トップ > 第7回ビーケーワン怪談大賞 選考会議レポート
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| 選考結果発表(4/5頁) | |||||||
★優秀賞2作品
東 優秀賞は沙木とも子さんの『本家の欄間』、紺詠志『梨園のマネキン』でいいですか?加門 異論はないですけど、やっぱり『水晶橋ビルヂング』は惜しい。せっかく三人が選んだのに(笑)。800字のなかでノスタルジックな雰囲気を見事に書いています。 福澤 ティンパニ、ピアノといった音の描写も効果的です。 加門 あくびをしている、とか。のんびりとしたいい感じがあります。 東 最後まで大賞を競った『本家の欄間』は当確として、『梨園のマネキン』と比較してどうかですね。 加門 東さんが『梨園のマネキン』を推さなかった理由は? 東 細部の描写は冴えているんですが、怪異発現へのもっていきかたが、ちょっと段取りっぽく読めてしまうところが弱いかなと思ったんですね。それと今年は「密集」系の話が多かったので、印象が薄められたのかな……。 加門 埋もれたという感じがあるなら、『水晶橋ビルヂング』にしましょうか。 東 最初から三人全員が選んでいましたからね。福澤さんも異存はありませんか? 福澤 ありません。 東 では、『本家の欄間』と『水晶橋ビルヂング』を優秀賞にします。 ★佳作と選外の中で印象に残った作品 東 佳作の選考に入りましょう。候補を挙げていきましょうか。まず、烏本拓さん。作品違いで二人以上挙げているので、どちらかで。福澤さんが『波動』、私が『僕と兇巣』を挙げていますね。私はどちらも好きな話なので、『波動』が佳作でもいいと思います。 加門 君島慧是さん。『球体関節リナちゃん』ですね。 東 君島さんはジャパネスクな『迹祭』も絶妙ですけどね。でも、こっちは従来の君島調かな……。 福澤 『球体関節リナちゃん』は、君島さんの作品の中では斬新ですね。 東 では、『球体関節リナちゃん』で。 国木映雪さんも、私と福澤さんが挙げていましたね。『春恋し』と『ぼくと新しい神さま』……ちょっと奇想系というか、不思議なセンスの持ち主ですね、この方は。 加門 私は『ぼくと新しい神さま』を選んでいます。 東 それでは『ぼくと新しい神さま』にしましょう。『春恋し』は『でいだら』と微妙にかぶってるし。 影山影司さんも初参加の個性派ですが、私は妖怪ものの『祟りちゃん』に注目しました。 福澤 私は『シミ』のほうでした。 加門 私は『祟りちゃん』でした。 東 福澤さん、『祟りちゃん』でもいいですか? 福澤 はい。あとは葉越晶さんも作品違いで挙がっていますね。 東 葉越さんはプロの方ですね。第3回ムー伝奇ノベル大賞最優秀賞を受賞した『逢魔の都市』という作品が単行本になっています。『リトル・リトル・クトゥルー』にも作品が入っています。私は英国怪談風の味わいがある『山羊の足』を選びました。『塀の上』も気持ち悪い話ですが、やや理に落ちるところがあったので。 加門 私も、『塀の上』はオチがちょっと平凡かな、と思いました。 福澤 私は『梅雨の電話』を選んだんですが、『山羊の足』でもいいです。 加門 『山羊の足』は、私の50選には入っています。 東 では『山羊の足』で。 黒木あるじさんはどうですか? 福澤 『おまもり』か『ならわし』です。黒木さんは初参加ですが、プロの作家かな、と思わせるような力量です。 東 どれもお上手というか、実に堂に入った書きぶりですよね。余裕すら感じさせる。私はもう1作の『ぶつだん』も、かなり気に入ってるんですが。 加門 『おまもり』は交通事故にあってお守りが粉々に砕けるって話ですね。印象に残っています。 東 『ならわし』も捨てがたいですけどね。「暗闇から牛」という言い回しさながら、牛の群れが粛々と闇の中に消えていくという玄妙な話でした。 加門 福澤さんは『おまもり』を選んでいるんですよね。 東 ならば『おまもり』でいいんじゃないですか? 甲乙つけがたいのですから、この場合は多数決で(笑)。 佳作はこれで10篇になったので決定しましょう。 そのほかに佳作には届かなかったけれど、面白かった作品があれば挙げてください。 福澤 有井聡さんの『三柱』。有井さんは、前も入賞していますね。 東 一昨年、『磯牡蠣』という作品で優秀賞を受賞されています。 福澤 今回は虫聖(マテ)貝の話ですが、三柱や祖父の描写が不気味でした。ただ虫聖貝が「何万といた」というのは、いくぶん大げさな感じがしました(笑)。あとは加門さんと50選まで広げればかぶっている『九十八円』(小瀬朧)。 加門 狐か狸かって感じで面白かったですね。 福澤 途中でネタがわかっちゃうのが惜しいところです。 加門 『忘れがたき』(日原佑遊)も印象に残りました。外国に払い下げられた電車の話です。 東 加門さんは太田工兵さんの『うらべ様』を候補に入れていましたね。太田工兵さんは昨年の『告訴状』は告訴状の書式でしたが、今年は年表形式できましたな(笑)。 加門 この方は、こういう話が上手いですよね。 福澤 東さんが20選に選んでいて、私は50選の『漬物』(貝原)もよかったですね。 東 ちょっと不条理系ですが、舞台を京都に設定したことで、さもありなんと思わせる。ディテールが魅力的です。 加門 あと、私が気になったのが『ハルビンの猫』(しらみずさだこ) 東 福澤さんも20選に入れていますね。 福澤 こういう素朴な聞き書きは、怪談の基本として大切にしたいですね。これは日本各地に伝わっている「猫魂」と同じ現象なんですけど、しらみずさんはそれをご存じないのかも……。書き慣れている感じではないんですが、そこがまた味になっている。 加門 技巧に走らず、淡々として。でも、奥行きのある、いい感じの怪談ですね。 福澤 聞き書きふうの作品では、ほかに『カメラ』(松村佳直)が印象に残りました。文章もこなれているし、顔認識のカーソルという先端技術で怪異を表現しているのもいい。 |
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