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| 福澤徹三さんインタビュー |
『黒本 平成怪談実録』 『オトシモノ』 『すじぼり』
『黒本 平成怪談実録』が好調な売り上げを続けている福澤さん。映画のノベライズ、不良少年たちの青春小説と、活躍の場を広げている。福澤さんの近況をどうぞ。
── 『黒本 平成怪談実録』発売早々、重版決定おめでとうございます。
福澤 ありがとうございます。ワンコインで怪談とジュースが楽しめるおトクな一冊です(笑)。
── いつごろから企画が立ち上がったんですか?
福澤 昨年暮れに編集の方と打ち合わせをしました。本格的に取材を始めたのはそれからなので、結構ばたばたしました。
── 企画のコンセプトとしてはどんな狙いがあったんですか?
福澤 コンセプトをたてようにも、こういう怪談の場合はネタが取材できるかどうかが先で、どうなるかは蓋を開けるまでわからないんです。したがって出たとこ勝負です。
── 定価380円という低価格は戦略ですか?
福澤 作者としては意外でしたが(笑)、版元としてはそうかもしれません。
── でも、安いというのは魅力ですよね。一般の人が気楽に読める。
福澤 最初は100話くらいほしいと言われたんですが、とてもじゃないですが、そんなに集まりません(笑)。
── ご自身のお祖父さんのお話も登場しますね。
福澤 その部分は、東さんが編集長をなさっていた「幻想文学」のエッセイを改稿したものです。
祖父というのは、母方の祖父なんですが、祖母も含めて謎が多いんです。だいたい明治17年生まれですから、ほとんど江戸時代のひとですし。いま生きていたら122歳ですが、それが僕のじいさんだと思うと不思議な気がします。
── そのへんはいずれ、小説にしていただきたいですね。ところで、福澤さんは小説も実話怪談も両方お書きになっていますが、『黒本』のような実話怪談をお書きになることについてはどうお考えですか?
福澤 やはり小説とちがう苦労がありますね。まず取材ありきですから、話が集まらないと続きが書けないのがもどかしいです。こういうオチにすれば怖くなると思っても、勝手に変えられないという縛りもありますし。そのうえ取材範囲が狭いせいか、大ネタや斬新な話にはなかなかめぐりあわない。ただ怪異自体が平凡でも、その背景を描きこむことで面白くなると思っています。
── それこそ、正統的な怪談でしょうね。
ところで、昨年9月に出た映画のノベライズ本『オトシモノ』がいまだに版を重ねているそうですね。
福澤 どういう読者が読んでいるのか、よくわからないんですが、いまだに売れています。
ノベライズは初めてだったので、映画を完全再現しようと、会話や情景描写を自分用のシナリオとして書き起こしました。でも、それだけだと規定枚数の3割にも満たない。
そこで映画では描かれていない登場人物の過去や人間関係、独自のエピソードなどを創作しました。ほかにも登場人物の視点や時間軸を調整したりと目に見えない苦労がありますが、従来の読者からはストーリーが荒唐無稽だとか、文章が軽くて改行が多いとかクレームが。
そういわれてもストーリーは映画のとおりだし、主人公は女子高生ですから、いつもの文体で書くわけにもいかないし(笑)。
── 一方、昨年の冬に出た『すじぼり』は、怪異とは関係のない、『真夜中の金魚』の系譜に連なる長篇小説ですね。
福澤 本来は若い人向けに書いた小説なんです。でもハードカバーになると、どうしても中高年が主な読者になってしまうので、若い読者にはあまり読まれていない感じがしますね。
ヤクザが出てくるというだけで、任侠小説のつもりはまったくないんですが、そういう捉えられかたをしたのが誤算かもしれません。珍しくエンターテインメントを意識して書きましたから、ふだん小説を読まない人にも楽しんでいただけると思うんですが。
── 書く前にイメージしていた小説はありますか?
福澤 どちらかというと、今回の場合は小説よりも映画ですね。全体にスピードと映像的な表現を意識しました。書いているあいだに、おもだったマフィア系の映画を全部観なおしました。その方面の監督で好きなのはスコセッシとかデ・パルマあたりでしょうか。邦画だと『竜二』の金子正次さんとか。
── 次回作のご予定は?
福澤 来月、徳間書店から短編集が出ます。『夏の改札口』という、なんとも爽やかなタイトルですが、自殺がテーマです(笑)。といって、暗い話ばかりでもないけど、明るい話ばかりでもない。アウトロー系をのぞけば、初めての一般小説です。
── 怪談関係でも、「幽」連載のシリーズが、来年にはまとまりそうですね。幽ブックスの目玉商品になると思います。乞うご期待ですね。 |
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インタビュー=東雅夫/文=タカザワケンジ |
福澤徹三
1962年福岡県生まれ。デザイナー、コピーライター、専門学校講師を経て作家活動に。上記インタビューに登場する以外の著書に『怪の標本』(ハルキ・ホラー文庫)『怪を訊く日々』(メディアファクトリー)、『廃屋の幽霊』(双葉文庫)、『真夜中の金魚』(集英社)、『再生ボタン』(幻冬舎文庫)、『壊れるもの』(幻冬舎)、『死小説』(幻冬舎)、『亡者の家』(光文社文庫)、『ピースサイン』(双葉社)などがある。ビーケーワン怪談大賞は、第1回から選考委員を務めている。 |
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