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> 森奈津子氏インタビュー

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●『夢見るレンタル・ドール』刊行記念インタビュー ―― 官能小説の大作、『夢見るレンタル・ドール 色の章』『同 恋の章』について、お伺いしていきます。この作品、いろんな特徴があると思いますが、まずは大作であるという点。400字詰めで約1000枚。 森 『耽美なわしら』(ハヤカワ文庫JA刊、1~2巻)も同じくらい長いですけど、そちらは中篇連作のシリーズでした。一本のつながったお話としては、私の作品中では『夢見るレンタル・ドール』がいちばん長いかもしれないですね。 ―― 連載も、長期間でした。隔月連載ですが、2003年4月号スタートで、最終回が2006年の6月号だから、三年ちょっと。掲載誌は「特選小説」。読者は中高年男性がやっぱり多いんでしょうね。 森 ええ。そう伺ってます。40代以上で、定年退職を迎えた方も大勢いらっしゃると。ほぼ男性ですね。ですからヒロインも最近のギャルじゃウケないだろうなと思って、ちょっと古風な感じの女の子、上品で内気な子にしました。メディアで取り上げられたり、小説に多く登場するのは、派手で行動的な女の子ばっかりですけど、実際には内気で受け身な子は大勢いると思います。表に出てこないだけで。
●上品なエロス ―― もちろん森さんの作品で、官能小説誌に連載されてるわけなので、濡れ場の連続です。毎回毎回手を変え品を変え、最初は男女のシーン、続いてレズビアンセックス。その後は乱交あり、SMあり、男どうしのシーンもちょっとあったり……。 森 はい、ちょっとだけ。そういうのも好きなので、書きました(笑)。 ―― 掲載誌の読者は中高年の男性だから、その方たちがいちばん読みたいのは、おそらく男女の絡みなのかもしれないけれども、当然その基本は踏まえつつ、いろいろと(笑)。 森 聞いた話なんですが、マゾヒストの男性が、自分は男なんてぜったい相手にしたくないんだけれども、女王様なり女主人から「おまえ、男とセックスしなさい」といわれたら凄く燃え上がる、と(笑)。私の作品を読んで、そんなふうにマゾ的な部分が目覚めてくれる方がいたらいいなと思って書いてました(笑)。 ―― なるほど。本当にそんな人もいるかもしれませんよ。さて、さっきから中高年読者にこだわっちゃってるんですが、本書に登場する老紳士の城之内、もしかしたら、彼を読者の代表みたいな感じで意識はされました? 森 ああ、あんまり意識はしてなかったんですけど、無意識のうちに狙ってたかもしれませんね。官能小説って、男性はセックスが強くて、いつも女性をヒーヒー言わせたいっていう、そういう理想像みたいなのがあるじゃないですか。でも、それだけじゃなくて、歳をとって機能が衰えても、城之内みたいにじゅうぶんに楽しめるっていうことを描きたかったんです。エロスっていうのは、男女の性器の結合だけじゃないですからね。それ以外の部分も描いてこそ、楽しいんですよ。 ―― 月並みな質問で恐縮なんですけど、たとえば官能シーンを描写するにあたって、森さんが気をつけることって、どういうことですか。 森 わざと性器の名称を書く方もいらっしゃると思うんですけど、官能作家の方には。人妻に「××××」と言わせてみたりとか(笑)。私はそれを避けて、ほかのものにたとえて、直接的な名称はできるだけ使わないようにしています。エロティックだけど、上品な線をねらいたいという思いです。あとは、官能シーンで女性がどのように感じるかというのをリアルに書こうとしています。官能小説は男性作家の方が多いので、その中で独自性を出すには、自分が経験したことのある女性の性感というものを、リアルに描くことじゃないかなと思いまして。 ―― 森さんの読者に女性も多いというのも、そういうところに共感を覚えるからでしょうね。 森 そうだとしたら嬉しいですね。女性の性感に関しては、嘘は書いてない、という自負はあります。 ―― 雪彦の愛里に対する、いろいろな命令・要求は、どのように発想するんでしょうか? サディスティックな男性の立場を想像するのか、あるいは受ける側の女性の立場から、こんなことをされたら興奮するみたいな感じで考えたのか……。 森 両方だと思いますね。私、美しい女性に対しては、マゾヒスティックな欲望がムラムラするんですけれども、美しい男性に対してはいじめたいというほうが先立ってきますので。自分のなかにあるS的なものとM的なもの、両方を駆使して書いていたと思います。 ―― なるほど。 森 サディストの男性がどのような欲望をもってるのかって想像するのも苦痛ではありませんし、私はバイセクシャルなので、女性に対しても欲望を感じることができます。想像してて不愉快じゃないんですよね。 ―― そのへんが、森さんの強みですよね。いろんな角度から妄想を広げることができる。 森 考えたらそれは確かにそうですね。
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