八月放送)の担当者たちが、制作と放送にあたり、何を考え、そして取材現場で何を求め続けてきたのかを、書籍化したものである。残念ながらテレビ放送は見ていないが、この本を読んで見ておけばよかったと後悔している。一九八〇年から一九九一年まで、分かっているだけで一三一回にわたって、ほぼ毎月、海軍士官のOB組織である「水交社」で開かれていた、太平洋戦争当

満州裏史 ★★★★★
浦辺 登/満洲は傀儡国家というよりも密売国家だったのか。
日本の敗戦から半世紀以上も経過しながら、「満洲国」の全容が見えない。ひとつには、傀儡国家という蔑称が頭に付くからであり、現在の中国共産党が当時の満洲国の資料を公開しないところにある。仮にあったとしても、「灰燼に帰した」ということで公開はさせないだろう。さほど、各方面にとって脛に傷がある満洲国なのだろう。そもそも、この満洲という地域は辛亥革命の孫文によって日本に租借と言う形で譲渡された地域だった。漢

東インド会社 ★★★★★
浦辺 登/欧米の武力進攻の本質。
ドイツを除いて、今、EUは経済的な危機に瀕している。ヨーロッパといえば、文化的にも経済的にも豊かな国々という印象を受けていたが、テレビのニュースでは庶民が暴徒化し、公務員がストライキを繰り返している。観光地としても文化としても、あれほど世界中の憧れを浴びるヨーロッパが、なぜ、と思う。しかし、本書の冒頭、4世紀ほど昔のヨーロッパは豊かとはいえず、東南アジアの豊かな原料を求めて、ポルトガル、スペイン、

図説金と銀の文化史 ★★★★★
想井兼人/華やかさと慎ましさ
本書は人びとが金と銀という物質といかに関わってきたかについて、大英博物館のコレクションをオールカラー写真で示しながらまとめている。鉱物や金属としての金や銀についても触れており、さらに工芸技法についても解説していて興味深い。金や銀は古より様々な人びとを虜にしてきた。その背景には手に入りにくいこと、品質が落ちないこと(特に金)、比較的持ち運びしやすいこと、標準の純度が保証されること、そして加工しやすい

贈与の歴史学 ★★★★★
想井兼人/for you
本書は中世日本を舞台とした贈与論である。贈るという単純な行為にも時代的な決まりごとが厳然と存在する。中世日本の贈与について考える際、重要な点は現代日本の感覚で臨まないことだろう。史料に書かれたことを素直に受け入れる生真面目さ、さらには行間に潜む時代性を読み解く知識と柔軟な感性が不可欠だ。例えば「八朔の進物」。これは8月1日に、日ごろ付き合いのある者同士で贈り物をする行事で、京都では13世紀末頃に普

家康の仕事術 ★★★★
のちもち/徳川家康、恐るべし...
信長、秀吉、家康。とかく比較対象となる3人だが、家康に対して「イメージ」として持っていたのは、「権謀術数」「策略」である。「憧れ」ではないが、好きなのは秀吉かなあ、と漠然とした考えを持っていた。が、「1人」の異才でもって時代をつくった、信長、秀吉と、「その後」継続的に続く「仕組み」を作り上げた家康とは別格であると思い知りました。同じ時代に生きながら、信長とも秀吉とも接触があったわけです。そして、虎

執事とメイドの裏表 ★★★★★
辰巳屋カルダモン/下男は、背の高さと、ふくらはぎのカタチの良さで選ばれたそうな!
イギリスを舞台とする文学や映画にさりげなく登場する、執事やメイドたち。物語のキーマンになることもあるが、彼や彼女についてはほとんど説明がなく、日本人には理解しにくい面がある。執事、ハウスキーパー、料理人、メイド、従僕、乳母、下男などなど……。雇用される階級、序列、仕事の範囲、身なり、給与、主人との関係、退職後の人生等はいったいどうだったのか?著者は、ジェイン・オースティン、チャールズ・ディケンズ、

旗本御家人 ★★★★★
辰巳屋カルダモン/まさか?「親の死を隠して年金を受け取り続ける詐欺」にそっくりな事例が江戸にも……!
人のつながりの強さやエコ社会で注目される「江戸」だが、良いことばかりではなかった。本書は江戸のダークサイドに注目する。長きに渡って存続したシステムが、行きつくところまで行き尽くした江戸末期。当時の官僚・公務員の立場だった、旗本・御家人に何が起きていたのか?昌平坂学問所の教官を務めた経歴のある、旧旗本の大八木醇堂は、晩年の明治半ばに、大量の見聞録を書き残した。そこには「諸種の歴史事典に記されていない

十字軍物語 3 ★★★★★
龍./理性で考えられるリーダー
シリーズ最終巻。最終巻では、第3字十字軍から第8字十字軍までが描かれています。第3次では獅子心王リチャードが、第6次では神聖ローマ帝国皇帝フリードリッヒが、そして第7.8次ではフランス王ルイがそれぞれ軍を率いていきます。第1.2次では領主クラスが主役でしたが、この巻では歴史上、個人名もよく知られている王たちが聖地奪還を目指して動きます。ただ、それぞれの目的は異なります。単に「キリスト教の聖地を奪還

源頼朝の真像 ★★★★
みーちゃん/書かれている内容はいいのですが、図版のレイアウトが不親切。っていうか、これくらいは知ってて当たり前、という驕った姿勢で説明を省略しています。親切に分かりやすく本を作ることは編集の基本なのに、それを忘れている。折角の内容が正確に伝わらない、なんて損です。勿体ない・・・
まず、この本は内容はともかく、編集で失敗した本だと思います。理由は単純で、巻頭に口絵を持ってこなかったことによって、私などのように歴史に疎い読者は、肝心の黒田が指摘する問題点が全く見えないまま、33頁まで読み進まなければならないからです。プロローグには神護寺蔵の国宝伝源頼朝像について言及がありますが、図は出てきませんし、一章に入って伝平重盛像、伝藤原光能像という神護寺三像、大英博物館蔵源頼朝像、大

歴史はおもしろい ★★★★★
hisao/”歴史”はこんなにおもしろい
フランス旅行案内に載った1枚の挿絵、その背後にどのような歴史があったのか?時代の枠組=文化と、そのなかにあって様々な工夫をこらして生きていく人間の姿清王朝・乾隆帝が英国マカートニー使節団の謁見を受ける風刺画、傲慢不遜な乾隆帝の様子に私たちは何を読み取るか?弥生時代の初めから終わりまで、集落の変遷を示してくれる佐賀・吉野ヶ里遺跡戦時下に賞賛された“九州男児”と言う言葉の秘密“暗記修行”に明け暮れた高

西行と清盛 ★★★
あまでうす/西行法師の和歌を年代ごとに紹介、解説
奇しくも元永元年(1118年)に生まれた文武2つの領域に激しく生きた人物の生涯をその生誕から死亡まで淡々と叙述した書物である。ちなみに清盛は治承5年(1181年)に64歳で、西行は文治6年(1190年)に73歳で亡くなっている。両者とも当時としてはかなり長寿であり、長きにわたって本邦の武家政治と歌道に決定的な影響を与えた偉人といえるだろう。清盛については最近毎回6千万円の製作費を投じて製作されたと

崖っぷち弱小大学物語 ★★★
Kana/こたえはでない悪戦苦闘
理想の教育を実現したいが大学の経営をかんがえるとそれができない.矛盾にみちた弱小大学の現状をえがいている.一度に何100人の学生におしえなければならず,そのレベルはそろっていない.どこに焦点をあわせて講義すればよいのかわからない.やる気のない学生にどうすればやる気をださせることができるか…弱小大学の教員になろうとするひと,そしてもしかしたら経営者にとってもいろいろなヒントがあるだろうが,しかし,こ

伝説の灘校教師が教える一生役立つ学ぶ力 ★★★★★
サトケン/「すぐ役立つことは、すぐ役立たなくなる」! だからこそ、「一生役立つ学ぶ力」を身につけよう!
小説『銀の匙(さじ)』を3年間かけて読みこむ「スロー・リーディング」という「奇跡の授業」を実践してきた伝説の灘校教師・橋本武の初の語り下ろし。さすが100歳も生きてきた教師の言うことは、ひとつひとつが納得です。「まなび」=「あそび」、まさにこれですね!「遊ぶように学ぶ」ことができれば、おのずから知識は血肉となる。疑問をもって自分で調べるクセがつけば、考えるチカラがつく。「スロー・リーディング」で有

受験脳の作り方 ★★★★★
サトケン/記憶のメカニズムを知れば、大学受験だけでなく社会人にも十分に応用可能だ
脳科学に関心のある人は、その大半が記憶にかんする関心であろう。どうしたら記憶力を増強することができるのか、どうしたら記憶力の減退を防ぐことができるのか、なにかいい方法はないのか、と。本書は、もともとは10年前に高校生向けに書かれた『高校生の勉強法』に、加筆修正した文庫版である。脳科学の専門用語は必要最低限に押さえ込んでおり、たいへんわかりやすい文章であるが、押さえるべきところはすべて押さえてあるの

TOEIC TEST英単語スピードマスター ★★★★★
けい/英語学習に挫折している人に贈りたい
英語を学びたい。そんな欲求は誰にもあるようです。仕事のため、給料アップのため、転職のため、就職のため。とかく実用的な目的のために、もっと身も蓋もない言い方をすると、お金のために英語を学びたいと考える大人は少なくない模様。私もそんな欲にまみれた大人の一人。でも、心の奥底ではこうも思うのです。英語ができれば、海外のミステリがもっと楽しめる、好きな映画をもっと楽しめる。最新のミステリを翻訳刊行される前に

小森陽一ニホン語に出会う ★★★★★
ががんぼ/外部の力
一度だけ、著者の小森氏の話を直接聞いたことがあって、内容、話し振り、発声に至るまで、非のうちどころのない日本語に感心しながら、ただその完璧さゆえにかえって違和感があったのを覚えている。本書を読んでその謎は氷解した。子供の頃ロシア語を学びながらプラハで暮らした帰国子女だったとは知らなかった。小森氏の著書はいずれも、わかりやすく書いてはあっても、いわゆる「柔らかい」ものではない学術書だから、こうして生

バルのスペイン語 ★★★★
書痴/美味しそうなタパスがいっぱい!語学以外にもタメになって嬉しい一冊
個人的に、スペインに一度も行った事がなく、ましてスペインのバルを利用した事もありませんが、本書で得た知識をもとに、スペインのバルで、美味しいタパスを堪能してみたいと思わせる内容でした。初心者向けのスペイン語会話でも、バルでのシチュエーションに特化された構成の本書、バルといえば、日本の居酒屋に近いイメージ?で、一杯ひっかける感覚ですが、お酒の苦手な人でも、タパスといわれる小料理の数々や、デザート類も

橋本流中終盤急所の一手 ★★★
ココちゃん/中終盤のヒント
NHK将棋講座で「受け」をテーマに講義された橋本七段、今作は指し手の方向性などの「考え方」本でした。本書は橋本流中終盤急所の一手というタイトルですが、橋本七段の将棋からの出題はわずかであり、難解な局面でのこれぞ橋本流の一着といった問題はなく、プロならば容易な局面での最善手を探していきます。具体的にはアマ級位者が指されて困る居玉棒銀の対処や駒落ちなどで、完全にアマ向けの出題になっています。第1~3章

弱者の居場所がない社会 ★★★★
K・I/いい本
書評を書くのは半年ぶりだ。半年前からひとりぐらしをしている。今、この文章を投稿しているのもネットカフェからだ。僕は専修大学の唐鎌教授の講義に感銘を受けた。それからもう6年以上の歳月が経っている。この本は多くの人に読んでもらいたい、とくに若い人に。近いうちに日本の「成人」は18歳になるかもしれない、自分たちの「意見」を表明するために多様な意見にふれるということは必要だ。アルフレッド・マーシャルは「ウ

始めよう!鉄道模型レイアウト ★★★★
書痴/DVD付属で、作る楽しみが倍増、より進化するレイアウトの世界。
本書は、鉄道模型のレイアウトに興味はあっても、手間や費用がかかるなどの理由から、敬遠している人も含めてお勧めの一冊です。業界初ではありませんが、レイアウトの製作過程を収録したDVDが付属しており、楽しみが倍増します。やはり、完成したレイアウトの上を、実際に走行する車両を見られる醍醐味があります。しかし、それだけなら、一見、DVDだけでも充分かと思いますが、約70分以上のDVDを先に視聴して、大体の

7年目のツレがうつになりまして。 ★★★★
クーニー/イグちゃん。そうだったのか・・・。そして、貂々さんのスケールの大きさに感服しました!
7年目にして、ツレさんのうつが再発か?と、恐る恐る読んでみました。これは、過去の2冊を時系列で順番に読んだ私の勝手な誤解でした。ツレさんがうつになって失業し、普通はそれだけでも家族はうろたえるのでしょうが、貂々さんとツレさんは、何とか周囲の方々の協力と理解もあって、乗り切って行きます。病気のことを描いた漫画が予想外にヒットし、あれよあれよという間に、ドラマや映画にまでなり、ツレさんは大好きな音楽の

外交官のア・ラ・カルト ★★★★★
mikimaru/エスプリの利いた文体
2006年からのユネスコ大使、それにつづくデンマーク大使を経て長い外交官生活を終え、2010年から文化庁長官となっている著者。本書は2006年からの約4年間、月刊誌に食と外交をテーマに寄稿したエッセイ45本をまとめたもの。エスプリの利いた粋な文体で、一般市民にはなじみのない外交舞台の裏話をまじえつつ綴られる現地の食材や食文化。読み物としてはたいへんおもしろい。ただ、食材や食文化にのみ強い関心のある

ミネラルの働きと人間の健康 ★★★★
銀の皿/健康のための食材そのものの健康。
著者の講演を聞いたことがある。なかなか分かりやすく、興味をひきつける術をご存知の講演であった。そのとき、関係する話題として出てきた亜鉛とじょく創(床ずれ)の話に興味をひかれ、本書を読んだ次第である。第1章お米や野菜のミネラルが骨をつくり、認知症を防ぐ第2章日本人はマグネシウム不足第3章「元気で長生き」するために!第4章人間の宿命糖尿病この目次だけみると、なんだかよくやっていそうな健康番組に近い感じ

最高の間取りがわかる本 ★★★★★
神楽坂/現代の「間取り」にやや当惑
かつて、ニューハウス社からこうしたムックが頻繁に出ていた。しかし、母体となる『ニューハウス』誌の休刊とともにムックの発行ペースは落ち、ついに出なくなった。10年続いた建築ブーム&住宅ブームの終焉かと落胆した。ところが、それと入れ替わるように、エクスナレッジから装丁や内容がそっくりのシリーズが出始めた。このムックもそんな1冊である。1990年代末から建築家による住宅がブームとなり、nLDKで表される

今日もごちそうさまでした ★★★★★
かつき/肉派最右翼の旬のごちそうさま
肉派最右翼を名乗る角田光代の食べものエッセイ。毎日三食きちんと食べる彼女だからこそ書ける、普通のごはんのこと。春は筍、山菜、新玉ねぎ、アスパラ、新じゃが。夏はとうもろこし、ナス、ゴーヤ、枝豆、オクラ。秋はサンマ、栗、里芋、マツタケ、きのこ、鮭。冬はさつま芋、白菜、れんこん、蟹、ふぐ。肉の話題が多いのですが、季節ごとに編集されているのがいい。それも彼女が旬のものをスーパーではなく肉屋や魚屋、八百屋で

日々のおしゃれ ★★★★
かつき/ナチュラルな美意識
内田彩仍さんのおしゃれと日常、旅を追う一冊。そのマメさには頭が下がります。コーディネートノートをつけアイディアを出し続けたり、その日に着た服のお手入れはかかさず、衣替えには4日かけます。特に洋服のリメイクがすごかった。無地のスカートに刺繍をしたり古くなった服の襟を裁断したり。特に革ボタンにつけかえるのには感心しました。ボタンをつけかえれば、たしかに服が高級になります。でもクリーニングのたびに、外し

きょうの編みもの ★★★★★
きゃべつちょうちょ/おしゃれで実用的な、真冬のたのしみ。
おしゃれで実用的な、真冬のたのしみ。おなじ著者の「編みものこもの」がとても使える本だったのでこちらも購入してみた。三國万里子さんの本のいいところは、くわしくてわかりやすい書き方で解説してあることセンスがよく他ではちょっと見かけないデザインであることおしゃれなスタイリングの写真で、編みたくなる気分を盛り上げてくれることだと思う。今回はフェアアイルベストがくわしく解説されているが、これがなんとびっくり

ソックスとレッグウォーマー ★★★★★
ぱせりん/初心者向け
編物を始めてまだ2ヶ月のド初心者です。2ヶ月といっても、ネットと本での独学で延々とマフラーを4本編み、ガーター編みとゴム編みとなわ編みと簡単な模様編みをクリアして、根性だけは養った感じ。マフラーは長いため時間がかかるので、そろそろ小物でも、と思ってこの本に手を出しました。なにしろ、毎日寒いです。手編みのソックスは暖かいと聞いたので、冷え性としてはぜひ試してみたい。一番最初のかけ目でひっかかって2時

まいにち食べたい“ごはんのような”クッキーとクラッカーの本 ★★★★★
ぱせりん/前作を持っている人も、買い
前作も持っていますが、買ってみました。写真が増えて、コツも細かいことまで書いてあります。「困ったとき」の対応法も書いてあるので、前作で生地をまとめきれなかった人も疑問が氷解するのではないでしょうか。レシピは前作とはかぶっていません。基本の書という位置づけだった前作に比べると、今回はバラエティに富んでいると思います。そのまま天板にのばして焼くタイプのが多くて、クッキーって自由なものなんだなあと思いま

願いがかなう100の方法 ★★★★
シャリア/ラッキーブレイクポイント、オーリングの秘密。
負の連鎖、悪循環。何がきっかけかは忘れるほど遠いのに、連鎖だけが続いている。もちろん顔に出れば、寄り付く人は似たもの同士。起こる出来事は、思い込みによる負の循環。こんな毎日の積み重ねが、人生を形作っていく。ここまでは、ありがちな日常で経験を伴って理解できる。問題はいかに正の循環にワープするかだ。黙っていても何もおこらない。かといって、動いて、あたって悪循環の繰り返しなら、諦めてしまう。鍵はオーリン

脳内セロトニン活性法 ★★★★
ヂャリや/「心の三原色」
「人間の感情の基本は『快』と『不快』です。『快』はドーパミン、『不快』はノルアドレナリンの作用です」とし「心の安定をもたらすセロトニン」によって『快』や『不快』の行き過ぎをおさえるという。そのセロトニンを活性化させる意識的な方法として呼吸があるという。生きるための日常の呼吸は呼吸中枢から「吸え」という指令を出していて、「自分で意識しなくても、寝ているときにも自動的に呼吸」できているのはそのためだと

毒を出す食ためる食 実践編 ★★★★
セカンド・プラン エトセトラ/「嫌いな人ととる食事は健康に悪い」とある。やっぱりそうだったのかぁー、と納得。
「人は人生の終盤を、苦痛や不自由さとともに過ごすのでなく、健康で快適に過ごしていくことができます」そのためには消化力が決め手だという。本書では、その消化力が弱まっている状態の解説や、強める方法が紹介されている。著者独特の言い回しを気にしなければ、体の症状にあわせた対策が示されているのでタイトルどおりまさに実践的だ。かつ普段何気なく感じていたことも当たらずとも遠からずであることが実感できる。たとえば

甘い物は脳に悪い ★★★★
セカンド・プラン エトセトラ/やっぱり、そうだったのか。
「色がついた味のある飲み物で、ゼロカロリーというのはどういうことでしょうか。・・・・いったい何を飲んでいるのか」と著者は言いづらそうに、しかしはっきりと言う。それは、食べ物でないものに他ならないと。また「読者の方の中には、病院にかかった際に、『何を食べていますか』と医師に問われた経験がほとんどない」と断言。たしかにそうだ。普段の食べ物が体を作っているとなんとなく思っているだけで、その影響を考慮して

こころのおそうじ。 ★★★
セカンド・プラン エトセトラ/整理整頓
お掃除をするのは、生活が乱れている時ばかりとは、限らない。幸せに暮らしていても、ほこりはたまる。ときに誇りがホコリとなることもある。棚に飾ってある大昔に取った杵柄のトロフィーように。コツは、汚れきる前にさっと拭いてしまうことだ。しかし習慣の中で生きている人間にとって、それはなかなかできない。「性格とは『考え方の習慣』である」と著者もいう。目に見えないホコリが溜まって、気がつくと心が重くなっていたり

下地先生のお母さま、大丈夫ですよ ★★★★★
星の砂/子どもと一緒に親も成長していくことが、「子育て」なのだ、と気付かされる本。
私が、著者を知ったのは、「2007年TBS系『さんまのスーパーからくりTV』の全日本かえうた選手権に出演。「GTO下地先生のウキウキ家庭訪問」や「GTO下地先生のおでかけ3者面談」のコーナーで現役国語教師として親と子の悩みに答えて人気を博す」とプロフィールに載っているように、番組を見ていたからである。現役先生なのに、オネェキャラで面白くて好感の持てる人柄に惹かれ、「GTO下地先生のウキウキ家庭訪問

きょうというひ ★★★★★
佐々木 なおこ/なんともやさしいロウソクの灯
表紙のロウソクの灯がなんともやさしくて、心が温かくなります。やさしく灯るロウソクのまわりは白銀の雪模様…。さまざまな雪の結晶が静かに舞い降りてきていますね。夜遅くに雪が降り積もる感じ雪が降った次の日のまばゆい明るい感じ新しいセーターや帽子、マフラーを編み上げていくうれしい感じページをめくるたびに絵本の世界がぐっと迫ってきます。一人の少女がロウソクをともします。きょうというひのために。数え切れないロ

絵本子どもたちの日本史 2 ★★★★
月乃春水/12歳の武家の子どもの目を通してわかる、江戸時代の子どものくらし。解説と資料、年表もあり。おとなも子どもも学べる絵本
日本史を子どもの目を通して描いたシリーズ2作目。語り部は尾張藩の武家の子どもで12歳の佐々木門之介。江戸時代の終わり頃の子どものくらしがよくわかります。手づくりのおもちゃおみやげとだいすきな凧読むことと書くこと遊びなかまとみそっかす子どものお祝いとお赤飯大人のまねと、おまじない着ているものと住んでいるところだいすきな食べものおかしのいろいろ本を読むのはたのしいな疱瘡という病気にかかったとき相撲にむ

どんどこどん ★★★★
月乃春水/土の中でどんどこどんどこ育つ野菜。和歌山静子さんの「線」が活きているたのしい絵本
「どんどこどん」と大きくなる野菜が描かれた絵本です。縦向きに開くと、描かれているのは野菜の葉っぱ。ページをめくると、土の中で成長している野菜の様子がわかります。にんじん、じゃがいも、さつまいも、さといも、ごぼうにだいこん。どんどこぽんぽんむくむくなどの擬音語は、まさに成長していく野菜の力づよさを表しています。ことばに出すと、なんだかたのしくなっちゃう!葉っぱを見て「これはなんの野菜?」なんていうク

ひとりぼっちのかえる ★★★★★
夏の雨/小さな生き物が教えてくれる
誰もいない、たったひとりぼっち。そんな状況だったら、誰もがさびしく思います。お父さんがいてくれたらなあ。お母さんがそばで笑ってくれたらなあ。お兄さんや弟がいたらどんなに楽しいだろう。友だちと遊べたらうれしいにちがいない。ひとりぼっちはさびしい。内モンゴル出身の興安さんと詩人の三木卓さんが作ったこの絵本に登場するのは、そんなひとりぼっちのかえるです。朝になってのぼってきたおひさまがかえるに「たったい

川のうた ★★★★★
夏の雨/生きるものたちは川を渡る
アラスカを生涯撮り続けた写真家星野道夫(1952~1996)に川を渡るカリブーを写した一枚の写真がある。朝焼けだろうかそれとも夕焼けだろうか、少し橙に染まった川を複数のカリブーが無数の水飛沫をあげ、川を渡っていく。カリブーの荒い息づかい、どおどおという水の音、その場面には耳をふさぎたくなるような音が氾濫していたはずだが、星野の写真には不思議な程静謐が支配している。カリブー達は生きるために川を、いま

バルバラ異界 3 ★★★★★
きゃべつちょうちょ/スプーン一杯の希望は、未来を信じる。
生きているものは必ず死ぬし、その死へむかって老いがはじまる。人間だけが不老不死を手に入れられるはずはないのに、それに挑戦しつづける男がいた。歳をとらず、永遠に生きる子どもと暮らすことを願う男。自分の寿命以上を生きてまで、彼がしたかったのはなんだろう。ネバーランドをつくりたかったのだろうか。イギリスの詩人で魂を宿した肉体という小屋が、たとえぼろぼろになっても、わたしたちは老いていくことで賢さを手に入

川のうた ★★★★★
うっちー/時と空間を超えて流れる、静かで深い川の風景。
表現手段としての絵本は、多彩な可能性を持っている。この「川のうた」は、ラングストンの詩に画家のルイスが、絵をつけて、絵本にしたものである。「わたしは、たくさんの川を知っている。世界のなりたちとおなじくらい古く、人間の体をながれる血より古い川を。それで、わたしのたましいも、川のようにふかくなったのだ。」このように始まる詩を、ラングストンは、18歳のときに書いたのだという。アメリカの黒人の苦難の歴史を

地球をほる ★★★★★
うっちー/読み終わった時には、本が180度回転! しかけの面白さが物語の楽しさを倍増させる。
家の庭先をどんどん掘っていけば、地球の裏側に突き抜けられるかも、なんて子どもの頃は思ったりした。で、もう少し大きくなると、地球の真ん中にはマグマがあって、掘り進むことはできないのだ、と学習してしまう。じゃ、マグマにあたらないように、真っ直ぐではなくて、斜めに掘り進もう!と掘り進んでいっちゃうお話がこの絵本だ。日本から角度を計算して、アメリカまで。友人とそして英語の話せる姉と3人で掘り進む。もちろん

空がレースにみえるとき ★★★★
クーニー/スパゲッティのパイナップルソースがけ。お味はどんなかしら?
もしかすると、オトナになってからの方が絵本を沢山眺めているかもしれません。理由は、漢字が少ないから。それだけ、疲れ目なわけですが。紫色の美しい絵、夜の何ともいえない表現、3人のネグリジェ姿の少女が動物たちと遊んでいる絵には、どこか不思議な感じが漂っています。特別な夜にだけ、空がレースにみえるそうです。そして、その前には月がこっそりウィンクをして合図を送ってくれます。そうしたら、夜のために、準備にと

庭の小径で ★★★★★
wildflower/ことばの贈り物
きたむらさとし(喜多村恵)さんの作、ロウラ・ストダート(LauraStoddart)さんの絵による本書は、お世話になっている方から誕生日に贈られた1冊。きたむらさとしさん自ら描かれる絵本はユーモラスで漫画的な画風が多いが、本書のロウラさんの絵と逢うとまるで別人の佇まいを見せる。作者たちの住むイギリスの薫りが漂う、淡々と静謐ななかにもふと口元が緩むような豊かな味わいのある詩が3章に分かれて語られる。

戦国のヒロイン江 ★★★★★
書痴/戦乱から泰平への架け橋にして、ゴッドマザーの誕生
戦国・乱世の時代、幼少時に両親を喪い、政略結婚の道具として、三度の結婚、時代に翻弄されながらも、前向きに生きたお江の人生を、漫画で紹介した本書は、多感な少女時代の心理描写に、読み応えがありました。それまで、お江といえば、徳川家の跡継ぎ問題で、乳母お福との確執や、夫秀忠に対する強気な嫁のイメージがあって、親しみやすいキャラクターとは思えませんでしたが、本書は、その辺の事情は割愛されており、むしろ、少

心の野球 ★★★★★
のちもち/考え方に「大いに」同意です!
同年代の人間として、桑田さんの高校時代からずーっと見てきました。甲子園での活躍、ドラフト、怪我、メジャー挑戦、清原との比較...正直、あまりいいイメージは持っていなかった。多分に、「アンチ巨人」であるから、という理由もあるが、メディアによってつくられた(?)「ダーティ」なイメージが抜けなくて...どちらかというと、不器用な清原の方に親近感を抱いていました。そんな中で本書を読み始めたのですが...世

采配 ★★★★★
サトケン/実践と深い考察から生み出されたこの本は、ビジネス書の域を超えて「人生の書」になっている
人の上に立つ立場にあるリーダーだけでなく、上からどう評価されているかを知りたい人にもぜひ薦めたい一冊である。どのような考えに基づいて選手を起用したか、その具体的な判断や意志決定の詳細だけでなく、その理由とそのときの著者の気持ちまでが書き込まれているからだ。「さいはいをふるう」という表現で耳にすることは多い「采配」。こうして漢字で書かれた「采配」という2文字を見るのはめったにないことなので、それだけ

負けない自分になるための32のリーダーの習慣 ★★★★
サトケン/現場リーダーのためのプレイイング・マネージャー論として読むと面白い
「わたしの背中をみなさい」というワンフレーズにしびれた日本人は、男女を問わず少なくないのではないかと思う。このセリフは、むかしはもっぱら渋めの男性が使うものであったが、いまこのセリフがいまもっとも似合うのが本書の著者である澤穂希その人であることに意義を唱える人は多くないはずだ。そんな澤選手が、自らを語ったのがこの一冊である。執筆を依頼されて迷ったと本人が書いているが、アドバイスを受けて背中を押され

Dear KAZU ★★★★
木の葉燃朗/手紙から読み取るカズの歴史
2003年から2011年の、雑誌『Number』での連載を一冊にまとめた本。カズこと三浦知良選手に寄せられた手紙と、それを読んでのカズのコメントを紹介する。連載時の時系列ではなく、手紙を書いた人ごとに章立てしている。ブラジル時代を知る選手、スタッフ。イタリア、クロアチアというヨーロッパ挑戦時に交流があった選手たち。カズを指導した監督。チームメイト、ライバルとして同時代を過ごした、過ごしている仲間。

采配 ★★★★★
kumataro/選手をいたわる。
采配(さいはい)落合博満ダイヤモンド社最終ページに8年間で4回もリーグ優勝をしたのではなく、4回もリーグ優勝ができなかったという趣旨のことが書いてあります。ほほえみました。この本を読む前にアップルの創始者スティーブ・ジョブズ氏の伝記を読みました。ふたりに共通する点がいくつかあります。数値で考える。歴史に習って「模倣する。」、これについて、スティーブ氏のほうは「英雄は盗む」、共通点として、理想を10

80年代アメリカ映画100 ★★★★★
神楽坂/映画200本を知る参考書
アメリカ映画を10年ごとに年代を区切るなら、1980年代が一番好きだ。同時期の邦画に比べ、圧倒的なスケール。最高のエンタテインメントだ。ストーリーも近年の映画ほど複雑でなく、どのアイデアも新鮮に感じられた。この本には、80年から89年まで1年ごとに計100本の映画が選定されている。各映画は1~2ページ。解説の他、スタッフ、キャストの簡単なデータが添えられている。有名作品のオンパレードと思いきや、知

無双OROCHI2コンプリートガイド 上 ★★★★
カルバドス/120人以上の武将を解説
怒涛のように押し寄せるザコを蹴散らし、歴史上の名将、猛将との一騎打ちに爽快感を味わう。ゲームの『無双』シリーズが人気の理由の一つだ。その『三國無双』と『戦国無双』が一つになったのが『無双OROCHI』シリーズ。本書は最新作『無双OROCHI2』用攻略本の上巻。各シナリオの攻略については下巻に載っていて、こちらは基本的なシステムやキャラクターの解説。全てのシナリオをクリアすれば、120人以上ものキャ

誰も書けなかった死後世界地図 ★★★★★
土曜日の子供/魂の旅
子供のころ、父が長期出張で家にいないと寂しくてたまらず、優しい父が帰ってくるのをひたすら待ちわびていたものだ。玄関に足音が聞こえるとすぐに聞きつけて走っていった。しかし父が亡くなった今、玄関の戸が開く音がしてあの聞き慣れた足音が聞こえてくることはもうない。小さいころみたいに家中を、庭を、物置まで探したって絶対に父がみつかることはないのだ。そんな絶望的な寂しさに包まれていたとき、今まで特に深く考えも

珈琲と吟遊詩人 ★★★★★
更夜/美味しい珈琲を飲みながら、美しい音楽を聞きながら学ぶ喜び。
この本は、内容的にはヨーロッパ中世、ルネサンスについてかもしれませんが、著者、木村さんは、この本をただの理論・教養書にはしませんでした。僕という春休み中の20歳の大学生の男の子と西洋史の教授であった祖父、家を訪ねてきた祖父の教え子で、リュートをたずさえた青年、吟遊詩人さん、そしてフランス文学を学び、クラッシック音楽にも詳しい近所の小学校の先生の4人の会話でもって、いろいろなうんちく話を含めた「お話

楽譜を読むチカラ ★★★★
mayumi/結局のところ音楽は感性で、その感性の<言語化>に挑んでいる本
表紙には「音楽を学び、教える人の必読書!自信を持って演奏したいのですが、どうしたらいいのかさっぱりわかりません!自分の才能を最大限に発揮させるためには、どうしたらよいのでしょうか?」とあります。ま、ちょっとタイトルに難ありかも。一般的な読譜方法を想像すると、相当肩すかしをくらうと思う。ま、結局のところ大切なのは<感性>であると。とはいえ、この本のすごいところはそういう<感性>を言語化してるところだ

奇想の天才絵師歌川国芳 ★★★★★
神楽坂/キワモノ多しの主要作品集
伊藤若冲ブームの後に歌川国芳ブーム。2人には異形さと現代的センスが共通している。その前の北斎、写楽ブームは浮世絵師の中での異形さだったが、若冲と国芳はそうした形式をも逸脱している。若冲も国芳も昔から知っているが、以前は2人ともキワモノ扱いされていなかった。だから、最近のブームに面食らっている。この本は、国芳の入門書としてオススメしたい。今や彼の代名詞となった残酷絵の他、奇抜な構図、武者絵、美人画等

三代豊国・初代広重双筆五十三次 ★★★★★
神楽坂/知られざるコラボ浮世絵の全貌
昨年(2011年)夏、静岡市東海道広重美術館にて「東海道五十三次漫画絵巻と合筆の東海道」という展示があった。同時期にテレビ番組でも取り上げられ、三代豊国(歌川国貞)と初代歌川広重の合作の「双筆五十三次」が広く知られることとなった。風景画と人物画のコラボ企画。そんな浮世絵が他にあっただろうか?しかも、題材がおなじみの東海道五十三次。そこへ登場したのが、この本だ。全55枚がカラーで収録されていて、資料

日本映画論 ★★★★★
本を読むひと/映画学者加藤幹郎による、日本の映画世界への果敢な挑戦
映画研究でありながら映画批評であろうとしている、そんな風に感じる。毎月書店にならぶ映画雑誌に載るものは映画研究ではなく映画批評であり、また大学の教師が紀要などに書くものは、ふつう批評のもつしなやかさを欠いている。アカデミズムの世界では、最新の映画が対象となっても堅苦しさをまぬがれるのが難しい。とはいえ本書のなかで《世界屈指の映画批評家》と形容されている蓮實重彦は、一昔前に映画批評の世界に新しい波を

美女たちの西洋美術史 ★★★★
みーちゃん/絵の寸法、技法、下地といった基本データの欠如は、この手の本としては失格としか言いようがありません。いい図版が多いことは認めたうえで、でも美術本としての最低条件を満たす努力不足!
シリーズ新書の装幀なので、とりたてていうことはないのですが、担当に「アラン・チャン」とあると、この人はどんな経歴の装幀家なんだろう、とは思います。それと、光文社の本ていうか、ノベルスにしても文庫にしても、古典文庫以外はかなり派手めの意匠なので、このおとなしいカバーを見ていると、どこの会社の新書?って思ってしまうことは事実。それにしても、こんなに各社から新書がでるとは・・・で、この本、タイトルだけ見

吉田自転車 ★★★★
toku/ばかな自転車エッセイは、ナイスバイク号との蜜月の日々を綴ったものだった。
吉田戦車のイラストエッセイ『なめこインサマー』があまりにも面白かったので、同じくイラストエッセイの『吉田自転車』を手に取った。本書は、主に調布界隈を、マウンテンバイク『ナイスバイク号』でぶらつきながら綴った自転車エッセイ集。自転車での散歩をポタリングと言うらしいのだが、著者のポタリングは八方へと広がり、珍エピソードを量産する。中年男三人組で寄った喫茶店。二つの甘い物を味見しあう男たち。女性店員は顔

AIR ★★★★★
神楽坂/奇跡の下着ショット
日本では、下着の写真がタブーになっている。アイドルの写真集やグラビアでは、白いビキニを下着風に見せるのが常道である。通販カタログ等では、下着だけ外国人モデルが使われている。日本人モデルだといやらしく見えるからだという。この写真集で使われた衣装は、ビキニを含めアイドル写真集として標準的なものだ。その中に、場違いなように下着ショットが登場する。下着姿は、ヌード写真集のヌード手前にあるのが定番だが、むし

人魚 ★★★★★
神楽坂/なんだか急に痩せたような……
以前より痩せたようだ。特にビキニの時。写真集の半分がビキニで占められているので、いっそう痩せて見える。2年前のファースト写真集と比べてみたが、体型はほとんど変わっていない。顔が大人びたから、そう感じるのかもしれない。一着だがワンピース水着もある。ワンピース水着ファンのことも考えてくれているらしい。これは重要だ。

佐々木希Non♥non ★★★★★
神楽坂/美しければ、それでいい?
メイク、アクセサリー、バッグと、内容はファッション誌のようだ。もちろんグラビアもあるが、これもファッション誌のような写真である。だが、彼女の場合は、普通のアイドルグラビア風に撮られると劣化して見えてしまう。こうして人工的で無機的に撮られる方が、美しさが発揮されるのだろう。


お問い合わせ会社案内利用規約個人情報保護方針お困りの方
著者・出版社の皆さまへ ↑このページのトップへ

Copyright(C)2011 bk1 All Rights Reserved.