トップ > 第6回ビーケーワン怪談大賞 選考会議レポート
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<選考委員> 福澤徹三(作家)/加門七海 (作家)/東 雅夫 (「幻妖ブックブログ」主宰、怪談専門誌「幽」編集長、アンソロジスト) |
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| 選考結果発表(1/10頁) | ||||||||
文・写真=タカザワケンジ | ||||||||
★実力伯仲の大激戦
東 今年も炎暑の選考会となりましたが、今回の応募作品全体の印象はどうでしたか?
福澤 とにかく実力が伯仲していて、絞りこむのが本当にむずかしかったです。選考会でもそれぞれが推す作品が割れそうだと思いました。ただ、文章がうまい方は非常に多いんですが、そういう方の作品に限って、技巧に走りすぎて迫力を殺いでしまっているのが残念でした。 また全作品を読んで感じたのは、怪談を書くにあたって、取材をされている方が極めてすくないように感じました。もちろんビーケーワン怪談大賞は、実話であろうが創作であろうが問題ないんですが、日頃怪談の取材をしている立場でいえば、頭で考えて話を作るより、取材したほうが楽なんですね。自分のまわりにはそういう体験のある人はいない、とか、体験はあってもネタがつまらない、でもいいんです。創作でいいわけですから、なにかしらヒントを得るだけでいい。とりあえず誰かに取材をしてみることによって、話にリアリティが生まれてくると思います。 東 ビーケーワン怪談大賞も今年で6回目を迎えましたが、最初の頃は、怪談やホラーの好きな皆さんが応募されているな、という印象でしたよね。ところが、ポプラ社さんから単行本(『てのひら怪談』シリーズ)が出たり、マスコミに取りあげられたりして一般的な認知度が上がるにつれて、作家志望の方や、ネットで創作を発表している方など、怪談そのものにはさほどこだわりがないのかな、とお見受けするような方々の応募が、非常に増えた気がします。まあ、それ自体は決して憂うべきことではないんですが……。 加門 たしかに、質は回を追うごとに高くなっていますけど、私は今回、途中から怒りましたよ(笑)。この賞が怪談賞だということが分かっていない方が多いんじゃないか、と思って。加えて、これまでに受賞した作品を読んで、傾向と対策を立てているのが見える作品が多かった。コメディタッチのものとか、動物ものが多いとか。私は動物ものなら泣くわけじゃないんだぞ!(笑)。SFやファンタジー、幻想文学に分類される作品も多かったですね。 いままではお祭りだということもあって、怪談としてはどうかと思う作品も進んで評価してきました。でも、いまやポプラ社さんから本になって出ることもあり、怪談大賞の存在感が増して、怪談賞としての責任も生まれてきたと思うんです。つまり、「怪談大賞の入賞作品」として世に出た作品が、のちのち「こういう作品が怪談なんだ」と思われてしまうかもしれないし、私たち選考委員がこういう作品を怪談として認めたと思われてしまう可能性もある。私はそれは、はっきり言って嫌なんです(笑)。 ですので、今までは怪談ではないけれど掌篇として優れている、というものも視野に入れて選考してきて、今回もある意味、執行猶予としてそういう作品も選びましたが、次回から、私は怪談以外の作品はベスト50に満たなくても選びません! 東 わはははは。いきなりの爆弾発言ですね! 加門 投稿された方は怪談というものをどう考えているのか? ということが、途中から、ものすごく引っかかってしまって。 たとえば、幽霊が現れた、何か異常な事態が起こった。そのときに、怖がらずにスルーする物語がすごく多いじゃないですか。こういうことが起こったけど、まあいいや、と。 そういう話はパターンの一つとしてはあってもいいんですけれど、怪談というのはゾッとするような恐怖がないまでも、そこに不気味さなり、何らかの闇を感じさせなければダメでしょう。それを完全に日常に落とし込んでしまって、何事もなくすごしました、というのは、私は違うと思います。 あと、人を殺すことでしか恐怖を感じられない、というような感性を持った方の作品が多く見られました。これももちろん必然性があれば構いませんが、基本的に、私は殺人でしか恐怖が描けないならば、怪談を書く資格はないと思う。自殺も同じです。 自分が幽霊になっているものも目立ちましたね。これも恐怖の対象が己ということになるのですから、怖くするのは至難の業です。 ありがちだから悪いというわけではなくて、ありがちなものをどう料理するかで怪談になるかならないかが決まる。 というわけで、次回からは怪談になっていないものはぜんぶ切ります。もちろん、殺人でも自殺でも、怪談として質が良ければ残しますけど。 |
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