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第6回ビーケーワン怪談大賞

選考結果発表(2/10頁)
★岡本綺堂を読みましょう!

福澤 過去の受賞作を見て、傾向と対策を練るのは仕方のない部分もあるでしょうが、どうしても新鮮味に欠けると思います。どのみち考えを練るなら、もっとも難易度の高いオーソドックスな怪談で勝負して欲しいですね。応募数はさらに増えたのに、実話を想起させるような作品は、ますます減っちゃってますし。

加門 平易な文章であたりまえの話を書いて怖いというのが、最高の怪談だと、私は思うんです。みなさんにそれを目指せとは言いませんが、凝った文章が上手いのではないし、奇をてらったネタが評価されるわけではないということはわかってほしいですね。

 たとえば、『青蛙堂鬼談』の岡本綺堂を読めよ、お手本にしなさいよ、ということですね。

加門 そうそう。本当に。

 先ごろ刊行された宮部みゆきさんの百物語怪談小説『おそろし』を読んでいたら、綺堂作品を実によく読み込んで、研究されている痕跡が随処に認められて、とても感心させられました。プロ中のプロ作家ですら、そうした研鑽努力を怠らないのだよ、と強調しておきたいですね。

福澤 擬古文調のものも、あいかわらず多いですが、そういう文章になる必然性が欲しいです。昔ふうにしたほうが、それらしく見えるからとか、個人的な好みだとか理由はあるでしょうけど、話を現代に置き換えてみると中身がないものが多いんです。

加門 一生懸命、辞書を引いて書いたんだろうな、というのが透けて見える人もいるのでね。私も他人のことは言えない時代もありましたけど(笑)。

 それに附随して私が一言申しあげておきたいのは、ネットでのリアクションなんかを眺めていますと、どうも「幻想文学」というジャンルを誤解してる方が多いようなんですね。凝った文体とか難解な世界観とか耽美的な趣向とか、そうしたものだけを幻想文学的と考えるのは、明らかな誤解です。そもそもツヴェタン・トドロフロジェ・カイヨワがかつて提唱した古典的な幻想文学論にしてからが、実質的には怪談文芸論と呼んでもよいような内容だったわけですよ。幻想文学の要諦とは、ごく簡単に言ってしまうと、言葉の力、文章の力によって、目の前の現実を震撼させることにあるわけですから。かつて『幻想文学』編集長だった私が今、とりわけ怪談に入れ込んで怪談専門誌をやっている所以も、要は、そこにあるわけよ(笑)。このことは特に強調しておきたいですね。

加門 明らかに東さん狙いの作品、ありましたよね(笑)。

 まあ、ホラー・ジャパネスク系で迫られると、たしかに弱いんですが(苦笑)、その場合でも、雰囲気だけで内実が伴っていないものには点が辛いですよ。もちろんその一方で、現実から離れた場所や時代を舞台にしていても、そこで織り成される物語に、われわれの現実にコミットしていく力があって、しかもそれが人間存在の闇の部分につながっていくような作品であれば、私は怪談と認識してもいいと思いますけれどね。この面では、たとえば恒川光太郎ジョー・ヒルの作品なんかが、お手本になるのではないかと思います。

福澤 800字いっぱいいっぱいにお書きになる方が多くないですか? もっと短くてもいいのに。

加門 私もそう思いました。800字全部を埋めようとしたのか、余分なところが目立った人も結構いましたね。ここがなければよかったのに、と思う人も。

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