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第6回ビーケーワン怪談大賞

福澤徹三さんインタビュー
今年、青春アウトロー小説『すじぼり』で大藪春彦賞を受賞した福澤さん。ホラー、怪談小説のみならず、取材をもとにした「実話」怪談、ティーン向けのホラー小説まで幅広い領域で活躍中だ。

すじぼり(角川書店) 『いわくつき日本怪奇物件』 『アンデッド』


―― 今年の春に『すじぼり』で大藪春彦賞を受賞されましたが、その後、ますますお忙しそうですね。新刊としては『いわくつき日本怪奇物件』がビーケーワンでも売れているそうですが、この本はどういう経緯で?

福澤 出版社からお話をいただいたときに、本になるほど怪談を集められないと言ったんです。『幽』の連載に加えて『小説すばる』でも実話怪談の注文がきていたので、完全にネタ切れ状態でした。担当編集者の方や心霊スポットに同行してもらったカメラマンの方にも協力したいただいたんですが、まだまだ数が足りない。あわてて取材に駆けずりまわったんですが、それでも足りなくて、やむなく焼き直しに近いものを何本か入れました(苦笑)。

―― 福澤さんが「実話」と銘打って書かれているものは、ちゃんと取材をしているんだよ、という姿勢が、文章のみならず行間からも伝わってくるところが凄いと思います。福澤さんのように地道に取材しない限り、そうそう怪談は寄って来たりはしないと思うんですよね(笑)。

福澤 取材のために呑み会を何度かやったんですが、当然ぼくのおごりで何軒か梯子して、本に使えるのは一話だけということもありました。二日酔いで次の日はキツいし、お金はなくなるし、呑み会での取材は大変です(笑)。心霊スポットの取材も、これは自分のせいですが、二日酔いでゾンビのような状態で歩いていました。

―― そういうことも含めて、福澤徹三が怪異を集めるために悪戦苦闘している様子が透けて見えたりするところがまた、純正ドキュメントとして面白い(笑)。

福澤 怪談が原因かどうかはわかりませんが、今回はテレビとテープレコーダーがいかれてしまいました。テレビはもともと勝手に電源が入ったり切れたりしてたんですけど、勝手にチャンネルが変わるわ、ビデオ画面になるわ、それでいてリモコンも本体の操作もきかないんです。これはだめだと新しいテレビを買ったんですが、それが届く前日になると、何事もなかったように故障が直ってるんです。  テープレコーダーに至っては、録音をしたら再生して、再生を押したら録音をするといった調子で、ストップボタンもきかない。しまいにはテープ起こしをしてる最中に、巻き戻しを押したら勝手に録音になっていて、せっかく取材したテープのあいだに、僕の息づかいが入ってました。

一同 エー!!

―― それは、かなり厭ですね。

福澤 仕方がないから、ICレコーダーに買い替えました。ということで薄い本ですが、元手はかかっています(笑)。

―― 今回まわった心霊スポットでは、どこが怖かったですか?

福澤 Pという女性雑誌の編集部ですね。いまはべつの場所に移ったみたいですが、編集部として使う前から、お札が貼ってあったそうです。同行したカメラマンさんも怖がっていました。

―― そのあたりのことは本を買って読んでいただきましょう(笑)。ほかに新刊のご予定は?

福澤 幻冬舎文庫から『死小説』というホラー短篇集の文庫版が8月7日に出ています。2002年から2004年にかけて書いたもので、ぼくには珍しく官能めいた作品もあります。  あとは中高生向けの『アンデッド』という小説が8月23日に角川ホラー文庫から出ます。以前ノベライズした『オトシモノ』が十代の読者に好評だったようなので、今度は書きおろしで、もっと怖いものにしようと。『オトシモノ』を書いたときに感じたんですが、高校生くらいの読者の感想に「怖かったです! 3日間で読破しちゃいました」などという恐るべきものがあったんですね。

―― 幻妖ブックブログの読者なら2時間くらいで読んじゃうでしょうね。

福澤 1時間で読めると思いますよ(笑)。それで、こういう若い読者には、もっと本を読んでもらいたいなと思ったのが『アンデッド』を書こうと思ったきっかけです。今回は若い読者のモニターをつのって、感想を帯に使わせていただきました。コンテンツはすくないですが、『アンデッド』の公式サイトも立ち上げています。


アンデッド│不知火高校文芸部日誌 (音がでます。ご注意!)

―― どんな内容になりそうですか?

福澤 いじめにシリアルキラーに心霊現象に怪談と、怖い要素はてんこもりです。ケータイ小説以外にも世の中にはおもしろい本がいっぱいあるよ、というメッセージをこめて、引き出しの多い小説にしました。とくに残虐シーンには力をいれましたので「痛い」のには自信があります。

―― ヤング・アダルト向けの怪談小説というのも、ジャンルとして掘り起こしできそうですよね。いろいろな作家が、そこから巣立っていますし……。

福澤 活字離れといいますけど、若い人たちはテキストを渇望していると思うんです。ネットやケータイの影響で、みんな「読む」「書く」ということが日常化して、小説にもすごく興味を持っている。そのあらわれのひとつがケータイ小説だと思うんですが、『アンデッド』はふだんケータイ小説しか読まない方にも、ぜひ手に取ってもらいたいですね。

―― 面白そうですね。福澤さんの新たな一面がかいま見られそうで、おおいに期待しております。
インタビュー=東雅夫/文=タカザワケンジ
福澤徹三
1962年福岡県生まれ。デザイナー、コピーライター、専門学校講師を経て作家活動に。主な著書に『怪を訊く日々』(幻冬舎文庫)、『廃屋の幽霊』(双葉文庫)、『真夜中の金魚』(集英社)、『再生ボタン』(幻冬舎文庫)、『壊れるもの』(幻冬舎文庫)、『死小説』(幻冬舎文庫)、『亡者の家』(光文社文庫)、『ピースサイン』(双葉社)、『黒本』(新潮社文庫)、『夏の改札口』(徳間書店)などがある。2008年、『すじぼり』(角川書店)で第10回大藪春彦賞を受賞。ビーケーワン怪談大賞では、第1回から選考委員をお願いしている。
第6回怪談大賞選考会議トップ 加門七海インタビュー

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