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トップ > 第6回ビーケーワン怪談大賞 選考会議レポート
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| 選考結果発表(4/10頁) | ||||||||
★タイトルホルダーたちの作品は?
東 例年通り、選考委員3名が推した作品で、重なっているものから検討していきたいと思います。まずは昨年、大賞を受賞したヒモロギさん。『トロイの人形』に福澤・東の2票が入っていますが、加門さんはいかがでしたか?
加門 去年の作品と比べると、若干、テンションは低いかな、と。 東 タイトルホルダーだからこその過酷なハードルですよね(笑)。まあ、同じことは、黒史郎さん、田辺青蛙さん、勝山海百合さんといったプロ・デビュー組にもいえるでしょうが。どうしても評価基準は辛口にならざるをえない。とはいえ本賞には年に一度のお祭り的な性格もあるわけで、ぜひ今後も参加していただきたいと思います。話を『トロイの人形』に戻しますが、ヒモロギさんの場合、特に際立って個性的なスタイルが出来上がっているだけに、そこに新味を出してゆくのは大変だろうなと思います。その点、この作品は巧く仕上げている印象を受けたのですがね。 加門 ヒモロギ節を楽しませてもらったし、テンションが低いとはいっても、ほかの応募作品に引けを取っているわけではないんですけどね。 福澤 ヒモロギさんは、こういう作品を書くと抜群にうまいですね。でも去年はおなじ傾向の作品で大賞をおとりになったんですから、今年はちがう切り口も見せていただきたかったです。 東 綾倉エリさんの『パッチン留め』は、私以外のお二人が選んでいますね。私もA評価だったのですが、ベスト20からは漏れました。 福澤 怪異そのものは、ほんとうにささやかです。でも細かいところに気を配って、端正に書かれているからリアリティを感じるんです。 加門 「酷似した」と、断言しないところにリアリティがありますね。いかにもありそうな感じがする。 東 いわゆる廃墟ものは、今回も山のようにあったわけですが、これは定番の展開になっていないですよね。「たぬき」が効いているかも知れない(笑)。 加門 たぬきが化かしたってわけじゃなくて、死体があっただけ。「その瞬間ひんやりとした空気が私の首筋を撫で」というのも、彼女のみの感覚だから現実的な怪現象じゃないでしょう。だけど、よく書けてます。最終的にパッチン留めにすべてが集約されていくところが上手い。 東 我妻俊樹さんは第3回の大賞受賞者で、とても安定した実力の持ち主ですね。今年も『百合』に2票、『私の未来』に1票入っています。我妻節といえる個性もあるんだけれど、とにかく作家としての抽斗が幾つもあって、そこが並の応募者から頭ひとつ抜け出している所以ではないかと思います。 福澤 ぼくは『私の未来』に1票入れたんですが、『百合』でもほとんど差はないと思います。 加門 マンネリにならないように考えて書いてらっしゃいますね。 東 昨年度の怪談大賞が終わってから、我妻さんがご自分のサイトで独自に「10選」を選んで論じていて、それが、われわれプロの評論家が読んでも「おっ」と思うくらい、示唆に富む内容だった。おそらく我妻さんは読み手としても絶えずアンテナを張っていて、それをご自身の創作に活かしているのではないかと思いました。それと我妻さんは、家族とか肉親間の葛藤を書くのが、とても巧いですね。そうした葛藤が怪異を惹起するからこそ、作品に説得力が生まれるわけです。 |
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