トップ > 第6回ビーケーワン怪談大賞 選考会議レポート
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| 選考結果発表(5/10頁) | ||||||||
★鳥が出てくる怪談2編
東 金魚屋さんも常連の投稿者ですね。『八百年』に2票、 私も『八百年』にしようか『お兄ちゃんの夜』にしようか、かなり迷いました。『八百年』は、加門さんも『環蛇銭』でお書きになっている八百比丘尼伝説、つまり人魚ネタの作品ですが……。
福澤 亭主が「長生きできるぞ、おまえ」っていうところが、なんとも所帯じみた雰囲気でいいですね。 加門 うんざり感が出ていますよね(笑)。 福澤 「臀の辺りに齧られた跡があり、すでに薄皮が覆っている」とか、不気味なディテールもよく書けていますね。 東 『お兄ちゃんの夜』は、女の子が亡くなったお兄ちゃんと海辺を歩く話です。ただそれだけの話なんだけれど、幽明のボーダーランドと化す海辺の情景とか、他愛ないけれど哀切な兄妹の会話とかが、とても胸に迫りました。 加門 これもいいですよね。最後の「ポテチ持って行くようにいっといた」ってところが効いてます。 東 ディテール描写で泣かせる典型ですね。嫌な持ち味の『八百年』か、泣かせる『お兄ちゃんの夜』か。私は甲乙つけがたいと思いますが。 仲町六絵さんの作品は、3人が推した作品が見事にバラけましたね。どれも良かったと思います。 加門 私は『はるのゆび、なつのこえ』を挙げたんですけど、『阿弥陀山』も入れたかった。迷いましたね。 東 『阿弥陀山』は戦災の話なんだけれど、実に薄気味の悪い雰囲気が秀逸でした。時空が微妙に歪んでるというか……。 加門 そう。そこで落としちゃった。時空が歪んでるっていうか、「ふたごの虹を見た」っていう話があって、「戦争が終わるまで、俺は何度もふたごの虹を見て」ってあるのに、最後のところで「俺は、あの女をうらまなきゃいけないのか?」と現在進行形になっているから、戦中のみだったのか、戦後もずっと虹を見続けていたのかわからなくなっちゃって。「うらまなきゃいけなかったのか?」と過去形にするか、「いまだにふたごの虹を見る」とか、どちらかにすればよかった。 東 『はるのゆび、なつのこえ』は、日本的で艶っぽい幽霊屋敷譚なんですけれど、それをフローラ幻想もしくは庭園幻想のほうへ持って行ったのが面白い。やんわり時代色も感じさせてね、たしかにこれは加門さん好みかも(笑)。 福澤 『鳥の家』は純粋に怖かった。仲町さんのほかの二編は美しくて、もの悲しいんですが、怖いというならこれかなと。誰が鳥小屋の扉と玄関を開けたのか、わからないわけですが、いろいろな解釈ができる。次郎という鳥がかわいがられていたのを、ほかの鳥が嫉妬したとも取れるし、別のなにかだと想像する怖さもある。次郎が死んだあとの、父親の哀しみもうまく表現されています。 東 そもそも、鳥が家のお守りというのが仔細不明で、なんとも気味が悪い。 加門 生き物の持つ、ある種の冷酷さがよく描けてますね。 福澤 ただ同じ鳥もので『カチンコチン』もありますから、鳥ネタが多くなるわけですが(笑)。 加門 北詰渚さんの『カチンコチン』、怖かったですよ、私。ゾーッとしました。 福澤 そうですか? 僕は怖いというより、かわいいと思いましたけど(笑)。 加門 旅行によく行くから、ああいう冷蔵庫って、ビジュアル的にすごくリアルで。 東 ふつうは即フロントに連絡じゃないの?(笑)夜遅かった、という断りはあるけど……。 加門 実は以前、作りつけの引き出しを開けたら、ネズミの死骸が入っていたことがあって。しかも、その死骸、皿に載ってたんだよー。 一同 エーッ! 加門 そーっと、閉めて寝たもんね。 東 なんでフロントに電話しなかったのよ? 加門 夜中だったし、なにしろ中国だったから。そういうこともあったから、あってもおかしくない恐怖だなと思いました。生きているものがいたら、即フロントに電話ですけどね。 |
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